5 / 13
月夜の甘い夢* Side:Daniel
しおりを挟む「ぅ~ん…… 今、何時だぁ?」
辺りは暗闇に包まれ、シーンと静まり返っている。まだ真夜中のようだ。
暑い…… のどが渇く。起きるか? いや、まだ微睡みに沈んでいたい。
それにしても肌触りのいい布だな。ひんやりして、サラサラして―― 動く?
「お水飲む?」
「へ………… えっ、あれ、な、なん……」
聞き覚えのある声に反射的に視線を向けると、そこには俺が焦がれてやまない人の姿があった。いや、あり得ないだろう。俺は今、ベッドに横になっているというのに、その上にエリスお嬢様が寝そべっているなんて…… あっ! そうか、夢か。
窓の隙間から差し込む月明かりがおぼろに彼女を照らし出し、肩からサラリと零れ落ちた髪が俺の肌をなでる。その光景に目が離せずにいると、彼女はゆっくりと体を這い上がり、はちみつ色に輝く瞳に囚われると、やわらかな唇が重ねられた。
いくら夢でも、こんな欲望まみれな展開など―― いや、夢だからこそか。
彼女の舌が唇の隙間をなぞるのを感じて少し口を開けると、冷たい液体が舌の上をすべり、渇いたのどを潤していく。それは、ほんのり甘く、体に優しくしみ込む。
ゴクゴク喉を鳴らして注がれるままに飲み下すと、彼女は嬉しそうに目を細めた。そして、クスッと小さく笑ったかと思うと、口の中に入り込んだ舌で、柔らかく、くすぐる様に撫でられ、その感触に体がビクッと震えた。
彼女の小さな手が頬を包み込むように優しく撫で、くちゅっと水音を立てて舌を絡められると、夢中でそれに応えていた。更に促されるような動きに従って舌を差し出すと、ちゅぅっと吸い付かれて甘噛みされる。
耳鳴りがしそうな程に激しく打つ鼓動に、全身が火照り、熱く荒い息がもれる。
マズイ、このままじゃ確実に勃…… って、あれ?
うわあああああぁぁぁぁ~~~~~っ!!?
はっ、は、は、ハダカじゃないかっ! お嬢様まで!? なななななんなっ!?
い、いつ脱いだんだ!? いや、お、落ち着け、落ち着くんだ。すーはー……。
夢なんだから何が起きたって、ふ不思議じゃない。そう夢、夢、ユ・メ・だっ!
「はぁ…… んっ、ダニエるぅ……」
ゆめだーーーーーっ!!
熱い吐息をもらしながら、甘えるような声で俺の名を呼ぶのも、はちみつ色の瞳をとろけさせて愛おし気に見つめるのも、素肌を撫で回して妖艶に微笑むのも……。
ましてや、重なり合う肌をいたずらに擦り合わせ、猛り立って脈打つ性器を彼女の太腿ですりすりと愛撫されてるなんて、あり得ないっ! しっかりしろ!
俺の愛らしい妖精姫がこんなことをするなんて、考えるだけでも不敬だぞ!
落ち着け、落ち着け、落ち着け…… 願望を捨てて、もっと健全な方向に――
何とか夢をコントロールしようとするが、いつもの清楚で可憐なエリスお嬢様とは似ても似つかない色香をまとう彼女は、楽しそうに情欲を煽ってくる。
おかしい。エリスお嬢様にこんなイメージなど全く持ってないのに、なぜ???
混乱しつつも、愛しい人に体中にキスを落とされ、興奮は最高潮に達し、理性の糸は今にも弾け飛びそうだった。
それでも何とか堪えられたのは、いつもの夢なら彼女に己の思うままに触れれば、愛らしい笑顔は消え去り、嫌がられ、泣かれて後悔する事になったからだ。
いつもはここまで過激な夢を見ることもなかったが……。
リースの「姫君は絶対にダニエルが好きだ」と言う言葉に、最初は半信半疑だったが、彼のアドバイス通りにエリスお嬢様を観察してみれば、確かに彼女は俺の前で微笑みを絶やすことなく、特別扱いしていた。しかし、それは恋愛感情ではなく、信愛に過ぎないのではないかという疑念が消えない。
だからこそ、情欲のこもった目を向けたり、下心を隠すことなく触れたりすれば、嫌われるという思いが根深く、臆病な俺は夢の中でさえ思いを遂げられない。
はずなのに――
思考を他所へ飛ばしているにも関わらず、この夢のエリスお嬢様はお構いなしに事を進め、ゴリゴリに理性を削ってくる。
彼女は俺の胸の弾力やわき腹の凹凸を楽しむように撫でながら、薄っすらと滲む汗をペロッと舐めて不敵に笑い、性器同士を擦り合わせて腰を揺らす。彼女のコリっとした小さな突起の感触がする度に、あぁっ、んっ、と甘い声が鼓膜を揺らした。
「ダニエル、気持ちよくない?」
いえ、今にも暴発しそうなほど気持ちがいいです!
気持ち良すぎて抵抗できない。襲い掛かってしまえば、この淫夢が終わってしまうかも知れない。そんなのは勿体ない。目覚めてしまうまでは、このまま溺れて……
「ここで一緒に気持ち良くなる?」
「――――っ!?」
体が離れたかと思うと彼女はそのまま上体を後ろへ傾け、俺の体の上で仰向けになって大胆に脚を左右に広げて秘所を見せつける。薄闇の中、彼女の白くて細い指が蜜を湛えたあわいをなぞると、くちゅくちゅっと音が鳴り透明な液体があふれた。
キラキラと光る蜜を指の腹で撫で伸ばすと、ゆっくり、だか確実に蜜壺に指が入っていき、中を広げるかのように動いている。
あまりの衝撃に凝視したまま声も出せずに硬直していたが、ゴクリと喉が鳴ると、彼女はまるで悪戯を楽しむように微笑み、指を出し入れしながら甘い声をあげる。
「ダニエルと一緒に気持ちよくなりたくて、こうして慣らしておいたの」
愛しい人のあられもない姿に劣情を煽られ、甘い誘惑に理性は粉砕した。
衝動に突き動かされ、勢いよく起き上がると同時に彼女を押し倒し、覆いかぶさりながら小さな口を唇で塞ぎ、欲望のままに舌を深く絡めて、じゅるっと音を立てて遠慮なく味わう。
そのまま熱くとろける蜜壺に己の昂りをグッと刺し入れ、最初は入り口辺りをこじ開けるように角度を変えて何度か擦りあげ、少しずつ奥へ奥へと埋めていった。
ここまで来てしまえば、泣いて嫌がれようと止められはしないだろう。
頭の片隅で警告音が鳴り響き、快感と共に罪悪感が押し寄せる。
ゆっくりと遠慮がちに腰を揺らしながら、そろりと視線を下に向けてエリスお嬢様の表情を盗み見る。
彼女は瞳を潤ませ、上気した顔で悦楽にとろけた微笑みを浮かべていた。
「ははっ……」
彼女のその反応に安堵して渇いた笑いをもらすと、彼女は目を細めて口元を緩め、俺の腰を引き寄せるように脚を巻き付けながら自ら腰を揺らした。
彼女にねだられているようで喜悦が胸を占め、それまでの遠慮や不安が消え去って欲望の炎が燃え上がり、本能の赴くまま情熱に身を委ねた。
0
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる