我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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★登場人物紹介及び粗筋と簡単なストーリー振り返り(読み飛ばして頂いて問題ありません)

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 今更ですが登場人物の紹介をしていきたいと思います。

 タイトルにも記しました通り、読み飛ばして頂いて問題ありません。こんなに長く続くとは思わなかったので、作者の備忘録も兼ねておりますw

 本当はこういうのって章分けとかして章の先頭か終わりに追加するものなんでしょうが、今からじゃ面倒なんでこのスタイルのまま続けますw


◇◇◇


 主要登場人物その1

 ☆アンリエット・フィンレイ

 肩書きは伯爵令嬢。本作の語り部。物語は基本、彼女目線で進行する。

 婚約者であるギルバートに裏切られた過去を持つ。そのため、恋愛には少し臆病になっている。
 次に出会ったクリフトファーとは婚約寸前まで行ったが、クリフトファーの元カノに逆恨みされ頬に大きな傷を負う。
 その件でますます恋愛から遠ざかるようになったが、幼馴染みのパトリックに求婚されたり、従者であるアランと良い感じになったりと、本人の思惑とは裏腹になぜか色恋沙汰が絶えない。


 主要登場人物その2

 ☆ギルバート・クレイン

 肩書きは元伯爵令息。アンリエットの元婚約者。

 アンリエットを裏切り幼馴染みのキャロラインと浮気する。巷で流行っている小説『真実の愛は永遠なり』の主人公と自分を重ね合わせて悦に浸っていた。
 アンリエットの仕掛けた罠に引っ掛かっているとも知らず、王族の目の前でアンリエットを断罪した所を逆にざまぁされ実家から勘当された。
 今は同じく勘当されたキャロラインと二人で市井で暮らしている。
 

 主要登場人物その3

 ☆キャロライン・ウィンバース

 肩書きは元男爵令嬢。

 ギルバートに唆されてアンリエットを断罪しようとするが、ギルバートと同じようにざまぁされ実家から勘当される。
 そもそもがアンリエットによって仕向けられたアランと良い関係になってしまうなど、貞操観念は緩い様子。
 娼館に売られた所を、同じく実家から勘当され、たまたまその娼館に就職したギルバートに助けられる。


 主要登場人物その4

 ☆エリザベート・ランカスター

 肩書きは公爵令嬢。

 アンリエットの学生時代からの友人。色んな意味でパワフルな女性。アンリエットのことを大事に思っていて、なんなかやと手助けしてくれる。
 兄のクリフトファーのせいで心と体に傷を負ったアンリエットに申し訳ないと思っている。
 アンリエットの兄であるロバートの正体がベストセラー作家である『ジョン・ドウ』であると知ってからは、自身の婚約者そっちのけで猛烈なアピールを開始し、ついにロバートの子を身籠ってしまった。


 主要登場人物その5

 ☆クリフトファー・ランカスター

 肩書きは元公爵令息。

 エリザベートの兄。アンリエットがロバートを陥れるために色々画策している所をたまたま目撃してしまい、それ以来アンリエットの手助けをするようになる。
 やがてアンリエットと恋に落ち、婚約寸前という所まで行ったが、元婚約者であるスカーレットがアンリエットを逆恨みし、アンリエットの顔を傷付けるという傷害事件を起こしてしまう。
 責任を感じたクリフトファーは一旦は身を引くが、アンリエットのことを諦め切れず心が病んでしまう。
 それはやがて公爵家の金を持ち出して出奔し、アンリエットを隣国に連れ去ろうと画策するまでになってしまった。
 エリザベートらの活躍で未然に防いだが、心を病んでしまったクリフトファーは一生出られない精神病院行きになった。
 ところが病院へと搬送する途中に逃げ出してしまう。そしてまたもやアンリエットを連れ去ろうとするが、今度もまたエリザベートに阻止された。
 今は公爵家の地下牢に幽閉されているらしい。


 主要登場人物その6

 ☆ロバート・フィンレイ

 肩書きは伯爵令息。

 アンリエットの兄でベストセラー作家の『ジョン・ドウ』の正体。好きな小説を書き続けるために妹であるアンリエットに家督を譲った。
 だがアンリエットが顔を傷付けられたことで、傷心した妹を慮り代わりに家督を継ぐことにした。実は結構なシスコン。
 しかしロバートが家督を継ぐことになった途端、悪名高いラングレー侯爵家に目を付けられてしまった。ラングレー侯爵家との縁談を迫られた。実質乗っ取りのようなものである。
 そこでどうすれば良いのかと公爵家であるエリザベートに相談を持ち掛けた所、既成事実まっしぐらと言わんばかりにエリザベートと懇ろな関係を持ってしまった。
 今は公爵家に拉致されている。
 

 主要登場人物その7

 ☆アラン

 肩書きはフィンレイ家の執事。

 元々は舞台俳優だった。ロバートの書いた小説を舞台化するに当たり、アンリエットが舞台稽古を見に行ったことが出会ったきっかけである。
 チャラ男だったアランはあろうことかアンリエットに手を出そうとした。ホテルに連れ込んだ所を取り押さえられ、そこからアンリエットの小飼いとしてキャロラインを誘惑したりなど手足となって働いた。
 その後、正式にフィンレイ家に執事として雇われることになる。最初は主従の間柄だったが、今ではアンリエットと心を通じ合わせる仲にまで発展した。
 今はエリザベートの計らいでとある貴族家の養子になることが決まり、貴族の品位を習得すべく修行中である。


 主要登場人物その8

 ☆パトリック・ヘンダーソン

 肩書きは元子爵令息。

 エリザベートの幼馴染み。初恋の相手でもある。フィンレイ伯爵領とヘンダーソン子爵領が隣り合っている所から幼少期より付き合いがあった。
 傷を負ったアンリエットが領地に引っ込んだ所にやって来て求婚する。だが実は元娼婦であるマーガリンとの間に隠し子が居た。
 それを知ったアンリエットは激昂し出禁とする。その後、両親と弟のウィリアムが起こした不祥事のせいで、ヘンダーソン子爵家はお家取り潰しとなってしまう。
 関与を疑われたパトリックは隠し子であるマックスをアンリエットに託して隣国に出奔するが、改心し後を追って来たウィリアムに説得され戻って来た。


 主要登場人物その9

 ☆ウィリアム・ヘンダーソン

 肩書きは元子爵令息。

 パトリックの弟。末っ子ということもあり両親から甘やかされて育った。子爵令息だった時代には散々ハメを外して散財の限りを尽くしていたが、それが後を継いだパトリックの逆鱗に触れマクロの遠洋漁業船に乗せられる。
 その後なんとか戻って来てみれば、自分達のせいでヘンダーソン子爵家が取り潰しにあったと聞き、心を入れ替えて真っ当に生きることを誓う。
 兄の隠し子であるマックスを連れて隣国に渡り、パトリックを説得して一緒に帰国することに成功する。
 実はパトリックは、マックスの本当の父親はウィリアムだとマーガレットから聞かされているのだが、父親だと思い込んでいて懐いているマックスには本当のことを言えずにいる。だからウィリアムもそのことを知らない。


 ~ 粗筋 ~

とある侯爵家で催された夜会、伯爵令嬢である私ことアンリエットは、婚約者である侯爵令息のギルバートと逸れてしまい、彼の姿を探して庭園の方に足を運んでいた。

そこで目撃してしまったのだ。

婚約者が幼馴染みの男爵令嬢キャロラインと愛し合っている場面を。しかもギルバートは私の家の乗っ取りを企んでいるらしい。

 よろしい! おバカな二人に鉄槌を下しましょう!


 ~ プロローグ ~

 それは全くの偶然だった。

 とある侯爵家で催された夜会、伯爵令嬢である私ことアンリエットは、婚約者である侯爵令息のギルバートと逸れてしまい、彼の姿を探して庭園の方に足を運んでいた。

 そこで目撃してしまったのだ。

「あぁっ! 愛しいキャロライン! 君とこうやって隠れてコソコソと合わなければならないなんて! 僕達はなんて不幸なんだ!」

「仕方ないわ、ギルバート。私はしがない男爵令嬢で、あなたは侯爵家の次男坊。そして伯爵令嬢の婚約者なんですもの。いくら私達が幼馴染みで想い合っていたって、身分の差はどうしようもないのよ」

「そんなことない! 真実の愛の前には身分の差なんて関係無いんだ! ほら、この本にもそう書いてある!」

「まぁっ! それは! 現在巷でベストセラーになっている『真実の愛は永遠なり』ね! 私、この本大好きなの!」

「僕もだよ! そしてこの本が僕らのバイブルになるんだ!」

「えっ!? どういうこと!?」

「いいかい? この本のストーリーは主人公の方が子爵令息、ヒロインの方が平民の幼馴染みで、身分の差を越えて愛を育んでいくんだ。だが悲しいかな、主人公は貴族であるが故に家から命じられた政略結婚を拒むことが出来ない。泣く泣く婚約を結ぶことになったが、主人公の気持ちは幼馴染みのヒロインに向いたままだ。そのことに嫉妬した主人公の婚約者である悪役令嬢は、陰湿な虐めを繰り返しヒロインを主人公から引き離そうとする。だがしかし!」

 そこでギルバートは自分に酔ったかのように一旦間を空けた。

「障害があればあるほど二人は愛は逆に燃え上がり、主人公はヒロインと絶対に別れないと心に誓う。そして悪役令嬢を追い詰めるだけの証拠を掴もうと動き出すんだ。どうだい? まるで僕達のことを描いてるみたいじゃないか?」

「本当だわ! まさしく今の私達の境遇にピッタリよ!」

「そうだろう? まだ本の続きは発売されてないけど、これだけは断言できる! 悪役令嬢は断罪されて主人公達はハッピーエンドを迎えると!」

「素敵! そうなれたら最高だわ!」

「なれたらじゃない! なるんだよ! 僕達もハッピーエンドを迎えるんだ!」

「で、でも...一体どうやって!?」

「フフフッ! 僕に考えがある! アンリエットを悪役令嬢に仕立て上げるんだ!」

「えぇっ!? そんなこと出来るの!?」

「出来るさ! 僕に任せといてくれ! アンリエットは僕の言いなりだからね! 伯爵家を僕に継がせるように画策して、その後で君に対する虐めをでっち上げて断罪する! アンリエットを家から追い出したら君を迎え入れる! どうだい? 完璧なプランだろう?」

「で、でもそれじゃアンリエット様が不憫過ぎるわ...」

「キャロラインは優しいな。でも心配要らないよ。アンリエットとは元々政略目的の結婚だったんだ。お互い情なんてない。僕の心は今までも、そしてこれからもずっと君と共にあるんだ! そうだろう? 僕達は真実な愛で結ばれているんだから!」

「あぁ、ギルバート!」

 なあるほど。よおく分かった。

 私はヘタな三文芝居を見せられて、辟易しながらそっとその場を離れたのだった。
 
 
 我が家は伯爵家の中でも裕福な方だ。

 私はそんな家の長女として生を受けた。5歳年上の兄が1人居る。本来なら兄が家督を継ぐべきなのだが、生まれつき病弱なので継ぐのは無理と判断され、私が後継者となるべく育てられた。

 15歳になったら入学する王立学園でも、普通の貴族令嬢なら家政科を選ぶところを、私は経営管理科を選んで3年間みっちり学んだ。

 お陰で卒業してすぐ、両親が海難事故に遭い儚くなった時も、悲しみを乗り越えて家督をスムーズに継ぐことが出来た。

 以来、王都にある屋敷と領地を往復しながら業務を熟し、忙しい毎日を過ごしている。いつまでも悲しんでいる暇なんかなかった。

 ギルバートとの婚約が決まったのは、両親が儚くなって1年が過ぎた頃だった。ギルバートの家は侯爵家とは名ばかりの落ちぶれた家で、伯爵家とはいえ裕福な我が家に資金援助目当てで近寄って来た。

 断っても良かったのだが、相手は一応格上の侯爵家。是非にと請われて断り切れなかった。ギルバートがあんなクズだと知っていれば、間違っても婚約なんか結ばなかったが、今となってはもう遅い。だったらこれからやるべきことは、

「よろしい。おバカな二人に鉄槌を下しましょう!」

 そう宣言した私は、あるアパートの一室を目指した。


◇◇◇


「兄さん、入るわよ~」

 ドサッ! バサバサッ!

「うわっと!? 兄さん! ドア付近に本を置かないでいつも言ってるでしょ!」

「あぁ、悪い悪い。アンリ、いらっしゃい。今日はどうしたんだい!?」

「それが実はね...」

 私は兄のロバートに一部始終を語った。

「ぬわんだとぉ! ギルバートの野郎! ウチの可愛い妹になんてことしやがる! ぶっ殺してくれよう!」

 妹バカの兄が激昂した。

「兄さん、落ち着いて。まだ実際の被害には合ってないから。私が今日ここに来たのはね、彼らがバイブルと呼んでいた小説『真実の愛は永遠なり』の続きが知りたかったからよ。ベストセラー作家の『ジョン・ドウ』さん」

 そう、私の兄はベストセラー作家なのだ。病弱設定は世間を憚るウソで、実際は作家業に専念したいから家督を放棄したのだ。

 外聞が悪いので病気療養中ということにしてるが、実体はこうして締め切りに追われながら、アパートの一室に缶詰め状態になっている。

 だが本人は元々引き籠もりなので、今の生活が気に入っているという。私はそんな兄を支えるために家督を継ぐことにした。

 なぜなら私は、兄の書いた小説の第1号のファンだからだ。そしてそれは今も続いている。兄の書く小説に、私はどっぷりと嵌まっているのだ。

 それに私は元々、領地経営に興味があった。だから家督を継ぐための教育も苦にならなかった。

 こうして私と兄は、それぞれの役割分担をしっかり行って来たのだ。兄の書いた小説がベストセラーになった時、私は自分のことのように喜んだものだ。
 

「あの小説の続きはこんな感じだ」

 そう言って兄は私に原稿を渡す。

「所謂、悪役令嬢の断罪物って感じで特に目新しい点は無いぞ?」

「ふうん...確かにそうね。ざまぁとかがある訳でも無さそう...」

 私は原稿に目を通しながらそう呟く。

「ざまぁの展開に変更した方が良かったりするのか?」

「いえ、このままで良いわ。面白い展開になるように、彼らにはせいぜい踊って貰うことにしましょう」

「分かった。お前がそれでいいなら。他に俺が手助け出来そうなことはあるか?」

「そうね...もしかしたらイベントを追加して貰うかも知れない。その時になったらまた連絡するわね」

「あぁ、待ってるよ」

「あ、そうだ。兄さん、はいこれ。今月分の印税よ」

「ん、そこら辺に置いといてくれ」

「...いつも思うんだけどさ、いくら実の妹だから信用してるといっても、中身の確認くらいはちゃんとしなさいよね...私が着服してたらどうする気よ?」

 私はため息を吐きながらそう言った。

「俺の天使な妹はそんなことしない。それに金なんてあってもどうせ使い途無いし」

「はいはい...」

 確かにそうだ。引き籠もっていたらそうなるわな。天使云々に関しては無視する。兄の妹バカ度は重症のようなんで...

「あ、そうそう。兄さんの小説を舞台化したいって話が出版社の方に来てるのよ。許可していい?」

「お前に全て任せる」

「はぁ...」

 兄は小説を書く以外は興味無いのであった。


◇◇◇


 私はその足で出版社に向かった。今日はこれから舞台関係者との顔合わせがあるのだ。

「社長、どうもご苦労様です」

「お疲れ様。皆さん、お集まりになってる?」

「はい、応接室の方に」

「分かった。すぐ向かうわ」

 そう、この出版社は私が立ち上げたのだ。伯爵家の金を使って。つまり兄の小説が売れれば売れるほど、我が伯爵家が潤うことになっている。 

 もちろん兄以外の小説家の発掘も積極的に行っている。

「遅くなりまして申し訳ありません。私が社長のアンリエットです。ジョン・ドウの代理人を務めております」

「これはどうもご丁寧に。私は脚本家兼演出家のトーマス、こちらは主役を務めますカレンとアランになります」

「カレンです。よろしくお願い致します」

「アランで~す♪ よろしくお願いしま~す♪ 美しい人♪」

「こらアラン! 失礼だぞ! ちゃんとしないか!」

「は~い...スンマセン...」

 私は苦笑しながらアランとかいうチャラ男を観察した。役者だけあって当然ながら目鼻立ちは怖いくらい整ってる。加えてこの軽さ。

 コイツは使えるかも知れない。

「舞台化の件は了承しました。脚本が上がった段階で一度見せて下さい。それと舞台稽古を見学させて貰ってもいいですか?」

「もちろんですとも! 是非ともお越し下さい!」

「ありがとうございます」

 そう言って私はアランにニッコリと微笑み掛けるのだった。 


「さて、小説の続きはと...」

 私は先日発売されたばかりの、兄が書いている小説『真実の愛は永遠なり』の最新刊を手に取り思案に耽る。

「もう既にギルバートとキャロラインは読んでるはず。アイツらがこの小説の通りに動く気なら次は...舞踏会か」

 私は自分の手帳でスケジュールを確認する。

「直近でお誘いが来てるのはと...おっ! ちょうどいい! エリザベートんちから来てんじゃん! これに決めた!」

 エリザベートとは私の学生時代の友人で公爵令嬢である。王族に次ぐ高い身分であるにも関わらず、誰とでも分け隔てなく接する気さくな友なので、私の大好きな令嬢の一人だ。

「では早速、作戦開始と行きますかね」

 私は自分の執務室を出て図書室に向かった。今日はギルバートが家督教育のため我が家を訪れている。

 正確には既に家督を継いでいる私の補佐をするための教育だが、講師達に聞くとあまり真面目に受けていないらしい。

 私を追い出して我が伯爵家を乗っ取るつもりじゃなかったんだろうか? 教育も受けずに私を追い出した後、一体どうする気なんだろう?

 まぁそんな事どうでもいいか。乗っ取らせる気なんか更々無いし、そもそも私を追い出したって、我が家の血を引いてないギルバートが伯爵位を継げる訳無いのに。

 私が居なくなったら兄のロバートに継承権が移るだけで、間違ってもギルバートに移ることは無い。

 ちゃんと教育を受けていれば分かりそうなもんだけど、きっと頭の中はキャロラインとの真実の愛とやらで一杯なんだろうな。アホなヤツ。

「ギルバート、ちょっといい?」

「あぁ、どうしたんだい?」

「今度の日曜日、エリザベートの家で舞踏会を開くみたいなのよ。招待状が届いてるから一緒に参加してね?」

「日曜日だね? 分かった」

「それでね、その日の昼間、私はどうしても外せない用事があるのよ。舞踏会は夜からだから、エリザベートの家に現地集合という形にして欲しいの」

「あぁ、構わないよ」

「ゴメンね。エスコートはしなくていいから、先に会場に入っていて?」

「......」

「ギルバート?」

「えっ!? あ、あぁ、了解したよ...」

 良し良し。心ここに有らずって状態になってるな。これで間違いなくギルバートはキャロラインをエスコートして会場入りすることだろう。

 そう、小説の通りにね。その後どうなるかなんて想像もせず。

 フフフッ! 舞踏会の夜が今から楽しみだ。

 私はギルバートに気付かれないよう、そっとほくそ笑んだのだった。

 今、私の手元にはキャロラインに関する調査報告書がある。

 キャロラインの実家である男爵領と、ギルバートの実家である侯爵領は隣り合っている。

 その関係で子供の頃から付き合いがあったそうだ。所謂幼馴染みというヤツだ。キャロラインはギルバートより3つ年下なんだそうだ。

 私とギルバート、そして舞踏会に招待してくれたエリザベートは学園では同級生だった。キャロラインは私達が卒業した年に入学して来たから、私とキャロラインは面識が無い。

 あの侯爵家での夜会で、人目を忍んでギルバートと抱き合っていたのを見たのが最初だ。遠目からだったが見た目は華奢で、守ってあげたくなるよう雰囲気を感じたのを覚えている。

 女の私でもそうなんだから、男であるギルバートなら尚更だろう。ましてや幼馴染みという関係でもある。コロッと手玉に取られても不思議は無い。

 キャロラインはそのくらい強かな女だった。

 まだ学生の身でありながら、貢がせた男の数は数知れず。高位貴族の令息であれば片っ端から言葉巧みに近寄り、次々と骨抜きにして行ってるらしい。彼女のせいで婚約者から婚約破棄を突き付けられた令息が後を絶たないんだとか。

 おかしいと思った。一介の男爵令嬢が侯爵家の夜会に呼ばれるなんて普通は有り得ない。恐らく誑し込んだどこかの令息に連れて来て貰ったんだろうが、そこで次のカモを見付けたってことか。ギルバートという名のカモを。

 おバカなギルバートは、きっとそんなこと露ほども思っていないだろうな。大方、久し振りに会った可愛い幼馴染みにデレッとして、更に小説の話で盛り上がったもんだから、すっかり浮かれて同じように骨抜きにされたってとこなんだろう。

 本当に愚かな男だ。

 ここ最近のギルバートは、かなりの金額をキャロラインに貢いでいるのが分かっている。ドレスや宝石など、高級品ばかりを買い与えている。それと高級レストランで派手に飲み食いしているらしい。

 全て我が伯爵家のツケで。

 まだ結婚もしてないのに、ウチの金を勝手に使い捲るなど有り得ない。それも浮気相手のために使うなど、やってることは泥棒と変わらない。

 もちろん私は払う気なんて微塵も無い。全てのツケはギルバートの実家である侯爵家に回したし、各店舗にはウチのツケで物を売ったり飲み食いさせないように周知したから、買い物も飲食も出来なくなっている。

 ギルバートは実家からもかなり厳しく言われているはずだ。

 そろそろ私に泣き付いて来る頃かも知れないな。

「アンリエット、今ちょっといいかな?」

 そんなことを考えていたら、ホントにギルバートがやって来た。私は笑いを堪えるのに苦労しながら、平静を装おって返事をする。

「あら? どうしたの?」

「あ、あぁ、うん...さっきの舞踏会の件なんだけどさ...参加する上でその...色々と物入りと言うか...だからその...出来れば少し融通してくれたら助かるんだけど...」

 物入りか。確かにそうだろうな。小説通りに進めたいならどうしても必要なアイテムがある。

 キャロラインに着せるための清潔感溢れる白いドレスだ。

 小説では主人公がヒロインに贈ることになっている。主人公は本当はヒロインをエスコートしたいのだが、婚約者である悪役令嬢を蔑ろにする訳にも行かず、泣く泣く悪役令嬢の方をエスコートすることになる。

 だからせめてドレスくらいは贈りたいと、ヒロインに白いドレスをプレゼントする。自分以外の誰にも染まって欲しくないという願いを込めながら。

 それを着て舞踏会に訪れたヒロインに主人公は夢中になり、婚約者を放ってダンスを申し込む。まるで恋人同士のように息の合ったダンスを披露する二人に、会場中からため息が漏れる。

 当然悪役令嬢は面白くない。主人公がヒロインからちょっと離れた隙を狙って、赤いワインをヒロインの白いドレスにぶっ掛ける。良い気味だと高笑いする悪役令嬢と泣き崩れるヒロイン。そこに主人公が駆け付けて...

 大体こんな感じだ。だから白いドレスは必須なのだ。

「しょうがないわねぇ。また無駄遣いしてお小遣いが足りなくなったんでしょ?」

「うっ! も、申し訳ない...じ、実はそうなんだ...」

「今回だけよ?」

「あ、ありがとう! アンリエット、恩に着るよ!」

 こちらこそありがとう。目論見通りに踊ってくれて。


◇◇◇

 
 そして舞踏会当日。

 私は早目に会場に着いて物陰に身を潜める。開始時間が近付くにつれ、参加者が続々と会場入りする。

 やがてギルバートが当然のようにキャロラインをエスコートしながらやって来た。キャロラインは白いドレスを着ている。

 予定通りだ。私は物陰に隠れながらピエロを演じる二人を嘲笑った。

 舞踏会の開始時間になった。


◇◇◇


 私は音楽が奏でられダンスがスタートしてから、目立たないようにコッソリと会場入りした。

 すかさず壁の花になりながら、ギルバートとキャロラインの姿を探す。二人はダンスフロアの真ん中辺りで堂々と踊っている。

 それを確認した私は、扇子で顔を隠しながらそっと目薬を注す。婚約者を他の女に取られて壁の花に追いやられ、悲しみに暮れてそっと涙を流す。

 という体を装おいながら。

 さてどうなるでしょうか?

 ここでエリザベートについて少し語りたいと思う。

 彼女は学生時代から曲がったことが大嫌い。当時、学園内に蔓延っていた陰湿な虐めに断固として立ち向かい、弱きを助け強きを挫くその姿はまさに正義の味方、これぞ正義の令嬢と呼ばれていた。

 さてそんな彼女が、友である私を壁の花に追いやって、のほほんと違う女を侍らせている浮気男を目の前にしたらどうなるか? 答えは火を見るより明らかである。

「ちょっとギルバート、これは一体どういうことなの!?」

「えっ!? あ、あぁ、え、エリザベート。ち、違うんだよ。じ、実は今日、アンリエットがちょっと遅れるかも知れないって言うから」

「アンリエットならあそこに居るじゃないの!?」

「えっ!?」

 エリザベートが指を差してくれた瞬間に、私はヨヨヨとばかりに扇子で顔を隠して泣き真似をする。

「あ、アンリエット!? い、いつの間に!?」

 ギルバートは鳩が豆鉄砲を食ったような驚いた顔をしている。 

「我が家主宰の舞踏会で私の友人を泣かすだなんて良い度胸じゃないの! あぁ、アンリエット! 可哀想に!」

 エリザベートが私に駆け寄って抱き締めてくれた。

「ううん、いいの。私に魅力が無いのがいけないのだから。ギルバートが他の娘に目移りしちゃうのも当然だわ。私さえ身を引けば...ヨヨヨ...」

 あ、ヨヨヨって口に出しちゃった♪ テヘペロ♪

「そんなこと無いわ! あなたはとっても魅力的よ! 自信を持ちなさい! ギルバート! アンタって人は! こんな健気なアンリエットを泣かすだなんて! 恥を知りなさい! 大体、その女は誰よ!? 私はそんなどこの馬の骨か分からないような女に招待状を送った覚えは無いわよ!」

「あぐぅ...そ、それは...」

「目障りだわ! とっとと出て行きなさい! それとも放り出されたい!?」

「ヽ(ヽ゜ロ゜)ヒイィィィ!」
 
 ギルバートとキャロラインは這う這うの体で逃げて行ったとさ♪

 チャンチャン♪

 良し良し。全て計画通り。ギルバートとキャロラインは、今夜の舞踏会で私を悪役令嬢に仕立て上げたかったんだろうけど、それを上手く逆手に取ってギルバート達の方を悪役に仕立て上げることが出来た。

 これで彼らの社交界での評判は地に落ちることだろう。良い気味だ。だがこれはまだ序章に過ぎない。

 この後も更に追い込んでやる。私はエリザベートに抱き締められながら、心の中でほくそ笑んでいた。と、そこへ、

「やぁ、アンリエット。大変な目に合ったね」

「あら、お兄様」

「クリフトファー様...」

 エリザベートの一つ上のお兄さん、公爵家嫡男であるクリフトファー様が側に来てくれた。

「エリザベート、彼女のことは僕に任せてお前は舞踏会に戻りなさい。お客様方を放置してはいけないよ?」

「お兄様...それもそうね...じゃあお任せします。アンリエット、また後でね?」

「えぇ、どうもありがとう」

「さて、素敵なレディ。私めと一曲踊って頂けませんか?」

 クリフトファー様にダンスを誘われた私はビックリしてしまった。なぜならクリフトファー様は昨年、婚約者であった女性を馬車の事故で亡くされてから、誰とも踊ったりして来なかったからだ。

「あ、あの...ほ、本当に私なんかでよろしいんでしょうか...」

 私の境遇に同情してくれたのかも知れないけど、なんだか申し訳なくて思わず聞いてしまった。するとクリフトファー様は私の耳元でこう囁いた。

「目が赤くないから目薬を使ったことバレバレだよ。誤魔化すためにも僕とダンスを踊るべきじゃないかな?」

 バレて~ら! えっ!? クリフトファー様どっから見てた!? 私の背中を冷や汗がタラ~リ流れた。

 私は悪戯が成功して、してやったりというような顔をしているクリフトファー様に、

「わ、私なんかで良ければ是非」

 断るという選択肢はなかった。


◇◇◇


「なるほどねぇ。そんな面白いことになってたのかぁ」

 今、私とクリフトファー様は一曲踊り終えて休憩室に二人っきりで居る。あの後私は、ダンスの最中に洗いざらい白状させられて疲労困憊だったからだ。

「あ、あの、クリフトファー様...このことは誰にも言わないで頂けると助かります...」

「もちろん誰にも言わないよ。ただしアンリエットの計画に僕も協力させてよ? なんだか楽しそうだ」

 そう言ってクリフトファー様はさも楽しそうにしている。計画を知られた以上、協力してくれるのは正直ありがたい。でも本当にいいんだろうか? だってクリフトファー様は...

「ありがたいお言葉ですが、クリフトファー様はその...」

「まだ傷心中だって思ってる?」

「え、えぇまぁ...」

 するとクリフトファー様は吐き捨てるように、

「どうってこと無いよ、あんな女」

「へっ!? で、でもクリフトファー様は愛しておられたんでは!?」

 私は混乱していた。だから心の傷が癒えるまで、誰とも関わったりはしないんだと思っていたからだ。

「元々が政略結婚だったからね。そこに全く愛が無かった訳じゃないけど、お互いに貴族として割り切って節度ある付き合いをしていたつもりだったよ。僕の方はね」

「と言われますと?」

「相手の方はそうじゃなかったみたいでね。侍従だった男と駆け落ちしたんだよ」

 衝撃の事実!

「そ、そうだったんですね...知りませんでした...」

 エリザベートからなにも聞いてないし...

「うん、駆け落ちなんてされた方もした方も外聞が悪いからね。相手方のご両親とも相談して死んだってことにしたんだよ。秘密裏にね」

「あ、あの...ちなみに事の真相を知ってるのは...」

「両家の主だった人間だけってことになるね」

「そ、そんな大事なことを私に話しちゃって良かったんですか!?」

 私は慌てた。

「あぁ、しまった。秘密だった」

「いやいやそんなテヘペロ♪ みたいな顔されても! クリフトファー様、絶対わざとですよね!?」

「あ、バレた?」

 バレいでか! 確信犯かよ!

「な、なんでこんな真似を!?」

「ん~...なんでだろう? アンリの秘密を聞いちゃったせいかな? 僕も言わないと不公平みたいな?」

 いきなりアンリ呼びですか...そしてなんだその顔は!? 悪戯が成功した時のようなとっても良い笑顔だな!?

「なんですかそれ...ハァッ...良く分からない理屈ですが、秘密だってことは理解しました。誰にも口外しませんからご安心を」

「うん、そうしてくれると助かるよ。それで?」

「それでとは?」

「アンリの次の作戦は?」

「...クリフトファー様、本気で協力して下さると?」

「そう言ったろ?」

「...絶対面白がってるだけですよね...」

「うん、だって面白いからね。それと僕のことはクリフって呼んで欲しいな」

 なんでちょっと可愛らしさアピールしてんの!?

「いえいえそんな恐れ多い」

「言ってくれないとポロッと喋っちゃうかも~♪」

 今度は小悪魔アピールかよ!? あぁもう! 厄介なのに捕まっちゃったよ~!

「クリフ...様...」

「よろしい。これからよろしくね、アンリ♪」

 あぁ、なんかドッと疲れたよ...


◇◇◇


 翌日、執事のセバスチャンが連絡して来た。

「ギルバートが休み?」

「えぇ、なんでも体調を崩したとかで」

 さすがに厚顔無恥なギルバートでも先日の一件は堪えたってことか。まぁ、あんなことがあった後じゃ家督教育どころじゃないわな。

「そう、分かったわ。講師の先生にお詫びしといて」

「分かりました」

「それとお見舞いの花を贈っておいて。セキチクの花をね」

「ブフッ! わ、分かりました」

 セキチクの花言葉『あなたが嫌いです』

「あ、それとクリフトファー様がおいでになっております」

「ハァッ...分かったわ...すぐ行くと伝えて頂戴...」

「畏まりました」

 ここのところ、毎日のようにクリフトファー改めクリフ様がやって来る。

 私はため息を一つ吐いてから客間に向かった。
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