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しおりを挟む「私に心当たりがありますので、まずはそちらに向かいませんか。馬車ならすぐの場所です。」
外に出るとサネットが言いました。
事情を知らない当主二人は少し怪訝そうな表情をしていましたが、なんの情報もない中で捜すよりはマシです。
特に何も言わず応じてくれました。
私達が向かうのはもちろん一ヶ所しかありません。
馬車が十五分ほど進んだところで、サネットは馬を止めさせました。
「ここら辺でいいです。」
「こんなところにロータスがいるのか?」
そこはこじんまりとした民家の近くでした。
クライフ家やダドリー家と比べると、かなり見劣りはしますが、一般的な庶民のお屋敷としては十分立派な建物です。
陽も落ちかけてきた夕暮れ時、私達は馬車を降り付近を確認していると、川辺の岩に腰かけている男女の姿が!
ロータスとアレーナです。
仲直りしたのか、アレーナはまたしてもロータスの肩に頭を乗せ、なんとも良い雰囲気を醸し出しています。
「いた~!」
サネットの声に皆が驚き一斉に声の方を見ました。当の二人も気付いたようで、こちらを振り返っています。
遠目から見てもロータスは明らかに状況が把握できず凍りついています。
晩餐会をしているはずの人達が全員こんなところにいるのが、理解できなかったのでしょう。
「お前はこんなところで何をやってるんだ!!」
ダドリー伯爵の怒号が響き渡ります。
ロータスは何も言わず動きません。
私は自然と涙が流れてきました。嬉し涙でした。
「君はクライフ家がそんなに嫌なのかね?」
根回ししたとはいえ、ロータスが来なかったら一緒に探してほしいと伝えていただけで、詳しい話はしていませんので、父も呆れた表情をしています。
「その女性は誰だ!お前は自分のしていることが分かっているのか!」
今にも殴りかかりそうなダドリー伯爵をクロードが制止します。
ロータスは何も言わず俯いています。
「私は婚約者がいるなんて知らなかったんです。彼に声をかけられて、それで、、すみません。」
と言ってアレーナは走り去っていきました。
クロードがこちらに目で合図をくれたのをきっかけに私と父、サネットは先にクライフ邸に戻ることになりました。
これでようやく私はロータスから解放されました。
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