奪ってみてよ、先輩。

七夕 真昼

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9.teller

9-2

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アカネが中学3年生になった頃、亜主樹はその席をあっさり弟に渡して奥に引きこもり。たまに表に出てきてはフロアで遊び相手の女の子を漁るだけ。

「俺のための椅子じゃないのに居心地良いわけないっしょ。」
「でも建てたのは亜主樹じゃん?」
「店の名前付けたのはアカネだし。」
「じゃ、最初からアカネを据えればよかったのに。」
「かわいい弟が立つトコが安全かどうかくらい確かめないとじゃん?」
「地味にアカネに過保護だよねぇ」
「そうでもねーよ。」

嘘だ。女の子は玩具程度にしか見てない、ある種冷酷非道って言われてる亜主樹だけど、アカネのためなら躊躇いなく身を張る奴だってことくらい知ってる。

「極悪人なのに弟に甘いとかずるいよねぇ。ちよこちゃんにもそれくらい甘いの?」
「なんで千夜子が出てくんの。」
「やっぱ気になるじゃん。あの亜主樹がだよ? 女の子を人間として認識してるのかどうか怪しい亜主樹が手放さない子だもん。気になるじゃん。」

面倒臭そうにおれを見ていた亜主樹は、紫煙を吐きながらおれから視線を外す。

「別に甘いとかねーな。そーゆーの嫌がる人間だろうし。」
「えー。えっちしかしないの?」
「勉強は教えてる。たまに。」
「それだけ? 一緒に住んでるのに? ちよこちゃんあんなに可愛いんだよ? 恋に落ちちゃうとかないの?」
「何お前、意外と頭ん中花畑だったの?」

おれより当の本人の方が冷めてるとか、面白くないなー。

「まー、あいつとヤんのは好きだけどね。抱いてる時は素直だし、鳴き声可愛いし、すげぇ締まるし。あと身体ちいせぇから抱くのに地味に背徳感あるとことか滾る。でも全部挿入るんだよな。」

本人が聞いたら物凄く怒りそうなことをサラッと言うね? 聞かせてあげたらどうなるか、面白そうではあるけどさすがにちよこちゃんが可哀想だから内緒にしとこう。

「深くは聞かないどくけどさ……前みたいにやらかさないでよー?」
「懲りてるから。」

ほんとかよ。
何をやらかしたかって、中3の時、同じ学校の女の子孕ませてるんだよなこいつ。結果としては堕ろしたけど。公にはされなかったけど、そこそこの問題になったからね?
マジで懲りてるといいんだけど。
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