嫁いだら旦那に「お前とは白い結婚だ」と言われました

真理亜

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 全く悪びれることもなく、あっけらかんと親権を手放したアイラを見ていると、

『あぁ、やっぱりステファニーは私が引き取って正解だった。この人には、いやこの人達には親になる資格なんてない』

 サリアはそう痛感していた。

 アイラにしてもデュランにしても、ステファニーのことなんてどうでも良かったのだろう。親としての愛情なんて欠片もなかったということか。

 ただ自分達で面倒見るのがイヤで、出来れば誰かに押し付けたかった。そのタイミングで都合良く現れたサリアに目を付けた。そんなとこなんだろう。

 全くもって腹立たしい。あんなヤツらに自分が『都合の良い女』扱いされてたなんて思うと、それだけで腸が煮え繰り返りそうだった。サリアはどうにか怒りを抑えて自嘲気味に苦笑しながら、裁判でコイツらに目に物見せてやると心に誓った。


◇◇◇


 その頃のデュランはというと、

「クソッ! あの女! 次見掛けたら絶対逃がさない! 覚えてろよ!」

 そう愚痴りながら豚汁を掻き込んでいた。二日振りのマトモな食事である。だから一杯じゃとても物足りない。あっという間に完食したはいいが、腹の虫はまだグウグウと鳴いている。

 そこでデュランはコッソリと炊き出しの列の後ろの方にもう一度並んだ。もちろんマナー違反である。

 ここに集まった人達全員が腹を空かしている。それなのに一人で何杯も食べてしまったら、全員に行き渡らなくなってしまう。

 そんなことは子供でも分かることなので、この場に集まった人達は誰もそんなマナー違反は犯さない。

 一人を除いては...

「ちょっとそこのあなた。ズルはダメですよ。食べ終わったら速やかに帰って下さい」

 そんなデュランの行動を監視している者が居た。

「ふ、フィリップ!? お、お前、な、なんだってこんな所に!?」

 弟のフィリップだった。デュランは驚いて目が点になった。

「はて? あなたは誰です? 僕のことを知ってるようですが、僕はあなたのことなんて知りませんけど?」

 フィリップは氷点下を更に下回るような冷たい口調でそう言い放った。

「ぬなぁっ!? な、なんだその口の利き方は!? そ、それが実の兄に対する態度かぁ!?」

 デュランは激昂するが、そんなデュランをフィリップは鼻で笑って、

「僕に兄なんか居ませんけど?」

 そう言い切った。

「ぬわんだとぉ~!」

 デュランはますますいきり立つがフィリップは冷静に、

「この人を摘まみ出して下さい。どうやらマナー違反に加え虚言癖もあるようなんで、他の皆さんにご迷惑をお掛けしてしまいますので」

『分かりました』

 そう言うと忽ちデュランの周りに屈強な男達が集まって、引き摺るようにしてデュランを連れ出して行った。

「な、なんだ貴様ら!? は、放せ放せぇ!」

 そんなデュランの姿をフィリップは、まるで汚い物でも見るかのような目で見下ろしていた。
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