絶対記憶~彼は今日も知識欲を満たす

高戸

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17話

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「ほう、あの時の小僧か」

「クラッシュ・バン、聞くだけ聞いてみようか。どんな用事ですか?」

「ここには各国の王が集まっているのだろ?我が主が滅ぼして来いと命令を出したのだ」

 ならいいか。

「今の言葉、宣戦布告と受け取った。『ブラックホール』」

 龍の大群の中心に黒い渦が発生し次々と吸い込まれていく。

「ぐ…なんだこれは引っ張られる!!、だがこの程度【魔獣化】!!」

 クラッシュの言葉と共にクラッシュの身体が変形していく身長は3m近くに伸び筋肉の総量が増えていっている、口はとがり狼のような獣に変身していく。

「「「「【魔獣化】」」」」

 他の四人も姿が凶悪になって行った。

「これが我の真の姿だ、この力はあの方から貰ったものでステータスを5割引き上げる」

 1.5倍か厄介ではあるが全ステータス15000程のはずだ、倒す分に支障はない。
 だが他の四人のステータスによるか。【分析】

 名前 ルワン

 職業 ---軍幹部

 Lv.96

 魔力 4600+5000×1.5
 腕力 4720+5000×1.5
 脚力 4610+5000×1.5
 耐力 4510+5000×1.5

 Lレジェンドスキル【魔獣化】

 スキル 【剣術】【体術】【槍術】【弓術】

 他の3人もこんな感じだった。
 まあ問題ないか。

 ブラックホールの効果時間が終了し、残ったのはこの5人とそれを載せている5匹の龍だけだった。

「キサマの切り札では我らは滅ぼせなかったようだな」

「はい?切り札?」

「あの黒い渦だ、あれはキサマの持つ最強の魔法だろう?」

「え?…」

「あ?」

 あれは思いついてやってみたら出来たっていう空間魔法の応用だぞ、簡単に言うと生物も入れられるアイテムボックスみたいな物だ。

 実際はブラックホールと同じで一度中に入ったら粉切れにされるから確かに強いだろうが。
 基本は雑魚にしか通用しないし、雑魚処理用に考えた範囲魔法なんだがな。

「勘違いしてないか、アレは俺の使える魔法でも雑魚処理用の低レベルな魔法だぞ」

「は!?、ハッタリは通じぬぞ!!」

 いやまあそう思う分には俺に不都合は無いし勝手にすればいいと思うけどさ。

「じゃあそろそろ決着を付けようか?」

「ふん、いい気になるなよ?」

「『空間圧縮』」

 5人の魔族はサイコロサイズになり絶命した。
 空間圧縮は名前に空間が付いているが空間と風のダブル魔法だ。
 空気を一気に圧縮させ、その場にある固体液体もろとも圧縮させる。結果残ったのは敵の肉片と大気を圧縮させた事で出来たよく解らない鉱物だけだ。

「さて、帰るか。後で魔王にでもこの一件の説明を聞きに行ってみるかアイツが知ってるかは解らないけど」

 魔力領域を拡大して兄様達の魔力を見つけた後直ぐに空間魔法の『ゲート』で合流した。

「敵の殲滅完了しました~」

「アルか早かったな、と言う事で校長殿危機は去って行った、これから各国の国王様方を集めて緊急会議を開くのが最善だと思うのだがどうだろうか?」

「え?龍の大群は一体どうなったのですかな?」

「家のアルが全滅させた」

 堂々と答えた兄様を目の前にして校長は困惑気味だったが実際に龍が居なくなった空を見上げて納得してくれたようだ。

「解りました、各国の国王様を集めて会議を開きますので30分後に会議室にララク様とアール君は来てください」
「了解しました」
「解りました」

 まあ会議なんて面倒だが出席しない訳にも行かないだろう。

「アル、それで?敵の事について解っていることを教えてほしいんだが」

「はい」

 そして敵の主戦力が魔族という事とその魔族が3日前に学校に潜伏していた魔族で生徒の2割ほどに催眠をかけて棄権させた事などを話した。
 敵の主戦力が5人の上級魔族だったり、おかしな加護を持っていた事なども話した。


 30分が経過して俺と兄様と校長に加えて、各国の王たちが集結した。人間の国は現在4つ存在しており魔法国家を抜いた3人が席に付いている。
 ちなみに魔法国家の代表は、校長が務めている。

 兄様の口から敵が魔族だったことやその魔族が3日前にも学校で目撃されていた事などを包み隠さず話した。

「なるほど、それでその魔族をアル君が撃退したわけじゃな」

 今の王様は俺が生まれた国の王で面識がある。
 国の名前はセル、他の国はシバンともう一つラッセ。

 国王の名前は
 セルが、ジガイン・セル
 シバンが、トラカ・シバン
 ラッセが、ライド・ラッセ

 と全員が国の名前をファミリーネームに持っている、この世界ではこれが一般らしい、日本で考えると総理大臣の苗字が日本って事だな、はっきり言って失笑物である。

「では、この一件は各国共同で調べ情報が入り次第連絡するという事でいいですかな?」

「「「うむ」」」

 会議の結果、各国でこの一件について調べる事に決まった。俺も個人的に調べる必要がありそうだ。




 会議が終わり競技大会が中止になった事で俺は家に帰って皆が寝静まるまで待って魔法を発動させた。

「『ゲート』」

 魔法名を付けてそれを唱える事で魔法の発動がしやすくなると言うのは俺が調べたことで事実だと検証はしてある。決して恰好を付けている訳ではない。

 ゲートを使ったのは魔王に会いに行くためだ。

「こんばんわ、魔王いますか?」

「ハッ、これはアル殿よくお越しくださいました魔王様は今自室におられるので直ぐにアル殿が来られたと伝えてきます」

「そんなにかしこまらなくてもいいですよ、大臣」

「いえ、アル殿は先代魔王クルノタ様からのご友人で有りますから」

「そうですか、じゃあルミアを呼んで来て貰えますか?」

「承知しました」

 魔王軍には最高幹部と呼ばれる物達が6名在籍している、魔王軍は魔王と最高幹部6名により完全な魔族統治を実現させている。

 最高幹部6名にも序列が存在しさっきの大臣が6位だったりするが殆ど雑用担当である、彼もそれに不服な訳ではなく、最高幹部として誇りを持って行動したいと毎日のように言っていた。

「アル、来てくれたのね、嬉しい、それでどうしたの?理由も無しに来るような人では無いでしょアルは」

「まあお前に定期的に会うのも契約の内だしな、今回は聞きたいことが有って来たんだ」

「私はアルには契約とか関係無く来てほしいけどね。それで聞きたいことって何?」

 学校で有ったことをルミアに話すと顔が険しくなった気がした。

「結論から言うと、それは私以外の魔王の仕業だと思う」

「確かのクルノタの弟2人が他の魔王だったか?」

「そうね、お父様の弟2人のどちらかが首謀者と思って間違い無いと思うわ、確か次男の方の魔国の研究で加護の隠密を成功させたと聞いたわ」

 なるほど、あの加護の事を考えると怪しいのは次男の方か。

「それより今日は泊まっていく?」

「そうだな5時位には帰るが問題ないよな?」

「ええ」

 ルミアと少し話した後直ぐに寝る事にした。
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