絶対記憶~彼は今日も知識欲を満たす

高戸

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23話

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 夢の中で女神に会っていた。

 実はクラスアップしてから、月1くらいのペースでこの夢の空間に来ている、そこで情報を得て作戦を詰めて来た、此処からは実行の時だ。

「それで、君は勇者召喚されてくれるのかな?」

「そうだな、俺の立ち位置は、完全にこれに参加する以外の選択しを潰してる」

「嬉しいよ。勇者召喚は一週間後、それまでに学校とか魔王とかに、色々と別れとかを済ませて置いて」

「ああ、それでお前は俺の味方に付いてくれるのか?」

「それは約束しよう、君は神たる私に届くようなスペックを持っている。魔神、邪神、それを倒すために君に協力する。アイツは私でも操作出来ない存在だから、まあそれは君もだけどね」

「ありがとう」

「こちらこそ」

 女神の満面の笑みと共に夢から目覚めた。





 校長への休学申請はすんなりと通った、条件としてテストには出ろって事を言われたが、クライ先輩も同じように休学を認められたみたいだ。



「それで、アル君、本当にその通りにすればシエラを連れ戻せるんだな?」

「デートで名前呼びにまで進展したんですか?」

 ニュアンス的には小ばかにしたように話した。

「それは、うむ…」

 どうやらさらに緊張したらしい。

「解った、今の僕では君の話に乗るしか方法が無いからな、頼む」

「勿論、成功させます」

「すまない」



 次はサラとシャラルだ、この2人には言わなければならないだろう。

「え、アル君学校辞めちゃうの!?」

「それは困るわ」

「いや、辞めないから。言っただろシエラ先輩を連れ戻しに行くんだよ」

「そっか、でもいつ戻ってくるの?」

「まあ、半年か1年か、それぐらいはかかると思う」

 勇者召喚を行い勇者が魔王を討伐するまでをキャロは3年と見積もった、だが実際には魔王は討伐されない、ルミア以外の魔王ははっきり言って知らんが、それでも今魔王は3人いる、それを人間国は知らない、1人しかいないと思っている、これがこの見積もりで討伐できない理由だ。

 魔王の討伐は実際には行わせないしな。

「そっか…」

「まあ1ヶ月に1回は帰って来るんだしさ」

「それはそうかもしれないけどさ」

「もう決めた事なんだ」

「まあ、そうよねアル君は一度決めたことを曲げるような性格じゃないもんね。うん、行ってらっしゃい」

 今にも泣きだしそうでサラが我慢してるのは誰が見ても明らかだ、それでも笑いながら送り出してくれるんだから、ホント嫁に欲しい。

「わかったわ。行ってらっしゃい、それとこれを上げるわ」

 シャラルは余り顔に出るタイプではないけど、くれた念話魔法道具を見る限りは寂しいってのはあるんだと思う、実験も手伝えないし。でもやっぱりいい奴だな。

 これでこの学校を出れるな。空間魔法はイメージが無いといけないから空を飛んで行くか。
 勇者召喚で強制転移させられるとは思うけど、それでもクライ先輩を送らないといけないし、敵国の視察がてら一足先に国に行くか。

 重力魔法『フライ』。
 これを使って空を飛ぶ、通常浮遊とは重力に逆らい風魔法の連射で飛ぶ、がそれでは効率が悪すぎるので、開発したのがオリジナルの適性・重力。これはゼランの霧の適性と同じように13番目以降の適性だ、使えるのは恐らくこの世界で俺だけだろう。


 と、魔法の説明をしている間に目的地に到着した、クライ先輩は自分がどうやって空中を飛んでいるのか解らないようだった。

「付きましたよ、先輩」

「ああ、それにしてもアル君は凄いな、流石 一桁シングルナンバーだ」

「それほどでもないですよ、それよりまずは宿を探しましょう」

「ああ」

 キャロは不法入国が出来ないように国民全体にカードを配布し管理している、まあ大体の国はこうなんだが。

 そのせいで門から入れなかった、だが視認できるほど近づけば『ゲート』でさっさと裏路地に転移だ。

「おいお前、金おいてっちゃくれねーか?」

 転移五分でチンピラに絡まれた、治安が最悪だってのは事実のようだ。
 お金は一応持っている、俺の生まれた王都の国王に頼んだらキャロの発行している金貨を50枚ほど貰えた、日本円では金貨一枚で10万円ほどの勝ちが有る。

「お金ですか、金貨、1枚でどうですか?」

「いいのか?」

 クライ先輩がビックリしているが、その疑問はもっともだ、けど

「そちらも生活がかかっているのでしょう?」

「ああ、この国で暮らすには、悪事を行わないとやって行けねんだ」

 チンピラのおっさんは泣きながら膝を落とした。

 やはりそうだ。他の国にもチンピラは居るが此処ほどエンカウントは高くない。
 開始5分でエンカウントするほど多いと言う事は、それはこの国の経済状況の悪化が問題だろう。

 どうせ勇者召喚のための研究費で税金を上げたりしたのだろう。

「すまねえ、兄ちゃんありがとよ」

「その代わり宿屋の場所を教えて下さい」

「勿論だ」

 その後宿屋に着くまでに、4回からまれた。
 大体の人は金貨一枚で引いてくれたが、無理矢理全財産を奪おうとした者達には少し手荒にさせて貰った。

 ちなみに宿屋は一ヶ月で、金貨5枚だった、日本円で50万円、とんでも無くぼったくりだ。

 だが、何処の宿屋でもこの値段なので此処にした。



「それではクライ先輩、作戦の確認です」

「ああ」

 作戦は簡単に言うと駆け落ちである。

 シエラ先輩がこの国に帰って来るのは召喚の前日、直ぐにさらうのは殆ど不可能で確実に事件になるだろう、何よりそれでは目的の一つが達成できない。

 そのため、まずは俺が勇者召喚に混ざり王城に潜入、中から会長を外にだす。

 外に出すときに会長が死んだことにする必要がある、死体は魔物に焼却されたとかなら、無くても問題無いだろう。

 事件にはなるだろうがこの国の王族にとって会長は勇者召喚に成功すれば用無しだ。

 それに会長は今まで召喚を拒み帰国を遅らせたりと家族から煙たがられている、死んだとしても犯人探しや生きてるかもしれないから探そう、なんて事はしないだろう。







 この国に来て一週間が経った、今日が召喚の日だ。
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