49 / 133
49
しおりを挟む
「そうだったんですね。おば様、ちょっと代わって貰えません? 私も見てみたいので」
アマンダから説明を聞いたリリアナは、双眼鏡を貸して欲しいと頼んだが、アマンダは双眼鏡から目を離さず鼻を抑えた。
「その前にあなた達、シャワー浴びて着替えて来なさい。血生臭くて気持ち悪くなるわ」
「あぁ、こりゃ失敬」
敵の返り血を浴びて全身血塗れのリリアナとクラウドは、シャワーを浴びるために一度宿舎へと戻って行った。
その間に魔王アモンとその双子弟サモンの戦いは佳境を迎えようとしていた。
◇◇◇
「死に晒せやぁ!」
アモンの魔力を帯びた強烈な拳がサモンに迫る。
「そんなもん効くかぁ!」
その攻撃をサモンはやはり魔力を帯びた鋭い角で受け止める。そして長い尻尾を振ってカウンターを返す。
「死ねやぁ!」
アモンはその攻撃を難なく受け止め、更に尻尾を掴んで、
「回れ回れぃ!」
ジャイアントスイングの要領で体を回転させ、サモンを思いっきり振り回した。
「グエッ...オエッ...」
回転を増す度にサモンが口から吐血し始めた。やがて、
「弾け飛べぃ!」
一際力強く回転したアモンは、ハンマー投げのようにサモンを虚空へと放り飛ばした。
「グオ...」
サモンは低い呻き声を残した後、空の彼方まで吹っ飛んで行った。
「ハァ...ハァ...ど、どうだ...思い知ったか...」
勝ったアモンは疲労困憊の様子で力無く地面に降り立った。どうやら魔力切れを起こしたらしい。
体中の至る所に無数の傷を負い、翼もあちこち穴が開いてボロボロで、どれだけの激戦が繰り広げられたのか一目瞭然である。
◇◇◇
「どうやら決着が付いたみたいよ?」
リリアナとクラウドがシャワーを浴びて着替えを終えて来た頃、ずっと双眼鏡を覗いていたアマンダがようやく顔を上げてそう言った。
「見せて下さい」
リリアナはアマンダから双眼鏡を受け取って見てみたが、
「えっと...おば様、結局どっちが勝ったのかしら?」
その場に残っているのがアモンなのかサモンなのか判別が付かなかった。
「さぁ...」
聞かれたアマンダも答えに窮した。それくらい見分けが付かない双子なのだ。
「取り敢えず現場に行ってみないか?」
リリアナから双眼鏡を受け取って眺めていたクラウドがそう言った。
「そうね。どっちが勝ったにしろ、勝った方もボロボロみたいだから倒すチャンスかもね」
アマンダが同意した。
「ダメだ。アマンダ、お前は残るんだ」
そこへ魔道部隊を引き連れたガストンがやって来た。
アマンダから説明を聞いたリリアナは、双眼鏡を貸して欲しいと頼んだが、アマンダは双眼鏡から目を離さず鼻を抑えた。
「その前にあなた達、シャワー浴びて着替えて来なさい。血生臭くて気持ち悪くなるわ」
「あぁ、こりゃ失敬」
敵の返り血を浴びて全身血塗れのリリアナとクラウドは、シャワーを浴びるために一度宿舎へと戻って行った。
その間に魔王アモンとその双子弟サモンの戦いは佳境を迎えようとしていた。
◇◇◇
「死に晒せやぁ!」
アモンの魔力を帯びた強烈な拳がサモンに迫る。
「そんなもん効くかぁ!」
その攻撃をサモンはやはり魔力を帯びた鋭い角で受け止める。そして長い尻尾を振ってカウンターを返す。
「死ねやぁ!」
アモンはその攻撃を難なく受け止め、更に尻尾を掴んで、
「回れ回れぃ!」
ジャイアントスイングの要領で体を回転させ、サモンを思いっきり振り回した。
「グエッ...オエッ...」
回転を増す度にサモンが口から吐血し始めた。やがて、
「弾け飛べぃ!」
一際力強く回転したアモンは、ハンマー投げのようにサモンを虚空へと放り飛ばした。
「グオ...」
サモンは低い呻き声を残した後、空の彼方まで吹っ飛んで行った。
「ハァ...ハァ...ど、どうだ...思い知ったか...」
勝ったアモンは疲労困憊の様子で力無く地面に降り立った。どうやら魔力切れを起こしたらしい。
体中の至る所に無数の傷を負い、翼もあちこち穴が開いてボロボロで、どれだけの激戦が繰り広げられたのか一目瞭然である。
◇◇◇
「どうやら決着が付いたみたいよ?」
リリアナとクラウドがシャワーを浴びて着替えを終えて来た頃、ずっと双眼鏡を覗いていたアマンダがようやく顔を上げてそう言った。
「見せて下さい」
リリアナはアマンダから双眼鏡を受け取って見てみたが、
「えっと...おば様、結局どっちが勝ったのかしら?」
その場に残っているのがアモンなのかサモンなのか判別が付かなかった。
「さぁ...」
聞かれたアマンダも答えに窮した。それくらい見分けが付かない双子なのだ。
「取り敢えず現場に行ってみないか?」
リリアナから双眼鏡を受け取って眺めていたクラウドがそう言った。
「そうね。どっちが勝ったにしろ、勝った方もボロボロみたいだから倒すチャンスかもね」
アマンダが同意した。
「ダメだ。アマンダ、お前は残るんだ」
そこへ魔道部隊を引き連れたガストンがやって来た。
10
あなたにおすすめの小説
私を裏切った夫が、後悔しているようですが知りません
藤原遊
恋愛
政略結婚として、公爵家に嫁いだ私は
愛のない夫婦関係を「仕事」だと思い、正妻の役目を果たしてきた。
夫が愛人を持つことも、
その子を屋敷に迎え入れることも、黙って受け入れてきた。
けれど――
跡取りを、正妻の子ではなく愛人の子にする。
その言葉を、人前で軽く口にした瞬間。
私は悟ったのだ。
この家では、息子を守れないと。
元々、実家との間には
「嫡子以外の子は実家の跡取りにする」という取り決めがあった。
ならば話は簡単だ。
役目を終えた私は、離縁を選ぶ。
息子と共に、この家を去るだけ。
後悔しているようですが――
もう、私の知るところではありません。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
いいえ、望んでいません
わらびもち
恋愛
「お前を愛することはない!」
結婚初日、お決まりの台詞を吐かれ、別邸へと押し込まれた新妻ジュリエッタ。
だが彼女はそんな扱いに傷つくこともない。
なぜなら彼女は―――
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
【完結】残酷な現実はお伽噺ではないのよ
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「アンジェリーナ・ナイトレイ。貴様との婚約を破棄し、我が国の聖女ミサキを害した罪で流刑に処す」
物語でよくある婚約破棄は、王族の信頼を揺るがした。婚約は王家と公爵家の契約であり、一方的な破棄はありえない。王子に腰を抱かれた聖女は、物語ではない現実の残酷さを突きつけられるのであった。
★公爵令嬢目線 ★聖女目線、両方を掲載します。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
2023/01/11……カクヨム、恋愛週間 21位
2023/01/10……小説家になろう、日間恋愛異世界転生/転移 1位
2023/01/09……アルファポリス、HOT女性向け 28位
2023/01/09……エブリスタ、恋愛トレンド 28位
2023/01/08……完結
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる