嫁いだら旦那に「お前とは白い結婚だ」と言われました

真理亜

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 裁判が終わり、証人として出廷した見張り三人衆とアイラは、サリア達と一緒に男爵家に帰って来ていた。

 報酬を受け取るためである。

「あなた達、ご苦労だったわね」

 一人一人に報酬を手渡しながらサリアが労を労う。

「へへへ、こりゃどうも!」

「しばらくは遊んで暮らせるな!」

「早速飲みに行こうぜ!」

 三人は報酬を受け取って帰ろうとしたが、周りを強面の男達に囲まれてしまった。そしてサリアが徐にこう言った。

「まぁ待ちなさいよ。そんなに慌てなさんな。ねぇ、あなた達。仕事なくなっちゃったでしょう? 良かったら新しい仕事を紹介してあげるけど。どう? やってみない?」

「え、え~と...ち、ちなみにどんな!?」

 三人の内の一人が恐る恐る尋ねる。

「傭兵のお仕事よ」

「ひっ! い、いえ! け、結構です! お、お気持ちだけで!」

 そう聞いた途端、三人は揃って首を横にプルプルと振った。

「そんなビビらなくても大丈夫よ? デュランのように最前線に送るって訳じゃないから」

 すると少し興味が湧いたのか、別の一人が尋ねる。

「どういった仕事なんです?」

「後方で補給部隊の物資の運搬を手伝って貰おうと思っているわ」

「運搬...ってことは敵と戦ったりはしないんですね?」

「えぇ、そうね」

 三人は顔を見合わせて、

「え~と...ではその...よろしくお願いします...」

「商談成立ね。こちらこそよろしく」

 そう言ってサリアが目配せすると、周りを囲んでいた強面の男達の中から数人が前に出て来た。

「彼らがあなた達の面倒を見てくれるわ。付いて行って頂戴」

「分かりました」

 サリアは去って行く三人の後ろ姿を無表情に見詰めていた。実は敢えてサリアが言わなかったことがある。

 補給部隊は確かに後方勤務ではあるが、物質の枯渇した味方に物質を届けるためならどこにだって行くということを。そう、それが例え最前線であったとしても例外ではないということを。更に往々にして補給部隊は敵から真っ先に狙われる存在だということを。

 あの三人の運命は神のみぞ知るといった所だろう。

「さてアイラさん」

 サリアは最後に残ったアイラに声を掛ける。

「な、なに!?」

 アイラは警戒して一歩後ろに下がった。

「良かったらアイラさんにもお仕事を紹介しようと思うんですが如何です?」

「ま、間に合ってるわ! お、お金も貰ったし、もう用はないからすぐ帰らせて頂戴!」

 非常にイヤな予感がしたアイラは全力で断った。

「まぁまぁ、そう言わずに。話だけでも聞いて下さいな」

 そう言ってサリアは怪し気に微笑んだ。
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