ざまぁされるのが確実なヒロインに転生したので、地味に目立たず過ごそうと思います

真理亜

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「ヒヒヒッ! もう甚振るだけじゃ生温いわね。この高貴な私を足蹴にしたんですもの。死を持って償って貰いましょうか。ヒヒヒッ!」

 完全に狂ってる! 薄気味悪く嗤いながらエレノアが自分のロッカーから取り出したのは...短剣だった!

「そ、そんなモノどうやって学園に...」

「ヒヒヒッ! 私は高貴な身分なのよ。何をしたって許される存在なの。あなたと違ってね。だから、あなたを殺したって罪にはならないのよ? だって害獣を駆除するだけだもの。ヒヒヒッ! 薄汚いメス犬をね! 死ねぇ!」

 何が高貴だ! 誰がメス犬だ! ふざけやがって! お前なんかに殺されて堪るもんか! エレノアが短剣を振りかざして来た! 私はギリギリで腰を下ろして避ける!

「チィッ! このぉ!」

 エレノアの短剣が空を切る! 私は得意のでんぐり返しでエレノアの後方に転がる! パンツは見たけりゃ見ろ! そしてまだフラフラしているレイチェルの後ろに回って羽交い締めにする! さっきのお返しだ!

「レイチェル! そこをどきなさい! あんたも殺すわよ!」

「ヒィッ! え、エレノア様! お助けを!」

「どきなさいったら!」

 ちょっとした膠着状態になった。まだギリギリ残ってるエレノアの理性が、さすがにレイチェルを殺す訳にはいかないと歯止めを掛けている。それもいつまで持つか分からないが...

 私の不在を知ったカトリーナ王女が、怪しんで駆け付けてくれることを信じて待つ。綱渡りだがそれしか手が無い。

「もういい...もう面倒だわ...あんたら二人とも殺してやる! ヒヒヒッ! 覚悟しなさい!」

 エレノアの瞳からハイライトが消えた! ダメか! 間に合わなかったか! エレノアが突進しようと構えた時だった。

 バァーン!

 ドアが勢い良く開いた! エレノアが驚いて振り向く! そこに居たのは...

「取り押さえなさい!」

 カトリーナ王女だった! 良かった! 間に合ったんだ!

「リリアナっ!」

 安心した私は、駆け寄って来るカトリーナ王女の姿を見ながら意識を手放した。


◇◇◇


 その後、エレノアとレイチェルは逮捕された。当然、学園も退学になった。これでゲームの中の悪役令嬢は全て消え、私の目標である生き延びることは達成された訳だが、私にはもう一つだけ気掛かりが残っていた。

 最後にお世話になったカトリーナ王女のことだ。あんな良い人が隣国のクソ王子に翻弄されるのは我慢ならなかった。だから本来のストーリーであれば、物語の後半に登場してクソ王子の本性を暴く手助けをする、カトリーナ王女の従姉妹に早目に登場して貰うことにした。

 それとなくカトリーナ王女を誘導して、従姉妹に連絡を取って貰った結果、カス王子の本性が晒され婚約自体がなくなった。これでようやく一安心...って思ってたら...
 
「リリアナ嬢、お手をどうぞ」

「いやいや、リリアナ嬢。どうかボクの手を」

「いやいやいや、リリアナ嬢。オレの手を!」

 今まで出番のなかった宰相子息、大司教子息、大富豪子息らが、なぜか急に群がって来た。いや、なんで? そして...

「お前ら! いい加減にしろ! リリアナが嫌がってるだろ! リリアナ、こっちに来い!」

「いやいや、リリアナ。僕の所においで?」

 今までお世話になりっ放しのキース様やマリク殿下まで加わって、これどうなっちゃうの!? ヒロイン冥利に尽きる? 要らんわ、そんなもん!

 私は地味に目立たず過ごして行きたいんだってば!

~ fin ~
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