我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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 次の日、仕事中にセバスチャンがやって来た。

「お嬢様、お手紙が来ております」

「誰から?」

「エリザベート様からでございます」

「あぁ、来たのね」

 結婚式の招待状だろう。私はチラッと内容を確認した。

「ふうん、来月ね。随分と慌ただしいこと」

 昨日アランに言った通り、私は招待状の欠席の所に○を付けて返信用の封筒に入れた。

「セバスチャン、これ出しといて?」

「畏まりました」

「アランはどうしてる?」

「執事教育を一通りやり直しています。せっかく教えたのにすっかり忘れている部分が多々ありますので」

「そう。よろしくね。厳しく扱いていいからね?」

「心得ております」

 これもアランの貴族教育としての一環だ。まずはセバスチャンのような一流の執事に少しでも近付けるように。

 この屋敷でセバスチャンに弟子として厳しく躾られていた頃を思い出して、しっかりと学んでいって欲しいものだ。

 領地に行ってからは私が甘やかしたこともあって、すっかり素に戻っちゃったからね。そこは私も反省している部分だったりする。だからここからは厳しく行くことにする。

 アラン、頑張れ。あんたはやれば出来る子なんだから。


◇◇◇


「ちょっとぉ! アンリエットぉ~! これどういうことよぉ~!」

 次の日、エリザベートがやって来やがった。来るなり喚き散らすもんだから、全くもって騒がしいったらない。

「うるさいわねぇ。藪から棒になんなのよ一体」

「これよこれ! どういうことだって聞いてんのよ!」

 エリザベートの手には、私が返事を出した結婚式の招待状が握り締められていた。

「それがどうかしたの?」

 私は敢えてすっとぼけた。

「どうしたもこうしたもないでしょうがぁ~! なんなのよこの欠席っていうのはぁ~!」

「○を付けた通りだけど?」

「だからなんで実の兄の結婚式を欠席すんのよぉ~!」

「ジツノアニ? ナニソレ? 美味しいの?」

「いきなりアホになってんじゃないわよぉ~!」

 ちっ! アホになる作戦はダメだったか。仕方ないな。もう少し付き合ってやるか。

「欠席するって言ったじゃないの?」

「そりゃ確かにそう言ってだけどぉ! まさか本気で言ってるなんて思わないじゃないのよぉ~!」

「おあいにく様。本気も本気。超本気よ」

 私はドヤ顔でキッパリと言い切った。

「だからなんでなのよぉ~!」

 エリザベートが涙目になった。花粉症なのかな? 大丈夫? お大事にね? 

「そんな訳ないでしょうがぁ~!」 

 をいをい、私の心の声にまで突っ込むなよ。怖いじゃんか。
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