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Ⅲ章
26話 協議の合間に
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会議室の外へ出ると少し圧迫感が薄れた。庭園の先に見えるべーチェル公爵家の美しさを眺める余裕もある。
「大丈夫かい?」
カルディスはずっと心配そうだ。生家に戻って来たというのに、今日はロゼアリアのことばかり気にしている。
「大丈夫ですお父様。自分で思っていたより落ち着いていました」
「何かあればすぐに言いなさい。分かったね?」
「はい」
会話に花を咲かせる二人に、足音が近づく。
「大丈夫か?」
まさか、アルデバランも父と同じことを言うなんて。
「魔塔の主殿」
アルデバランの姿に気づいたカルディスが深々と頭を下げる。二度も娘の命を助けてくれた恩人だ。そうせずにはいられない。頭を下げられたアルデバランはというと、ギョッとしていた。
「やめろよ。そういうのは得意じゃないんだ」
「貴方はこの子の命の恩人ですから」
「はあ……おい、もし魔窟でのことを忘れたかったら、記憶を消すこともできるぞ」
アルデバランがロゼアリアを見下ろす。部分的な記憶を消すなんて、そんなこと可能なのだろうか。
「……そんなこともできるの?」
「俺ならな。じゃないと、お前が──おっと」
何かに気づいてアルデバランが口を噤む。彼が言わんとしていたことを察したロゼアリアは、慌ててアルデバランの背中を押して場所を移動した。
「お父様! カーネリア卿と少し込み入ったお話があるので、先に戻っていてください!」
「あ、ああ。分かったよ」
アルデバランをぐいぐい押し、建物の陰まで追いやる。ロゼアリアの方がずっと背丈が小さいのに、さして苦労しなかった。
「おい。そんなに押すなよ」
「今お父様の前で生まれ直しのこと話そうとしたでしょ」
「うっかりだな」
「ちゃんと気をつけて。どうして今まで秘密にしてこれたの」
ロゼアリアが呆れるが、アルデバランは特に慌てた様子でもない。
「聞かれたところで記憶を奪えば済む話だからな。そんな神経質になることもないだろ」
「……もしかして、あの時言ってた『消す』って記憶のこと?」
魔塔の最上階で彼の秘密を知った時、言われた言葉。他言すればその相手諸共葬るという意味だと思っていた。
「当たり前だろ。他に何を消すんだよ」
「こう、亡き者にするって感じに聞こえたもの」
「戦争を起こした結果こんな目に遭ってるってのに、俺が人間を殺すわけないだろ」
心外だ、と言わんばかりの顔をしているが、あの時の言い方は完全にそれだった。誤解を招いたアルデバランが悪い。
「そういや……」
アルデバランがじっと見下ろしてくる。
「なに?」
「ん、どいつもこいつも馴れ馴れしく俺を『アルデバラン殿』だのなんだの呼んでくるが、お前はずっと『カーネリア卿』だな」
「カーネリア卿はカーネリア卿でしょ? それに、貴方は私のことずっと『お前』って呼んでる」
「そうだっけか?」
「気づいてないの?」
アルデバランのことだ。どうせ名前を覚えてくれてないのだろう。
「じゃあ今度からロゼとでも呼べばいいな」
「は? ろ、ロゼ?」
急な愛称呼びに面食らう。アルデバランは意味を分かっているのだろうか。血縁でもない男女が愛称を許すその意味を。
(ううん、カーネリア卿のことだもの! きっとお父様がそう呼んでるのを聞いて、ロゼとしか覚えてないとか、そういうのよ!)
それに彼はリブリーチェのことも「リブ」と呼んでいる。アルデバランにとってはその程度なのだ。
「なんだ変なカオして。腹でも痛いのか?」
「痛くない。カーネリア卿が変なことを言うから。愛称なんて、親しい間柄の男性と女性とでしか呼び合わないの」
「俺とロゼは親しくないって? あんな秘密を共有した仲なのに?」
「変な言い方しないで! 誰かに聞かれたらどうするの!? いい? 親しいっていうのは──」
本気で分かっていなさそうなアルデバランの表情を見て思い出す。貴族でもないしこの三百年結婚を避けて来た彼は、冗談でなく本当に意味を分かっていないのだ。懇切丁寧に教えてやるべきか迷うロゼアリアの心などアルデバランは微塵も知らない。
「そんな悩むことか? ロゼも俺を好きに呼べば良いだろ。俺は貴族じゃないし、敬称なんかそもそも必要じゃない」
おまけに呼ぶと決めた途端ガンガン呼んでくる。やはり教えるべきだろう。
「あのね、カーネリア卿」
「あ、アルデバラン殿! そこにいたんですね!」
ロゼアリアの講座は第三者の飛び込みによって中断させられた。振り返ると、カカルクがこちらに向かって走ってくる。
「おお、どうした」
「実は、アルデバラン殿に折り入ってお願いしたいことがあるんです」
協議中ではなくわざわざ今探して言いに来るくらいだ。アルデバランだけに伝えたい内容なのだろう。
自分は席を外すべきか、とロゼアリアが考える間に、カカルクは訴え始めた。
「私と一緒に各国の管理者に会ってくださいませんか!」
数秒の沈黙。
「……俺が?」
訝しそうにアルデバランが口を開いた。
「はい。本来なら、我が国の管理者がおこなうべきだと重々承知しています。しかし、マウチフチ様は高齢の身。いつ代替わりをしてもおかしくありません」
「……代替わりした後じゃ管理者の職務が通常運転に戻るまで時間もかかるってか」
「さすがです。そこで、マウチフチ様に代わってどうか他国の管理者を集めてくださいませんか? 各国がマヴァロのようになるのも時間の問題だと思うのです」
カカルクの焦りはロゼアリアにも伝わった。グレナディーヌに巣食うラウニャドールも、年々その脅威を増している。今こそ、国同士が協力するべきだと彼は、マヴァロの民は言っているのだ。
「……管理者は無闇に自国を離れるべきじゃない。特に今は……」
歯切れの悪いアルデバランをロゼアリアが見上げた。
「カーネリア卿、どうにかできない? マヴァロ共和国は農業大国なの。世界中に野菜や果物を輸出してる。もしマヴァロがラウニャドールに負けたら、多くの国が困るわ。その前に皆で対策を考えられたら一番良いと思う」
マヴァロの恩恵を受けているのはグレナディーヌとて例外ではない。食糧が足りなくなれば、ラウニャドールどころか人同士、最悪の場合国同士での争いも考えられる。
「うーん……」
それでもアルデバランは悩ましげだった。
「全員集めるのにどれだけの時間がかかるか分からない。現実的じゃないだろ」
十二人。人数で考えればそう多くは無いが、十二ヶ国全てを回るとなると変わってくる。
「管理者がその国でどんな立場にいるかは分からないが、そいつが公的な役職を与えられていたら簡単には会えないはずだ」
「そうですね……」
「だがマヴァロの管理者の言うことも分かる。ラウニャドールに対して、神の啓示が降りないことに危機感を感じてるんだろ?」
「はい……二柱の女神が我々を見捨てられたのではないか、とマウチフチ様は危惧されておりました」
俯くカカルクと、腕を組んで考えるアルデバラン。その二人をロゼアリアが見上げる。自分が力になるのは難しそうだ。
「……効率を考えて、発言力のある国に招集を促してもらうのはどうだ?」
「ザジャやシュヴダニアなどにですか?」
「同じ問題を抱えているなら断る理由もないだろうからな」
「なるほど……」
「ここから近いのはザジャか。声をかけるならそっちだな」
アルデバランが淡々と話を決めていく。「どうにかできないか」と言ったのはロゼアリアだが、なんだか急に彼が遠い人になってしまったような気持ちになる。
(ううん。カーネリア卿は魔塔の主でグレナディーヌの管理者だもの。私と対等に接してる方が不思議なの)
それでも以前のアルデバランなら「行かない」の一点張りだったはず。この変化は喜ぶべきなのに、せっかく友人になれた手前、少し寂しい。
「ザジャに行くなら騎士団の派遣の日程と合わせて決めないとな。戻って、他の奴らとも共有するか。──ロゼ?」
アルデバランに呼ばれて我に返る。
「あ、なに?」
「ぼんやりしてどうした? そろそろ戻るぞ」
「ごめんなさい、少し考え事してた」
先を歩き初めていたアルデバラン達の後を追う。もしかしたら、しばらくの間魔塔に遊びに行ってもアルデバランには会わないかもしれない。
「大丈夫かい?」
カルディスはずっと心配そうだ。生家に戻って来たというのに、今日はロゼアリアのことばかり気にしている。
「大丈夫ですお父様。自分で思っていたより落ち着いていました」
「何かあればすぐに言いなさい。分かったね?」
「はい」
会話に花を咲かせる二人に、足音が近づく。
「大丈夫か?」
まさか、アルデバランも父と同じことを言うなんて。
「魔塔の主殿」
アルデバランの姿に気づいたカルディスが深々と頭を下げる。二度も娘の命を助けてくれた恩人だ。そうせずにはいられない。頭を下げられたアルデバランはというと、ギョッとしていた。
「やめろよ。そういうのは得意じゃないんだ」
「貴方はこの子の命の恩人ですから」
「はあ……おい、もし魔窟でのことを忘れたかったら、記憶を消すこともできるぞ」
アルデバランがロゼアリアを見下ろす。部分的な記憶を消すなんて、そんなこと可能なのだろうか。
「……そんなこともできるの?」
「俺ならな。じゃないと、お前が──おっと」
何かに気づいてアルデバランが口を噤む。彼が言わんとしていたことを察したロゼアリアは、慌ててアルデバランの背中を押して場所を移動した。
「お父様! カーネリア卿と少し込み入ったお話があるので、先に戻っていてください!」
「あ、ああ。分かったよ」
アルデバランをぐいぐい押し、建物の陰まで追いやる。ロゼアリアの方がずっと背丈が小さいのに、さして苦労しなかった。
「おい。そんなに押すなよ」
「今お父様の前で生まれ直しのこと話そうとしたでしょ」
「うっかりだな」
「ちゃんと気をつけて。どうして今まで秘密にしてこれたの」
ロゼアリアが呆れるが、アルデバランは特に慌てた様子でもない。
「聞かれたところで記憶を奪えば済む話だからな。そんな神経質になることもないだろ」
「……もしかして、あの時言ってた『消す』って記憶のこと?」
魔塔の最上階で彼の秘密を知った時、言われた言葉。他言すればその相手諸共葬るという意味だと思っていた。
「当たり前だろ。他に何を消すんだよ」
「こう、亡き者にするって感じに聞こえたもの」
「戦争を起こした結果こんな目に遭ってるってのに、俺が人間を殺すわけないだろ」
心外だ、と言わんばかりの顔をしているが、あの時の言い方は完全にそれだった。誤解を招いたアルデバランが悪い。
「そういや……」
アルデバランがじっと見下ろしてくる。
「なに?」
「ん、どいつもこいつも馴れ馴れしく俺を『アルデバラン殿』だのなんだの呼んでくるが、お前はずっと『カーネリア卿』だな」
「カーネリア卿はカーネリア卿でしょ? それに、貴方は私のことずっと『お前』って呼んでる」
「そうだっけか?」
「気づいてないの?」
アルデバランのことだ。どうせ名前を覚えてくれてないのだろう。
「じゃあ今度からロゼとでも呼べばいいな」
「は? ろ、ロゼ?」
急な愛称呼びに面食らう。アルデバランは意味を分かっているのだろうか。血縁でもない男女が愛称を許すその意味を。
(ううん、カーネリア卿のことだもの! きっとお父様がそう呼んでるのを聞いて、ロゼとしか覚えてないとか、そういうのよ!)
それに彼はリブリーチェのことも「リブ」と呼んでいる。アルデバランにとってはその程度なのだ。
「なんだ変なカオして。腹でも痛いのか?」
「痛くない。カーネリア卿が変なことを言うから。愛称なんて、親しい間柄の男性と女性とでしか呼び合わないの」
「俺とロゼは親しくないって? あんな秘密を共有した仲なのに?」
「変な言い方しないで! 誰かに聞かれたらどうするの!? いい? 親しいっていうのは──」
本気で分かっていなさそうなアルデバランの表情を見て思い出す。貴族でもないしこの三百年結婚を避けて来た彼は、冗談でなく本当に意味を分かっていないのだ。懇切丁寧に教えてやるべきか迷うロゼアリアの心などアルデバランは微塵も知らない。
「そんな悩むことか? ロゼも俺を好きに呼べば良いだろ。俺は貴族じゃないし、敬称なんかそもそも必要じゃない」
おまけに呼ぶと決めた途端ガンガン呼んでくる。やはり教えるべきだろう。
「あのね、カーネリア卿」
「あ、アルデバラン殿! そこにいたんですね!」
ロゼアリアの講座は第三者の飛び込みによって中断させられた。振り返ると、カカルクがこちらに向かって走ってくる。
「おお、どうした」
「実は、アルデバラン殿に折り入ってお願いしたいことがあるんです」
協議中ではなくわざわざ今探して言いに来るくらいだ。アルデバランだけに伝えたい内容なのだろう。
自分は席を外すべきか、とロゼアリアが考える間に、カカルクは訴え始めた。
「私と一緒に各国の管理者に会ってくださいませんか!」
数秒の沈黙。
「……俺が?」
訝しそうにアルデバランが口を開いた。
「はい。本来なら、我が国の管理者がおこなうべきだと重々承知しています。しかし、マウチフチ様は高齢の身。いつ代替わりをしてもおかしくありません」
「……代替わりした後じゃ管理者の職務が通常運転に戻るまで時間もかかるってか」
「さすがです。そこで、マウチフチ様に代わってどうか他国の管理者を集めてくださいませんか? 各国がマヴァロのようになるのも時間の問題だと思うのです」
カカルクの焦りはロゼアリアにも伝わった。グレナディーヌに巣食うラウニャドールも、年々その脅威を増している。今こそ、国同士が協力するべきだと彼は、マヴァロの民は言っているのだ。
「……管理者は無闇に自国を離れるべきじゃない。特に今は……」
歯切れの悪いアルデバランをロゼアリアが見上げた。
「カーネリア卿、どうにかできない? マヴァロ共和国は農業大国なの。世界中に野菜や果物を輸出してる。もしマヴァロがラウニャドールに負けたら、多くの国が困るわ。その前に皆で対策を考えられたら一番良いと思う」
マヴァロの恩恵を受けているのはグレナディーヌとて例外ではない。食糧が足りなくなれば、ラウニャドールどころか人同士、最悪の場合国同士での争いも考えられる。
「うーん……」
それでもアルデバランは悩ましげだった。
「全員集めるのにどれだけの時間がかかるか分からない。現実的じゃないだろ」
十二人。人数で考えればそう多くは無いが、十二ヶ国全てを回るとなると変わってくる。
「管理者がその国でどんな立場にいるかは分からないが、そいつが公的な役職を与えられていたら簡単には会えないはずだ」
「そうですね……」
「だがマヴァロの管理者の言うことも分かる。ラウニャドールに対して、神の啓示が降りないことに危機感を感じてるんだろ?」
「はい……二柱の女神が我々を見捨てられたのではないか、とマウチフチ様は危惧されておりました」
俯くカカルクと、腕を組んで考えるアルデバラン。その二人をロゼアリアが見上げる。自分が力になるのは難しそうだ。
「……効率を考えて、発言力のある国に招集を促してもらうのはどうだ?」
「ザジャやシュヴダニアなどにですか?」
「同じ問題を抱えているなら断る理由もないだろうからな」
「なるほど……」
「ここから近いのはザジャか。声をかけるならそっちだな」
アルデバランが淡々と話を決めていく。「どうにかできないか」と言ったのはロゼアリアだが、なんだか急に彼が遠い人になってしまったような気持ちになる。
(ううん。カーネリア卿は魔塔の主でグレナディーヌの管理者だもの。私と対等に接してる方が不思議なの)
それでも以前のアルデバランなら「行かない」の一点張りだったはず。この変化は喜ぶべきなのに、せっかく友人になれた手前、少し寂しい。
「ザジャに行くなら騎士団の派遣の日程と合わせて決めないとな。戻って、他の奴らとも共有するか。──ロゼ?」
アルデバランに呼ばれて我に返る。
「あ、なに?」
「ぼんやりしてどうした? そろそろ戻るぞ」
「ごめんなさい、少し考え事してた」
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