シンデレラなんて嘘っぱち

真理亜

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 あれから1年が経った。

 私は15歳になっていたが、王都にある貴族の子女が通う学園に入学することも許されず、この家から出して貰えなかった。

 だがそれで良かったと思っている。この1年で私達の内職の腕は更に上がった。フリーマーケットでも評判となり、売り切れになるくらいの人気になった。

 例の「王子様」が来る前に売り切れになってしまうこともままあり、そういう時は申し訳ないんで私が刺繍したハンカチを渡すようにしている。

 テレジアとイザベラの親娘はますます肥え太り、豚のような体型になって来ている。私達は時々、自分は養豚場に居るんじゃないかと錯覚するくらいだ。

 腰痛、関節痛、リュウマチ、痛風、糖尿などなど、肥満による具合の悪さに苦しんでいる。良い気味だ。もっともっと苦しめばいい。

 当然、あいつらが着れるようなドレスは無くなったので、新たに特注して作るしかない。

 そうなれば古いドレスには見向きもしなくなるので、私達は嬉々としてパッチワークの材料にしている。

「ねぇ、サラ。私思ったんだけどさ、いっそ私達でお店出してみない?」

 私は今日も内職に勤しみながら、サラに話し掛ける。

「お店ですか?」

「そう、私達の知名度も腕も上がって来てるでしょ? お金も大分貯まって来ているし、もうちょっとでお店を構えられるくらいにはなると思うのよね」

「いいかも知れませんね。メイとカナにも声を掛けてみましょう。あの二人もきっと賛成してくれると思いますよ」 

「そうだと嬉しいわね」

 そんな風に私達が夢を語っていた次の日だった。


◇◇◇


 父の書斎に呼ばれた。

 この部屋に来るのはテレジアとイザベラがこれから一緒に住むと言われた時以来だ。なんだろうか? あんまり良い話じゃ無さそうだが...

「第2王子のハロルド様が我が家にいらっしゃるそうだ」

「えっ!? な、なんでそんなことに!?」

「儂にも分からん。とにかく粗相の無いようにお迎えする準備をしてくれ」

「はぁ...分かりました...」

「ブヒブヒッ! きっと美しい私を迎えに来たんだわ! お母様! こうしちゃいられないわよ! うんと御粧ししないと!」

「ゲヒゲヒッ! そうね! イザベラちゃんの言う通りだわ! きっと王子様にまでイザベラちゃんの可愛らしさは伝わってるのよ! さぁ、忙しくなるわよ~! たっぷり磨き上げないと!」

 そんな訳ないだろう。この豚共はなに戯言ホザいてんだ? 

 それはともかく、王子様の目的が気になるな。

 私はお迎えの準備をしながら思案に暮れるのだった。
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