絶対記憶~彼は今日も知識欲を満たす

高戸

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27話

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 Lレジェンドスキル【天使】、クラスアップした時に手に入れた、このスキルの能力は簡単に説明すれば『スーパーコンピューター』だ。
 天使は自我を持っていないが、俺の質問には答えられる範囲で的確な回答を返してくる。

 それに加えて【天使】は、俺のスキルの同時発動や機械的にプログラミングされた動きや魔法を俺の思考1つで完璧にこなしてくれる。

 例えば(41684×2785は?)

『116089940です』

 といった感じだ。かかった時間はそれこそ1秒以下だ、尤も1秒以下は俺には計れなかったので実際は解らない。

 そしてこのスキルの真骨頂は、俺のスキルや魔法と同じ様に、俺の身体を操作させることが出来る事だ。

 勇者たちのへっぴり腰+低スペックな攻撃は、非常に遅いので【天使】に相手をさせている。
 今、【天使】に与えている権限は俺の脳と口以外の身体の操作と、一部スキルの使用だ。そして【天使】への命令は、俺に対する全ての攻撃を最小限の動きで避けろ。そして勇者を殺すな、だ。

「なんで、当たらないんだ!?」

「クソ、どうなっていやがる」

「「ファイヤ」」
「「アクアスラッシュ」」
「「ボルト」」

 アホみたいにスキルと魔法を連射してきやがる、これに当たるのは冒険者でもCランク以下だけだ。

 それに【天使】は【未来予報5分】ともリンクさせているため、何処からどんな攻撃が来るか先読みで全て理解している。

「「【聖剣召喚】(【魔剣召喚】)!!、玉木!コイツを使ってくれ」」

「分かった、【魔法剣】!!」

 玉木の手に渡った2本の伝説の剣は、炎と風を纏って俺を傷つけようと切りかかって来るが、【二刀流】のスキルを玉木がもっていると仮定しても【天使】が操る全ステータス2万オーバーの、俺を傷つけられる理由にはならない。

 俺の身体はその攻撃を完全に見切り最小の動きでかわす。

 俺に対しても【未来予報5分】は発動して、繊細な情報が俺の頭に流れ込んでくる。

 右から玉木が、上から下への一刀。
 それを避けた俺に魔法が3発、水の魔法だ。
 それを【魔法魔素化】で消すと、更に後ろに1つ隠れていて俺に当たる、それを【未来予報5分】の能力で避ける。

 はっきり言ってここまでチートが揃っている俺を倒すつもりなら、最低核兵器並みの高火力と、それを確実に当てるための方法が必要だ。
 核兵器だけなら転移で避けられるし、最悪、結界でどうにかなる。

 考えていると俺の腕が誰かに引き寄せられた、俺の【未来予報5分】をどうにかするには、簡単な方法がある、俺が【未来予報5分】で得る事が出来るのは『視覚』による情報だけだ、つまり見られなければ俺に先読みされる事は防ぐ事が出来る。

 だが、それはあくまで【未来予報5分】に関しては、だけである。

 すなわち、俺の身体をつかんだ時点で【天使】は俺の高スペックな身体を完璧に使いこなし、投げ飛ばす。

「うわあぁ」

 どうやら彼は【光学迷彩】のLレジェンドスキルを所持していたようだ。
 俺の頭は健在なため意識もあればスキルも使えるし【無詠唱】を持っている俺はノーモーションで魔法も放てる、更に言うと、身体は俺の意思とは関係なく動いているため、魔法だけに集中して高威力の魔法も溜め無しで使用できる。

 今回は手加減として使ったがな。

「『重力操作5倍』」

 勇者王族騎士問わず、この場にいた全員が頭から地面に突っ込み、俺に対してひれ伏した。

「無様だな、勇者ならびに王族諸君」

「アルト、何を」

 重力5倍、これは数値で言えば5gゴジーの事であり、訓練された宇宙飛行士でも10gまでしか耐える事は出来ない。
 だが、耐える事とは、気絶しないと言う事であって立っていられるかと問われれば100%無理だろう。

「あー、皆弱いね、その状態で立てるのなら相手にしてもいいけど、君達には無理だよね?」

「チッ」

 ーーーーー-----ピキ

 今何か起こったか? まあいいか。

「なんで、当たらないんだ!?」

「クソ、どうなっていやがる」

「「ファイヤ」」
「「アクアスラッシュ」」
「「ボルト」」

 アホみたいにスキルと魔法を連射してきやがる、これに当たるのは冒険者でもCランク以下だけだ。

「「【聖剣召喚】(【魔剣召喚】)!!、玉木!、コイツを使ってくれ」」

「分かった、【魔法剣】!!」

 玉木の手に渡った2本の伝説の剣は、炎と風を纏って俺を傷つけようと切りかかって来るが、【二刀流】のスキルを玉木がもっていると仮定しても【天使】が操る全ステータス2万オーバーの、俺を傷つけられる理由にはならない。

 俺の身体はその攻撃を完全に見切り、最小の動きでかわす。

 俺に対しても【未来予報5分】は発動して、繊細な情報が俺の頭に流れ込んでくる。

 右から玉木が、上から下への一刀。
 それを避けた俺に魔法が3発、水の魔法だ。
 それを【魔法魔素化】で消すと、更に後ろに1つ隠れていて俺に当たる、それを【未来予報5分】の能力で避ける。
 更に短剣を持った異能力組の1人が後ろから切りかかってきて、それを避ける。

「そんな!? なんでよ?」

 なんだ?、コイツはこんな単純な攻撃が本当に当たるとでも思っていたかのような口ぶりで言っている。
 なんでだ?

 取り敢えず【アナライズ】を使ってみたところ。【巻き戻し1分】の所持者だった、恐らく未来の俺の動きを見て巻き戻って来たのだろう。

 まあ、1分と5分の時点で勝ち目はないと思うがな。それに残りのMPが殆ど残っていない、二度は使えない異能力のようだが一応【魔力吸収】でMPを全て吸い上げる。
 MPが枯渇した彼女は気絶した。

 だがそれを見ていた1人が、スキルを発動させた。

「よくも真美を【魔眼】!!」

 誰が発した声かよくわからない。【巻き戻し1分】を使ったのが真美って名前だって事は【絶対記憶】で覚えているが、時代遅れの名前って印象しか持っていなかったので特に思う事は無い。

 だが恐らく【魔眼】のスキルのせいだろう、俺の動きが止まる。

『レジストします』

(目つぶしでもくれてやろうか『ダークミスト』)

 声が聞こえた瞬間、目を見開いていた男の周りを黒い霧が覆い、身体の動きが戻ったのを確認した【天使】が紙一重で玉木の大振りをかわす。

(ピンチ、と言うほどでもなさそうだね)

(そうだな、それよりなんで出て来たんだ?、今までは無干渉だっただろう?)

(今までは君の記憶を読み取るのに使っていたんだよ、【絶対記憶】だっけ? これのおかげで常人じゃあり得ないほど量が多くてかなり時間がかかったよ、それに今までだってアルが呼んだ時には返事していたじゃないか)

(そうだな、それにそんなことできるのか、凄いな。 で、それが終わったから出て来たと?)

 ゼランは完全に俺の中から出て来て【魔眼】を使った奴を紫色の何かで縛り上げている、更にアイマスクのように目も縛り上げているため彼は完全に戦力外だろう。

「うん、もう終わったし、ちょっとストレスたまったから彼らで発散してもいいよね」

「殺すなよ?」

「わかった」

 ゼランの魔法かスキルかよくわからない能力で、この場に居る全員が黒に近い紫色の何かで拘束された。顔だけ出したミイラである。

 さて、どうしようかな?
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