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10.お買い物に行きました。

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私が浮気の定義についてあれこれ考えていると、車が止まった。

駅前は栄えてるから人が多い。
車から降りた初雪さんは一段と高いデパートに入っていく。うーん、お金持ちって感じ。
私はその少し後ろをついて歩く。これが初雪さんと一緒に歩く時、いつもの事なんだけど。

そういえばあずき先輩は、学校に行く時とかいつも私の隣を歩いてたな。あの長い足じゃ、私との歩幅は結構な差があると思うのに。

「茉白は何が好きか分かるか?」

そんなざっくり聞かれても。私よりあなたの方が詳しいんじゃないですかね、と思う。

「そうですね……ふわふわしたものとか、小さいもの、でしょうか……色は白を好んでいると思います。」

そこまで見てるわけじゃないから、答えようがない。似合う似合わないなら分かるけど。

「そうか。」

それでも初雪さんはどこか満足そうだった。今まで茉白の誕生日には花束を贈っていたのに、今になって急に物を贈りたいって心情はなんだろう。
まぁ、私には関係ないか。いや、こうして付き合わされてるんだからまったくの無関係でもないかな?

デパートの中の宝石店で初雪さんは真剣にネックレスを見ている。

「これとこっちでは、どちらの方が茉白に合うと思う?」
「左ですね。」

そういう聞き方をしてくれたら、私は即答できる。

「あの子は淡い色の物が似合いますから。」
「そうだな。」

淡いピンクも水色も、穢れのない白も私には似合わない。私には、暗い色の方が合う。
いつも父が買ってくる服やアクセサリーの淡い色合いを見れば、それが誰のための物かなんて一目瞭然だった。

結局最初のデパートじゃめぼしいものは見つからなかったようで、私たちは次のお店へと歩いていた。

「!」

向かいの歩道の、狭い路地に面した所にたむろす数人の男性達。その中に赤錆色を見つけて、私は一瞬硬直する。隣には金髪。
間違いなくあずき先輩と栗生先輩だ。残りの2人は分からないけど。

お願いだから、初雪さんは気づかないでね……?
私もすぐに知らないふりをしようとしたけど、闇色の瞳がこっちを捉えて。

ふっと妖艶に微笑んだ。
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