嫁いだら旦那に「お前とは白い結婚だ」と言われました

真理亜

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 男爵令嬢のサリアは浮かれていた。

 なんと伯爵家の嫡男であるデュランから求婚されたのだ。

「やったわ! 玉の輿よ! 高い学費を払ってまで王立学園に通った甲斐があったってもんだわ! ひゃっほーい!」

 サリアの実家は男爵家としては割と裕福な方である。だから高位貴族のみが通うような格式も学費も高い王立学園に娘を通わせることが出来た。

 そんな両親に感謝していたサリアは、家のためになんとか高位の貴族をGETしようと学業そっちのけで日々婚活に精を出していた。

 だが多少は裕福であるとはいえ所詮は男爵家。高位貴族のお坊っちゃん達には中々相手にして貰えなかった。

 それでも卒業までの三年間、めげずに必死で婚活に勤しんで来たサリアであったが、卒業式を目の前に控えた今になっても相手をGET出来ていなかった。

 もうダメか...せっかく高い学費を払ってくれた両親に申し訳ない...そんな諦めムードが漂っていた矢先のことだった。

「やぁ、サリア。卒業式のパーティーで一緒にダンスを踊るパートナーは決まったかい?」

 伯爵家の嫡男であるデュランが話し掛けて来た。同じクラスでありながら、かたやクラス内ヒエラルキーの頂点、かたやクラス内ヒエラルキーの最底辺と両極端だった二人は、ほとんど会話らしい会話を交わしたことがなかった。

「ふえぃっ!? でゅ、デュラン様!? い、いいえ、ま、まだなんでしゅ...」

 そんなデュランにいきなり話し掛けられたサリアは、舞い上がってしまい噛み噛みになってしまった。

「良かった。僕もなんだよ。どうだろう、サリア。僕で良かったらパートナーになって貰えないかな?」

「えっ!? でゅ、デュラン様...それって...」

 卒業式のパーティーでパートナーを組む。それはすなわちプロポーズを意味する。

「あぁ、そういうことだよ。受けて貰えるだろうか?」

「はい! 喜んで!」

 サリアは即答していた。

 そして卒業してすぐにサリアとデュランは盛大な結婚式を挙げた。まさにサリアは幸福の絶頂に居たのだった。


◇◇◇


 サリアが伯爵家に嫁いだその日の夜、二人の愛の巣となるべく建てられた新居の、夫婦の寝室で初夜を控え緊張しているサリアに向かって、

「えっと...デュラン様!? 今なんて!?」

「聞こえなかったのかい? サリア、お前とは白い結婚だと言ったんだよ」

 デュランは今まで聞いたこともないような冷たい声でそう言い放った。その瞬間、サリアは幸福の絶頂から一気に奈落の底まで急降下した。

「元々僕はお前なんかに興味はなかった。あったのはお前の実家の財産に対してのみだ。男爵家にしては小金持ちみたいだからな。安心しろ。お前の実家の財産を全て吸い取ったら離縁してやる。それまではせいぜい仮初めの伯爵夫人を満喫でもしてるんだな。ハーハハハッ!」

 デュランの蔑んだような嗤い声を聞かされたサリアは目の前が真っ暗になった。
 
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