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第7話 疲れました

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 ハインツが帰った後、レイナは無事だった自分の首を撫で撫でしながら自室のベッドに戻った。

「はぁ...取り敢えず処刑の危機は脱したようだけど、これから私どうなるんだろう...」

 ハインツは婚約破棄しないと言っていた。何故だろう? 全く記憶に無いが、ハインツが言ってた通りなら自分は相当に嫌なヤツだったはずだ。ハインツに近付く全ての女に噛み付いていたってどんだけ嫉妬深いんだよ。引くわ昔の自分。それだけハインツのことが好きだったということなんだろうけど。いやそれでも無いわ~

 だったらそんな嫌な女、さっさと婚約破棄すればいいのに、なんでしないんだろう? 今日の一件は決定的だったはずだ。好きじゃないって言っちゃったし、更にこっちから婚約破棄をちらつかせたりもしたというのに。

 婚約破棄できない理由が何かあるんだろうか? 腐っても自分は公爵令嬢だから? 政治的な思惑か何かが絡んでる? 考えても答えは出そうになかった。

「取り敢えず寝よう」

 レイナは夕食も食べずに翌日の朝まで爆睡した。


◇◇◇


「レイナ、おはよう」

「あ、おはようございます、ハインツ殿下...」

 (また下駄箱かよ...コイツ、下駄箱で待ち伏せすんの好きだな...)

「固いなぁ、ハインツでいいよ? 婚約者なんだからさ」

「で、では失礼して...ハインツ...様」

「う~ん、呼び捨てでもいいんだけど、まぁ今のところはそれでいいか」

「それであの...何かご用でしょうか?」

「いや? 君がちゃんと登校してくるかどうか心配だっただけ」

「そ、そうでしたか、ご心配お掛けしました...」

 (な、なんか監視されてるみたいで怖いんですけど!?)

「うんうん、元気そうで良かったよ」

「で、ではこれで...」

「ちょっと待って」

「ま、まだ何か?」

「良かったら、お昼一緒にどう?」

「えっ? お昼ですか?」

「うん、言ったろ? 君の取り巻き連中は全員停学になったって。君、彼女達と毎日お昼一緒だったよね? 一人じゃ寂しいだろうと思ってさ」

「お気遣いありがとうございます...でもハインツ様はご友人の方々とご一緒だったと存じます。ご迷惑をお掛けすることになりますので、どうぞ私のことはお気になさらず」

「迷惑なんかじゃないんだけどな。けどそれなら俺と二人っきりっていうのはどう?」 

 (なんでこんなにグイグイ来るの!?)

「は、はぁ、それなら...」

「決まりだね。じゃあお昼に」

 (なんなの急に! もう訳わかんない!)

 朝からどっと疲れたレイナだった。
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