我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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 私はエリザベートがせっせと変装メイクして行く姿をボーッと見詰めるしか出来なかった。

 本当にエリザベートの目論見通り事が進むんだろうか? 狂ったクリフトファー様が怒ってアランを手に掛けたりしないだろうか?

 私の頭の中には最悪な形の未来予想図しか浮かんで来なかった。

「...エット、アンリエットってば」

「えっ!? あ、あぁ、ゴメン。なに!?」

「カツラの調整を手伝ってちょうだいよ。頭の後ろの方は自分じゃ見えなくて無理なんだから」

「あぁ、はいはい...了解...」

 どうやら気も漫ろになっていたようだ。気を取り直してエリザベートの変装メイクを手伝う。

「大丈夫よ。絶対に上手く行く。私を信じて」

「うん...」

 変装メイクが完成した頃、

「良し。じゃあそろそろ出ないと時間に間に合わなくなりそうだから行くわね」

 エリザベートは懐中時計を手にして立ち上がった。

「エリザベート...気を付けてね...」

「心配要らないわ。ちゃんとお守りもあるしね」

 そう言ってエリザベートは、ロングコートに忍ばせたレイピアをチラッと見せた。

 その時だった。

「お嬢様! ビンゴでした!」

 息を弾ませながらハンスが戻って来た。

「ハンス!? 見付けたの!?」

 私は勢い良く立ち上がって尋ねる。

「はい! 空き家の一つに柄の悪い破落戸共が頻繁に出入りしてました! 中の様子はまだ確認できていませんが、十中八九間違いありません! 今はカイル殿が監視しております!」

「ありがとう! 良くやってくれたわ! エリザベート! どうする?」

 するとエリザベートは顔を伏せてなにやら考え込んでしまった。

「えっ!? エリザベート様!? その格好は!?」

 私の変装メイクをしているエリザベートに、ハンスが気付いて混乱するのも無理はない。

「あぁ、ハンス。実はね...」

 私は事の次第を掻い摘んでハンスに説明した。

「そんなことが...あぁ、それでエリザベート様はお嬢様の身代わりを...」

「えぇ、そういうことよ」

「良し! 決めたわ!」

 そうこうしている内に、考えが纏まったのかエリザベートが顔を上げた。

「二正面作戦で行く! ネオ! あなたはカイルに合流しなさい! 二人で制圧できそうならやっちゃって構わないわ!」

「御意!」

「リック! あなたはアンリエットを守りなさい! 決して側から離れるんじゃないわよ!」

「御意!」

「それじゃあ私は指定された場所に行って来るわね!」

 矢継ぎ早に指示を飛ばし、身を翻そうとするエリザベートを慌ててリックが止める。

「お、お待ち下さい! お嬢様一人で行くなど危険過ぎます! せめて俺だけでも連れて行って下さい!」

「ダメよ! この前のことを忘れたの!? アンリエットの警備が薄くなった所を突かれたじゃないの! だからあなたはアンリエットに付いてなさい! これは命令よ! 私なら大丈夫! 強いのは知ってるでしょ! それじゃあ時間も無いからもう行くわね! 後はヨロシク!」

 私達は慌ただしく部屋を飛び出して行ったエリザベートをただ見送るしかなかった。
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