絶対記憶~彼は今日も知識欲を満たす

高戸

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28話

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 さて、どうしようか。

 選択肢としては、

 1,城の住人を皆殺し。
 2,国ごと吹き飛ばす。
 3,シエラ先輩を助けた事だし、このまま何もせずに帰る。

 まず、3番は無いな。次に国ごと吹き飛ばすってのはやり過ぎか? 王族は完全にギルティだが、国民全員がそうだとは思わないし。吹き飛ばすなら国民をどこかの国に避難させる必要がある。
 となると、城内の人間は取り敢えず皆殺しで、そのほかの国民は転移で逃がすか。

 そうなると、俺が今交渉できる国は母国であるセルしかないよな。

 『魔力式遠距離通信機』日本風に言うと携帯電話である。

 プルルルル~プルル~

『もしもし?』

「ジガインさんですか?」

『そうじゃよ、アル君。何用かね?』

「今からキャロの人達を適当に王都の前に転移させるので、受け入れ態勢整えて貰ってもいいですか?」

『ファア!!??』

 いきなり電話を開始した俺に勇者39人が戸惑っている。ま、異世界になぜ携帯電話があるのか?という事に驚いているのかもしれないが。

「誰と電話しているんだ!?」

「うるさいな、電話中なんだから静かにしろよ。殺すぞ」

 勇者の玉木が自分が包帯人間だと理解できていなような態度なので、ゼランに「こいつの口塞いで」と頼んで玉木の鼻息がうるさくなった。

「国王様~、聞いてますか?」

『いや、キャロの国民と言う事は色々と問題にならないかね?』

「そこら辺は大丈夫だと思いますよ。キャロって国は、後30分ほどで滅びますから、その後は領土とかもジガインさんに任せますんで」

『そんな、適当な……』

「無理ですかね?」

『いや、やらせて貰おう。その代わり今度ワシを手伝ってくれ』

「了解です」

『では成立じゃな。それじゃあの』

 プツン

 電話が終わって、多分受け入れの話が門番まで行くのに10分位かかると思うから、その間にこのクズどもの処理を考えるか。

「よし、それでお前ら今から死ぬわけだけど、話を戻して遺言とかある?」

 勇者からのスキル略奪は自分が殺さなければ発動しない、よってゼランにやらせるわけにはいかなかった。それに異能が略奪できるのかも気になる。

「死ぬって、テメェ何言ってんだ。早く解放しろ」

「いや、俺に刃と魔法を向けておきながら許されると思ってんの?」

 俺は【覇気】を常時発動にしているので、コイツ等はかなりけおされている、はずだ。

「んーんー」

 そういえば玉木の口塞いだままだった。

「ゼラン、解いていいよ」

「わかった」

 紫色の何かが玉木の口から剥がれていった。

「君は何を考えているんだ、亮の腕を落としただけならまだしも僕たちにこんな事をして、どういうつもりだ」

「話を聞けよ、殺すって言ってんの。命乞いなら聞くけど、自分の立場を理解できないような奴と会話する気はねーぞ」

 我ながら、こんなやくざのような音色が出る事に驚きだ。【覇気】の効果なのだろう。

「殺すなんて、何を言っているんだ。犯罪だぞ」

 コイツはさっきまで俺に聖剣で切りかかっていたことを忘れたのだろうか? 正当化ってのも限度がある。

「もういいや、お前は死ね」

 玉木の首を風魔法で切り飛ばした。

『【魔法剣】略奪しました』

 スキルは手に入った、問題無く発動しているようだ。

「え?」「は?」「あああ」「キャアああああ」

 と悲鳴がうるさい。

「はい、じゃあ話をもとに戻そうか。遺言か命乞いある? どうせ殺すけどあるのならどうぞ」

 この世界に来て、人殺しは初めてではない。だが初めて殺した時は吐いたし、今でも人殺しをすると多少気分が悪くなる、それはクラッシュ・バンの時も例外は無かった。
 でも、勇者に関しては何も感じない。

「いや、私死にたくない!」
「こんな世界にいきなり連れてこられて、俺達おかしかったんだ!!」
「助けてくれ!!!」
「殺さないでくれあ!!、俺達が悪かった!!」

 なんていうか面白味が無いんだよな。もっと顔を歪めてほしい。

「じゃあ、死んでいいよ」

『【魔眼】【魔剣召喚】【錬金】【異世界物品召喚】略奪しました』

 今玉木を含め5人が死んだ、残りは34人だ。

「面倒だな、範囲魔法で一気にやろうかな」

「ちょっと待って!!」

「ん?」

 喋ったのは女子の学級委員で楠くすのきさん、って名前だ。

「殺す訳を教えて」

 どうやらこの中では理性的だしい。

「そうだな、まずは気分ってのはあるよね。他には【勇者スキル略奪】ってLレジェンドスキル持ってるからだとか、地球に居た頃の復讐とか、でもそれ以前に俺がやってるのって正当防衛だよね? 君らが殺しにきたから反撃して殺してるだけ」

「そう、でも私は日本に居た頃、アルト君には何もしてないし。今だって私は攻撃していない。だから助けて」

「知ってるか? 無関心ってのは嫌いの上位互換らしいよ。そういう意味では君の方が不良よりもひどいよな? あと攻撃しなかったじゃ無くて、しても意味が無い事を悟ったか、もしくは君の能力が戦闘向きじゃ無いかのどちらかでしょ?」

 【アナライズ】を使った結果、コイツは異能力の【ドリームゲート】だった。名前からして戦闘向きじゃない。

「………」

「黙っているのは認めてるって事だよね?」

「あ……」

「あ?」

「じゃあ、あなたの奴隷にでもなるから殺さないでよ」

「必要ない」

『【ドリームゲート】略奪しました』


「はぁ、そろそろいいかな『完全氷結』」

 結界魔法で囲んだ空間全てを凍結させる事で、巨大な四角い氷が出来上がり、その中にクラスメイト達が凍り付いて、心臓を止めていた。

 これを自力で敗れるのなら、生かしてやるさ。

 勇者は死体になった者を含めて全員が凍結した。
 瞬間的に大量のスキルが流れ込んできた、数えてはいないけど全員死んだと思う。

「それで、お前らはどうしよっか?」

「ヒッ、」

 なんかこの第一王女と国王見てると気分が悪くなるんだよな。
 勇者のスキルの実験台にでもなって貰おうか。

「【HP吸収】」

 スキルを発動した瞬間、この場に居た全員が倒れた、多分死んでる。
 名前からして自分の体力が増えるんだろうけど、HPがマックスだったから増えなかったみたいだ。





 それじゃあ転移を始めますか。

 転移門を町の中心に作って『音拡大』の魔法で誘導する事で、割と簡単に行う事が出来た。

 クライ先輩とシエラ先輩はすでにイチャイチャしていたので、俺が宿に戻って転移門に入れと言うまで、全く動いていなかった。

 それで、シエラ先輩はクライ先輩の家に嫁ぐのだとか。近々クライ先輩の親に挨拶に行くらしい。

 あーあ、ホントはもう少し勇者が育ってから殺そうと思ってたのにな。
 でも2週間で学園に戻れるから、サラとシャラルのところに早く戻れるのは運が良かった。
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