我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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188 (第三者視点6)

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 一方その頃。

「お嬢様、お手紙です」

「誰から?」

「ロバート様からです」

「兄さんから? 珍しいわね。何事かしら?」

 アンリエットは兄ロバートからの手紙をハンスから受け取っていた。

「これは...ハンス、エリザベートを呼んで来てちょうだい」

「畏まりました」

 手紙を一読したアンリエットは渋い顔でそう告げた。

「どうしたの? なんかあった?」

 程なくエリザベートがやって来た。

「兄から手紙が来たの。どうやらお見合いの申し込みがあったみたいなのよ」

 そう言ってアンリエットは兄の手紙をエリザベートに差し出した。

「読んでいいの?」

「えぇ、問題ないわ」

 手紙を受け取ったエリザベートは、素早く一読した後にアンリエットと同じような渋い顔になった。

「なるほど...ランドルフ侯爵家に目を付けられたって訳か...」

「そうみたい...ねぇ、エリザベート...どうしたら良いかしら...」

 ランドルフ侯爵家はとにかく黒い噂の絶えない貴族家である。古くから続く名家であり、先祖が輝かしい功績を収めたことで当時の王家から陞爵を賜り侯爵の地位を得た。

 だがその子孫に当たる現当主は、偉大な先祖の功績に泥を塗るような人物であり、違法賭博や人身売買、麻薬や銃火器の密輸などに手を染めているらしいと専らの噂である。

 それは最早社交界では一般常識になりつつあるレベルであり、それだけの疑惑がありながら未だに国の査察を受けていないのは、一重に大量の賄賂をバラ撒いて官僚達を手玉に取っているという噂だ。

 そう、全ては噂に過ぎないのだが、火の無い所に煙は立たないという言葉がある通り、これだけ真しやかに噂が立っているということは、黒に限りなく近いグレーということであり...

「厄介ね...」

「全く...」

「あら? でもランドルフ侯爵家に妙齢の令嬢なんて居たかしら?」

 エリザベートはおとがいに手を当てて考え込んだ。

「エリザベートもそう思う? 私も記憶に無いのよね...」

 アンリエットも同じポーズを取った。

「令嬢の名前は...アナスタシアね...やっぱり聞いたこと無いわ...」

 エリザベートは手紙の文字に目を落としながらしみじみと呟いた。

「えぇ、私も...」

「アンリエット、ちょっとこっちで調べてみるわ。まだ返事をしないようにロバート大作家様に伝えてちょうだい」

「分かったわ...申し訳ないけどよろしく頼むわね...ってか、大作家様ってなによそれ...」

 そうアンリエットがボソボソと呟いたのを気にも留めず、エリザベートは走るようにその場を後にした。

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