15 / 16
完
しおりを挟む
「ヒヒヒッ! もう甚振るだけじゃ生温いわね。この高貴な私を足蹴にしたんですもの。死を持って償って貰いましょうか。ヒヒヒッ!」
完全に狂ってる! 薄気味悪く嗤いながらエレノアが自分のロッカーから取り出したのは...短剣だった!
「そ、そんなモノどうやって学園に...」
「ヒヒヒッ! 私は高貴な身分なのよ。何をしたって許される存在なの。あなたと違ってね。だから、あなたを殺したって罪にはならないのよ? だって害獣を駆除するだけだもの。ヒヒヒッ! 薄汚いメス犬をね! 死ねぇ!」
何が高貴だ! 誰がメス犬だ! ふざけやがって! お前なんかに殺されて堪るもんか! エレノアが短剣を振りかざして来た! 私はギリギリで腰を下ろして避ける!
「チィッ! このぉ!」
エレノアの短剣が空を切る! 私は得意のでんぐり返しでエレノアの後方に転がる! パンツは見たけりゃ見ろ! そしてまだフラフラしているレイチェルの後ろに回って羽交い締めにする! さっきのお返しだ!
「レイチェル! そこをどきなさい! あんたも殺すわよ!」
「ヒィッ! え、エレノア様! お助けを!」
「どきなさいったら!」
ちょっとした膠着状態になった。まだギリギリ残ってるエレノアの理性が、さすがにレイチェルを殺す訳にはいかないと歯止めを掛けている。それもいつまで持つか分からないが...
私の不在を知ったカトリーナ王女が、怪しんで駆け付けてくれることを信じて待つ。綱渡りだがそれしか手が無い。
「もういい...もう面倒だわ...あんたら二人とも殺してやる! ヒヒヒッ! 覚悟しなさい!」
エレノアの瞳からハイライトが消えた! ダメか! 間に合わなかったか! エレノアが突進しようと構えた時だった。
バァーン!
ドアが勢い良く開いた! エレノアが驚いて振り向く! そこに居たのは...
「取り押さえなさい!」
カトリーナ王女だった! 良かった! 間に合ったんだ!
「リリアナっ!」
安心した私は、駆け寄って来るカトリーナ王女の姿を見ながら意識を手放した。
◇◇◇
その後、エレノアとレイチェルは逮捕された。当然、学園も退学になった。これでゲームの中の悪役令嬢は全て消え、私の目標である生き延びることは達成された訳だが、私にはもう一つだけ気掛かりが残っていた。
最後にお世話になったカトリーナ王女のことだ。あんな良い人が隣国のクソ王子に翻弄されるのは我慢ならなかった。だから本来のストーリーであれば、物語の後半に登場してクソ王子の本性を暴く手助けをする、カトリーナ王女の従姉妹に早目に登場して貰うことにした。
それとなくカトリーナ王女を誘導して、従姉妹に連絡を取って貰った結果、カス王子の本性が晒され婚約自体がなくなった。これでようやく一安心...って思ってたら...
「リリアナ嬢、お手をどうぞ」
「いやいや、リリアナ嬢。どうかボクの手を」
「いやいやいや、リリアナ嬢。オレの手を!」
今まで出番のなかった宰相子息、大司教子息、大富豪子息らが、なぜか急に群がって来た。いや、なんで? そして...
「お前ら! いい加減にしろ! リリアナが嫌がってるだろ! リリアナ、こっちに来い!」
「いやいや、リリアナ。僕の所においで?」
今までお世話になりっ放しのキース様やマリク殿下まで加わって、これどうなっちゃうの!? ヒロイン冥利に尽きる? 要らんわ、そんなもん!
私は地味に目立たず過ごして行きたいんだってば!
~ fin ~
完全に狂ってる! 薄気味悪く嗤いながらエレノアが自分のロッカーから取り出したのは...短剣だった!
「そ、そんなモノどうやって学園に...」
「ヒヒヒッ! 私は高貴な身分なのよ。何をしたって許される存在なの。あなたと違ってね。だから、あなたを殺したって罪にはならないのよ? だって害獣を駆除するだけだもの。ヒヒヒッ! 薄汚いメス犬をね! 死ねぇ!」
何が高貴だ! 誰がメス犬だ! ふざけやがって! お前なんかに殺されて堪るもんか! エレノアが短剣を振りかざして来た! 私はギリギリで腰を下ろして避ける!
「チィッ! このぉ!」
エレノアの短剣が空を切る! 私は得意のでんぐり返しでエレノアの後方に転がる! パンツは見たけりゃ見ろ! そしてまだフラフラしているレイチェルの後ろに回って羽交い締めにする! さっきのお返しだ!
「レイチェル! そこをどきなさい! あんたも殺すわよ!」
「ヒィッ! え、エレノア様! お助けを!」
「どきなさいったら!」
ちょっとした膠着状態になった。まだギリギリ残ってるエレノアの理性が、さすがにレイチェルを殺す訳にはいかないと歯止めを掛けている。それもいつまで持つか分からないが...
私の不在を知ったカトリーナ王女が、怪しんで駆け付けてくれることを信じて待つ。綱渡りだがそれしか手が無い。
「もういい...もう面倒だわ...あんたら二人とも殺してやる! ヒヒヒッ! 覚悟しなさい!」
エレノアの瞳からハイライトが消えた! ダメか! 間に合わなかったか! エレノアが突進しようと構えた時だった。
バァーン!
ドアが勢い良く開いた! エレノアが驚いて振り向く! そこに居たのは...
「取り押さえなさい!」
カトリーナ王女だった! 良かった! 間に合ったんだ!
「リリアナっ!」
安心した私は、駆け寄って来るカトリーナ王女の姿を見ながら意識を手放した。
◇◇◇
その後、エレノアとレイチェルは逮捕された。当然、学園も退学になった。これでゲームの中の悪役令嬢は全て消え、私の目標である生き延びることは達成された訳だが、私にはもう一つだけ気掛かりが残っていた。
最後にお世話になったカトリーナ王女のことだ。あんな良い人が隣国のクソ王子に翻弄されるのは我慢ならなかった。だから本来のストーリーであれば、物語の後半に登場してクソ王子の本性を暴く手助けをする、カトリーナ王女の従姉妹に早目に登場して貰うことにした。
それとなくカトリーナ王女を誘導して、従姉妹に連絡を取って貰った結果、カス王子の本性が晒され婚約自体がなくなった。これでようやく一安心...って思ってたら...
「リリアナ嬢、お手をどうぞ」
「いやいや、リリアナ嬢。どうかボクの手を」
「いやいやいや、リリアナ嬢。オレの手を!」
今まで出番のなかった宰相子息、大司教子息、大富豪子息らが、なぜか急に群がって来た。いや、なんで? そして...
「お前ら! いい加減にしろ! リリアナが嫌がってるだろ! リリアナ、こっちに来い!」
「いやいや、リリアナ。僕の所においで?」
今までお世話になりっ放しのキース様やマリク殿下まで加わって、これどうなっちゃうの!? ヒロイン冥利に尽きる? 要らんわ、そんなもん!
私は地味に目立たず過ごして行きたいんだってば!
~ fin ~
44
あなたにおすすめの小説
全ルートで破滅予定の侯爵令嬢ですが、王子を好きになってもいいですか?
紅茶ガイデン
恋愛
「ライラ=コンスティ。貴様は許されざる大罪を犯した。聖女候補及び私の婚約者候補から除名され、重刑が下されるだろう」
……カッコイイ。
画面の中で冷ややかに断罪している第一王子、ルーク=ヴァレンタインに見惚れる石上佳奈。
彼女は乙女ゲーム『ガイディングガーディアン』のメインヒーローにリア恋している、ちょっと残念なアラサー会社員だ。
仕事の帰り道で不慮の事故に巻き込まれ、気が付けば乙女ゲームの悪役令嬢ライラとして生きていた。
十二歳のある朝、佳奈の記憶を取り戻したライラは自分の運命を思い出す。ヒロインが全てのどのエンディングを迎えても、必ずライラは悲惨な末路を辿るということを。
当然破滅の道の回避をしたいけれど、それにはルークの抱える秘密も関わってきてライラは頭を悩ませる。
十五歳を迎え、ゲームの舞台であるミリシア学園に通うことになったライラは、まずは自分の体制を整えることを目標にする。
そして二年目に転入してくるヒロインの登場におびえつつ、やがて起きるであろう全ての問題を解決するために、一つの決断を下すことになる。
※小説家になろう様にも掲載しています。
痩せすぎ貧乳令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
とあるお屋敷へ呼ばれて行くと、そこには細い細い風に飛ばされそうなお嬢様がいた。
お嬢様の悩みは…。。。
さぁ、お嬢様。
私のゴッドハンドで世界を変えますよ?
**********************
転生侍女シリーズ第三弾。
『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』
『醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』
の続編です。
続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。
前作も読んでいただけるともっと嬉しいです!
『転生したら悪役令嬢、前世の娘がヒロインでした』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
悪役令嬢に転生したら、前世の娘が仮ヒロインでした!?
今世こそ彼女を、幸せにしたい──そう誓った母(中身)メリンダは、
お見合い・婚約破棄・断罪イベントまで全力介入!
暴走母の愛が、王子と学園を巻き込んでいく!?
辺境伯令嬢が婚約破棄されたので、乳兄妹の守護騎士が激怒した。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
王太子の婚約者で辺境伯令嬢のキャロラインは王都の屋敷から王宮に呼び出された。王太子との大切な結婚の話だと言われたら、呼び出しに応じないわけにはいかなかった。
だがそこには、王太子の側に侍るトライオン伯爵家のエミリアがいた。
転生モブは分岐点に立つ〜悪役令嬢かヒロインか、それが問題だ!〜
みおな
恋愛
転生したら、乙女ゲームのモブ令嬢でした。って、どれだけラノベの世界なの?
だけど、ありがたいことに悪役令嬢でもヒロインでもなく、完全なモブ!!
これは離れたところから、乙女ゲームの展開を楽しもうと思っていたのに、どうして私が巻き込まれるの?
私ってモブですよね?
さて、選択です。悪役令嬢ルート?ヒロインルート?
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
【完結】ゲーム序盤に殺されるモブに転生したのに、黒幕と契約結婚することになりました〜ここまで愛が重いのは聞いていない〜
紅城えりす☆VTuber
恋愛
激甘、重すぎる溺愛ストーリー!
主人公は推理ゲームの序盤に殺される悪徳令嬢シータに転生してしまうが――。
「黒幕の侯爵は悪徳貴族しか狙わないじゃない。つまり、清く正しく生きていれば殺されないでしょ!」
本人は全く気にしていなかった。
そのままシータは、前世知識を駆使しながら令嬢ライフをエンジョイすることを決意。
しかし、主人公を待っていたのは、シータを政略結婚の道具としか考えていない両親と暮らす地獄と呼ぶべき生活だった。
ある日シータは舞踏会にて、黒幕であるセシル侯爵と遭遇。
「一つゲームをしましょう。もし、貴方が勝てばご褒美をあげます」
さらに、その『ご褒美』とは彼と『契約結婚』をすることで――。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
もし「続きが読みたい!」「スカッとした」「面白い!」と思って頂けたエピソードがありましたら、♥コメントで反応していただけると嬉しいです。
読者様から頂いた反応は、今後の執筆活動にて参考にさせていただきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる