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10.お買い物に行きました。

10-1

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実家に行ったことで精神的に疲れた私は、あずき先輩の膝の上で何も考えずにぼんやりしてた。

「魂抜けてるみたいでおもしれーな。」

なんて先輩は笑ってるけど。でも絶対に「何かあった?」なんて聞いてこない。
まるで私が引いた線が見えてるかのように、この人はこちら側へは踏み込んで来ないのだ。

それが心地よかった。その距離感が。

だから、「最低」とか言いつつも一緒にいることを許しちゃうのかな。

思えば、あずき先輩に求められるのは身体くらいで、氷榁家のこととか聞かれたことって無い。ここに来た当初は敵視しているであろう氷榁家の情報でも探りたいのかな? なんて思ったりもしてたけれど。

多分、私が見てるのはいくつもあるあずき先輩という人の面のたった一つでしかない。
でも。他の面があると分かっても、私から見に行くことは絶対しない。相手を知れば、その分相手に自分を知られることになる。

それは、少し怖いから。
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