絶対記憶~彼は今日も知識欲を満たす

高戸

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16話

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 鬼ごっこ(キャッチ&エスケープ)
 この競技の準決勝は相手がサラのクラスだった。

「アル君、私は手加減はしないけどアル君は手加減してね」

 えっと、まあ最初から本気は出さないと決めていたけど、ここまで直球で言われるとは。

「解ったよ、この試合では30%までしか出さない」

「はい!、フフ」

 手加減すると言った事でサラの口元が少し緩んで微笑む声が漏れたみたいだ。

 鬼ごっこ。うまく立ち回れば人数が追う側逃げる側ともに同人数なため挟み撃ちや奇襲が生きる追う側の有利な競技だ、それに加え感知の出来る人数が大きく試合に関わってくる。
 準決勝まで駒を進めたクラスはチームプレイが大事だと解っている者ばかりで、計画的な作戦が多く仕掛けられてくる。具体的には落とし穴やワイヤートラップなどといった罠が多くなったように見うえられる。

 サラのクラスの作戦は2人もしくは3人の班に分けてその中に1人は感知を入れるという作戦だ。
 感知系の魔法やスキルを持っている人数は全体からすると少ないがサラのクラスは11位から60位までのクラスなので感知系の魔法やスキルを持っている者は少なくない。

 戦力の差は大きくいくら皆が俺との特訓でレベルアップしたと言っても付け焼刃では勝てない。
 実際に試合開始10分にして残っているのは俺とマナだけだ、マナは自分の周りに不可視の精霊を6体配置し敵が迫ってくると見つかる前に逃げる作戦だ、マナの精霊は感知系の相手のスキルよりも移動範囲が格段に広いため感知に引っかかる前に逃げ切れる。
 だがマナのMPは決して多くは無い。そろそろ捕まるだろう。

「残り1人になりました!!、残っているのはアール・ロトス君です」

 審判の教師が【音増大】の魔法道具でラスト1人を宣言する。

 俺はスタート地点で穴掘って天井塞いで霧のジャミングを身体に纏わせているだけだけどな。
 霧のジャミングは中に居る生物の感知能力を妨害する能力だが結界のように張れば霧の中の物を感知できなくなる。

 って事で俺は見つかる事無く、30分経過。

 俺たちの番で苦戦はした物の30分以内に全員捕まえれば俺たちの勝ちなので皆も変に緊張することなく25分で全員を捕まえた勿論マナの精霊魔法は大活躍である。
 このクラスのMVPは確実にマナだろう。

「アル君地中に潜むなんてズルいですわ」

「ルール的には問題無いよ」

「そうですけど…」

 サラと喋りながらいつも兄さま達がいる席に戻った。
 次は巨大ボーリングである。





 何時も通り席に着くと兄様やローグさんが試合の感想をくれる。

「アル、地中に潜るのはいいが少し大人げ無いのではないか騎士たる者もっと正々堂々と」

「まあ、サラのクラスに勝つにはその位必要と判断したまでですよ、それに僕が正々堂々と本気を出すよりはいいと思いますよ」

 本気と言った瞬間皆の顔が青ざめた。

「よし今回は、おとがめなしにしよう」
「それがいいですよ兄様…」

 いつも通りのチョロ兄チョロ姉である。


 次の俺のクラスのボーリングには少し時間が有るため、それまではいつもの席から見える町の中央の超巨大スクリーンに一斉に競技中の全競技場が写し出されているスクリーンを見ている事にした。

 最終日でのため1競技2試合のため画面は4等分で見る事が出来る、大体の観客はこの中央の巨大スクリーンの近くの競技場に席を設けているだろう。
 スクリーンは貴重で元々は水晶玉に魔力を送って見ていた物を、他人にも見えないかと試行錯誤した結果出来た魔法道具だ。


 ボーリングがの一つ前に行われた試合中に事件は起こった。

『異能力【未来予報5分】自動発動、5分後この町に大量の魔法が撃ち込まれます』

 は!?
 【未来予報5分】の自動発動は自分もしくは周りの人間の命に関わる場合のみ自動発動にしている。
 つまり俺が未来を変えない場合誰かが死ぬって事だ。

 スキルの言葉はスキルの副産物でしか無く異能力の能力はこの程度では無い。今は悪い意味になりそうだが。

 5分後の光景が見える。感覚的に、何が起きているのかを俺の頭に一瞬で解らせようとしてくる。炎の魔法が1000以上の数同時に撃ち込まれ国中が被弾し大混乱が起こり、国中から火の手が上がる。そんな光景が一瞬にして見せつけられ、【絶対記憶】の発動によって一生忘れる事が出来なくなった。

 だからこそ、その未来は起こさせない。
 【自能力の制限】を取り敢えず30%までまで下げる、【魔王】以外の魔力が上がるLレジェンドスキルとスキルを多重で発動。
 魔力は大体34600になり【超級魔法】の発動が可能になる。

 未来予報によると魔法は上空から大量の飛龍によって撃たれていた、つまりは魔法結界を町の全体を囲むように張れば防ぎきれると言う事だ。

 結界魔法は囲う範囲によって直径2mまでが初級、直径10mまでが中級、直径60mまでが上級、と上がっていく。この魔法を【超級魔法】で使用する場合範囲は直径20kmまで拡大される。

 町一つを囲むには十分だ。
 結界は宝探し(トレジャーハント)で使った魔法結界を使用する。

「俺の結界の魔力を持って・発動『超級結界』!」
 俺の結界が発動し薄く半透明なピンク色の壁が町全体を覆うように出現した。

 いや超級魔法なんて規模が大きすぎて風の超級魔法しか使ったこと無かったんだよ、初見は【無詠唱】使えないし仕方ない厨二病は卒業済みのはずだ。

 詠唱を唱えた瞬間周りにいたサラやローグさんがビクッとなったが兄姉は平気な顔で俺に聞いてきた。

「「何かあったか?」」

「敵です数は約1000体でドラゴンです、後2分ほどで来ます」

「そうか」
「私たちはどうすればいい?」

 2人は俺を完全に信用してくれているようだ、全く動揺していない。

「敵は俺がどうにかします、兄様達は避難誘導を特に北側には絶対に人を近づけないでください、南の方向へ避難していて下さい」

 兄様達に話し終わった瞬間上空に飛龍の群れ約千体が同時に固有魔法ブレスを放ってきた。

ドッカーン!!!!

 町全体に爆音が響きいきなり結界に覆われて困惑していた者達が更に大混乱に陥ろうとしていた。

 兄様達4人は急いで生徒会や校長などの集まる場所へ走って行った。

 だが、俺にはまだやらなければならないことが有る、龍たちの撃退だ。

 俺は重力を操り浮遊する、操るのは俺の重力のみこのコントロールが凄く難しかった、俺の下に有る物全てが浮いた時にはどうしようかと思ったものだ。
 今は勿論完全に俺の身体だけを浮かせている。

 浮遊した俺は結界の外に出て飛龍の先頭までやって来た。
 理由は2つこの結界は魔法だけに効果を発揮するため簡単に飛龍たちは中に入って来れるのだそうさせないために目立つ位置に俺が出ていく必要が有った、2つ目の理由は龍達のリーダーと話をする為だった、龍とは基本的に知能は高くない、だが1000年の時を生きた龍は爆発的に知能が高くなる人間を超えるほどにだ、龍の群れにはそう言ったリーダーが居るのが基本だ。

 だがこの龍の群れに1000歳を超える龍は居なかった、いたのは先頭の龍の背中に乗る魔族「クラッシュ・バン」とその後ろの龍に乗る4人の魔族だった。
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