我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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172 (第三者視点4)

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 その頃、一本松を見上げるように物陰から双眼鏡で覗いていたクリフトファーは唇を噛んでいた。

「クソッ! クソッ! またか! またなのか! あのクソ妹め! 何度僕の邪魔をすれば気が済むんだ! クソッ! クソッ」

 地団駄を踏みながら悪態を吐くが、そんなことをしたところで状況が改善するはずもない。

 ただクリフトファーは、もしかしたらアンリエットが近くで見ているのではないかと思って、周りに目を配ったりもしていたりした。

 だから偽物と見抜いた後でも、すぐにこの場を離れることが出来なかったのだが、結果的にはそれが命取りとなるのだった。


◇◇◇


「ぬおっ!? な、なんだてめえら!? グエッ!」

「こ、この野郎! な、舐めやがって! グオッ!」

 カイルとネオにとって、奇襲により慌てふためいた破落戸共を蹂躙するなど訳も無い。二人はあっという間に制圧を完了した。

「おい! 拐って来た男はどこだ?」

 カイルは地に伏せた破落戸の一人を踏み付けながら詰問した。

「へっ! そんなもん知るか! せいぜい家捜しでもするんだな!」

 せめてもの抵抗として破落戸は虚勢を張ったが、それは悪手だった。カイルは物も言わず破落戸の手の指を一本へし折った。

「グギヤァァァッ!」

 忽ち破落戸は絶叫を上げる。

「もう一度聞く。男はどこだ? こっちは急いでんだ。余計な手間掛けさせんな。もう一本逝っとくか?」

「言う! 言うから勘弁してくれ~! 地下室! 男は地下室だ!」

「ありがとよ」

「ウグッ...」

 カイルは破落戸を蹴り飛ばして気絶させた。

「地下室だ! 行くぞ!」

「応!」

 他の破落戸共を片付けていたネオがすぐ反応した。


◇◇◇


 同時刻。エリザベートは未だに懐中時計とにらめっこしていた。

「フゥ...ダメか...やっぱりそう簡単には引っ掛かってくれないか...帰ろ...」

 そう呟いて身を翻した時だった。近くの物陰でなにかがキラッと光った。それは辺りを見渡していたクリフトファーの双眼鏡に反射した太陽の光だったのだが、エリザベートにはそれだけで十分だった。

「見ぃ付けたぁ~! こんのバカ兄がぁ~!」

 エリザベートはカツラやサングラスをかなぐり捨てて、クリフトファーの隠れている場所に突進した。

 少し遅れてそのことに気付いたクリフトファーは、

「マズい! バレた! おい、お前ら! 時間を稼げ!」

「えぇっ!? ちょ、ちょっと旦那ぁ!?」

 いきなりの展開にビックリして戸惑っている破落戸共を尻目に、クリフトファーは修羅と化した自分の妹から一目散に逃げ出したのだった。
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