殿下、私達は話し合いが必要だと思うんです

真理亜

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第23話

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「と、とにかく! いったん落ち着こう! 会議が終わるまで銃は没収する!」

 ハインツが毅然と言い放った。アズミとサズミがブーブー文句を言ったが、ここは王子の権限で押し切った。じゃないと会議が進まない。

「チリーヌ王女の狙いは分かった。後はどう対処するかだが...」

 そのままの勢いでハインツが場を仕切る。

「あ、あの、ちょっといいですか?」

 マインツがおずおずと手を上げる。

「なんだ!? なにか良い案でもあるのか!?」

「あ、すいません、そうじゃなくてですね...そもそもどうやってチリーヌ王女は我々の行動を先読み出来たのかなと思いまして...」

「あぁ、それならなんの不思議も無い」

 ハインツはサラッと言い切った。

「と言われますと?」

「僕もそうだが、お前達は使用人に行き先を秘密にするよう徹底したか?」

「あぁ、言われてみれば...確かにしてなかった...」

「俺も...秘密にするどころか寧ろ嬉しくて、自分から積極的にベラベラ喋っていたような...」

「ボクもです...お土産買って来るからねとか言ったりして...」

 三者とも同様だった。

「恐らくだがチリーヌ王女は僕達の使用人にこう言ったんじゃないかな?『誰々に連絡を取りたいのだがいらっしゃるだろうか?』と。そう言われた使用人は『今、何処其処にお出掛けしているので無理です』と答えるんじゃないか?」

「あぁ、なるほど...」「そういうことか...」「ありえますね...」

 三者ともに納得したようだ。

「もちろん、タイミング良く合わせるには常に我々の動向を見張っている必要がある。全くもって粘着質なことだな...」

 そう言ってハインツは顔を顰めた。全員が薄ら寒くなったように身を震わせる。

「そんなチリーヌ王女のお気に入りがワインツか。そこになにか意味はあるんだろうか...」

 ハインツは誰に聞くとも無しにそう呟いた。

「いっそワインツ様に引き取って貰えれば...」

 思わずアズミがポロッと漏らした時だった。

 ジャキーンッ!

 ナズミがベレッタを両手に構えてアズミをロックオンした。

「すいません、良く聞こえなかったんでもう一度言って貰っていいですかね?」

 いつもの間延びした口調ではなくドスの利いた声で目も据わってる。 

「ゴメンなさいもうしません何でもしますから命だけは助けて下さいお願いですから撃たないで下さい」

 アズミはホールドアップしながら早口で捲し立てた。

「ナズミ~! 人殺しはダメ! 絶対!」

 ワインツは慌ててナズミとアズミの間に体を滑りこませた。

 ハインツは「ハァッ」と大きなため息を吐くのだった。
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