殿下、人違いです。殿下の婚約者はその人ではありません

真理亜

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「フゥ...さて、封印も完了したことだし、一旦戻りますか?」

 リリアナは背伸びして強張った体を解しながらそう言った。

「待て。魔王の双子の弟サモンとやらはどこ行った?」

 クラウドが周りを見渡しながらそう言った。

「魔王に吹っ飛ばされてましたからねぇ。今日は戻って来ないんじゃありません?」

「だといいが。念のため、もう少しここで待機してみないか?」

「そうですねぇ。まぁ少しくらいなら」

 そう言ってリリアナはガストンに向き直った。

「おじ様、ご苦労様でした。おば様も心配してるでしょうし、先に戻って貰って構いませんよ?」

「いや、我々も残ろう。なんとなくだがイヤな予感がする」

 ガストンは空を見上げてそう言った。


◇◇◇


 一方その頃、ミランダは異変を感じ取っていた。

「これは...魔王の魔力が消えた!?」

「ミランダ、どうしたんだ?」

 マリウスはついさっきまでケルベロスにヨダレに塗れにされていたが、今はその体をシャワーで流してスッキリした格好をしている。

「殿下、私ちょっと出て来ますね?」

「どこへ?」

「ちょっくら魔族領まで。殿下は留守番してて下さい。すぐ戻りますので」

「それはいいが、なんでまた急に?」

「ちょっと気になることがあるんですよ。それじゃあまた。シオン!」

「グオッ!」

 シオンに跨がって飛んで行くミランダを、マリウスは怪訝な顔で見送っていた。


◇◇◇


「やっぱり...魔王の魔力を全く感じない」

 ミランダは魔族領の上空を飛びながら魔王の魔力を探ったが、どこにも魔王の魔力を感じることはなかった。

「南の砦でなにかあったのかな? もうちょっと探ってみるか」

 ミランダは魔族軍が常駐している地域に向かって飛んだ。

「なんだろ? 魔族軍が右往左往してるみたいな感じ?」

 ミランダが言う通り、魔族軍は統制が取れておらず、バラバラに動いているように見えた。

「軽く攻撃してみるか」

 ミランダは魔力を集めて火球を幾つか作った。

『燃えろ!』

 呪文と共に火球を魔族軍目掛けて放つ。魔族軍は忽ち大混乱に陥った。

「全く統制が取れていない。これはチャンスかも」

 ミランダほ更なる攻撃を加えるべく、魔力を集中し始めた。


◇◇◇


 同時刻。アモンに吹っ飛ばされたサモンはボロボロになりながら悪態を吐いていた。

「クソッ! あの野郎! よくもやりやがったな! おい! てめえら! 出陣だ! 用意はいいな! あのクソッたれめ! ぶっ殺してやる!」

 サモンは自分に付いて来た魔族軍の部下達に発破を掛けた。ちなみに頭に血が上っていて、アモンの魔力が消えたことには全く気付いてなかった。


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