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 翌朝、アマンダはようやく起き出して来た。

 食堂で朝食を取っていたミランダ達の所にやって来る。

「ふぁ~ おはよう~ あ~ 良く寝た~」

「ママ、おはよう」

「おはようございまふ、おばはま」

 リリアナは二度目のお代わりをしたパンを頬張りながら挨拶した。

「アマンダ夫人、しばらく」

「あら、クラウド殿下。お久し振りです。殿下もご一緒だったんですか?」

「まあね。どうも国の一大事になりそうな雰囲気だから」

「みたいですね。ウチも出来る限り協力しますよ」

「ありがとう。助かるよ」

 ちなみに本来であればこのようなことは主であるガストンが言うべきセリフなのだが、当のガストンは昨日の件をまだ怖がっているのか、アマンダの顔を見るなり食事もそこそこに食堂から出て行ってしまった。

「ママ、今日はゆっくり出来るの?」

「えぇ、そうするつもりよ」

「そう、ならマリウス殿下をお願いしていい?」

「えっ!? マリウス殿下!? マリウス殿下も来てるの!?」

「あ、そうか。ママ居なかったから分かんないわよね」

 ミランダはマリウスがここに来た経緯を掻い摘んでアマンダに説明した。

「なるほど。そういうことになっていたのね」

「うん、それでね。パパとクラウド殿下に扱かれたせいでかなり弱ってるのよ。食事もままならない程に」

 そう言ってミランダはマリウスが座るはずだった空の椅子に目を向ける。マリウスは朝食の席に姿を見せなかったのだ。

「そうなのね」

「体は筋肉痛とか打撲とかで酷いことになってると思うのよ。それと心も挫けそうになってるはず。このままじゃ体より先に心が折れちゃうかも知れないわ。だがら心と体のケアをママにお願いしたいのよ」

「分かったわ。任せといて」

「ありがとう、ママ」

「ムフフ~♪」

「リリアナ、なによその気持ち悪い笑顔は?」

 ミランダは訝し気に尋ねた。

「いや~♪ なんだかんだ言ってもマリウス殿下のことを気に掛けるなんて良い雰囲気だなって思ってさぁ~♪ 中々にラブラブなんでないのぉ~♪」

「料理長、今後リリアナがお代わりと言って来ても無視するように」

「ゴメンゴメンゴメン! 私が悪かった! 今の無し今の無し!」

 リリアナはこの世の終わりでも迎えたような顔になって必死に謝るが、

「うっさい! さぁ、クラウド殿下。行きましょう!」

 ちょっと遅かったようだ。

「あ、あぁ、分かった...」

「そんなそんなそんなぁ~! ミランダ様ぁ~! 許してつかあさい! もうしませんからぁ~!」

 リリアナは涙目になってミランダとクラウドの後を追い掛けて行った。お代わりに頼んでいたパンを口一杯に頬張りながら。 

「ムグ! ムググ! ゴックン! 待って待って待って~!」
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