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29話
しおりを挟むクルノタが封印延長を行って数日が経った。
俺は魔法の進歩のために方法を探しては居るが、今は魔法と現代知識を合わせて研究している。
魔法はこの世界に存在する非科学的な力、ではなく科学の分野の中に新たに生まれた魔法科学として俺は捕らえている。例えば雷魔法で発生させたイオンで反発効果を発生させ大爆発を起こしたり、火薬、筒、ハンマーを全て魔法で作成し、リボルバーなんかが作れる。
下手したら魔法で原子炉を作れるかもしれないが、勿論危険はある、地球には俺が居た頃から15000発以上の核爆弾が存在しており、1発の平均が日本人なら誰でも知っている広島原爆の12.5倍の威力を持っている。つまり40発も撃てば人類は滅ぶとされている。
そんな物が個人の魔法で作れることが証明されてしまえば間違いなく、現代地球のように核爆弾による睨み合いが始まる。
だからこそ現代科学と魔法を組み合わせる事は、もしかしなくても禁忌になるだろう。もし開発するなら絶対に情報が漏れないようにしなければならない。
って事で原子能とか原子炉とかは考えずに、他の兵器や物理法則を使う事にしよう。
と、思っていたのだが何故か体術の練習をする事になった。
アーサーがルミアと一緒に俺も鍛えてくれるらしい。
魔法剣士になりたいわけではないが、やはり剣と魔法の世界なのだから聖剣とか魔剣が手に入っても使えなければ宝の持ち腐れだ。
一応、体術訓練には参加する事にした。
「まず、この世界での基礎体力はレベルを上げる事で手に入るから、素振りやら腹筋は無意味です。なので2人には僕に剣を当てる事を目標に実践訓練をして貰います。勿論木刀ですが」
「はい!」
「うん」
「アル君、ふぬけすぎじゃ無いかい?」
「そんな事無いですよ、先生~」
「魔法は禁止だ。ボコボコにして上げよう」
俺とルミアは2人でアーサーに一太刀浴びせればクリアだ。
アーサーに魔法以外の技量で勝つ事は不可能だろう、なので確実に勝っている数の力を使わせてもらう。
ルミアはクルノタの娘だが、全く似ていない。性格もそうだが外見としてもだ。
クルノタは魔族といっても角が生えているだけで角さえ隠せば人間として通用するだろう、そしてルミアの方は魔族っぽい。
濃い紫いろの皮膚は魔族の特徴で真っ黒な角は魔族としての威厳を大きく表している。
クルノタの奥さん、つまりルミアの母親は見たことがないがルミアは母親似なのだろう。
そして性格はクルノタがクールで維持の悪い性格だったのに対して、ルミアは気性が荒く、直ぐにいじけるタイプだ、全然クールじゃない。最初はサラに少し似ているかもと思いはしたが、全然違った。
多分ルミアは見た目以上に子どもなのだろう。
結局、俺とルミアはアーサーに一撃も当てる事はできずに、この日の訓練は終了した。
終わったのはいいが、何故かルミアに作戦会議をするとルミアの部屋に連れ込まれた。
「1発もあたらなかった」
「じゃあ、明日は当てられるように頑張るか」
「うん」
「で、アーサー討伐クエストの作戦だが…」
「討伐なの!?」
「そうだ、作戦は取り敢えず装備強化で行くぞ」
「討伐なんだ。 ん、装備強化?それ体術訓練になるの?」
「取り敢えずこれを見てほしい」
『ゲート』を使い俺の部屋に置いておいた、俺製作の装備品を床に並べた。出したのは武器が4つ防具が6つアクセサリー多数だ。
アクセサリーには俺が思いつく限り様々な効果を付与したため総量がかなりの数になった。これを全て装備すれば一般兵が勇者や英雄を軽く超えるだろう。
「これは何?」
ルミアが取り出したのは、まがまがしい色と装飾のネックレスで名前は呪いのネックレスだ。
「それを1度装備すると、聖水を使うか聖女のスキルを使わなければ外せなくなる。ちなみにそれ以外の能力は無い」
「ゴミじゃん」
勿論、ネタ効果や失敗品も存在する。
「こっちは?」
「それは念話の指輪って名前で効果は対になる指輪を付けている奴と念話が出来るようになる」
テンプレ効果や普通に強い装備も勿論ある。
装備を選ぶ際に重要なのは、効果だろうか、能力の上昇値だろうか。色々あると思う。
だが、この状況ではもう1つの基準を立てる事が出来る。相性だ。
アーサーの能力は【十聖武器】、10個の最強チートの武器を呼び出すことが出来る能力だ。
俺が見たことが有るのは【ロキの靴】と呼んでいた靴だけだ。能力は転移、俺の転移魔法のゲートと比べると強さが解るだろう。
『ゲート』の魔法は任意の場所に繋がる穴を開け、その穴が対象に近づいて行き転移する。この構造上発動から転移までに少しのラグが発生する。
時間にしてたったの2秒ほどだが、逆に言えば2秒もだ。2秒あれば何が出来るだろうか、俺ならば1km先に敵に攻撃を当てられる。
それに比べ【ロキの靴】はノータイムで発動できるため、『ゲート』に比べて戦闘向きだ。そしてこれを破るには、必然的に不意打ちかアーサーの反応を超えるスピードでの攻撃が必要になる。
他の武器はいまだに不明なので今回は【ロキの靴】の対策とアーサーの剣術への対抗策を用意する事にした。
2度目の訓練はでアーサー君に2つ目のチート武器を発動させることに成功した。
【ロキの靴】を使った瞬間【未来予報5分】の先読みで転移先に投擲ナイフを飛ばし、アーサーの防御も転移も間に合わずに、アーサーの顔に当たりそうになった瞬間その武具は出て来た。
名前は【アイギス】固定されたの形状は無く、自動でアーサーを守る盾を作り出す。自動的に出てくるため、アーサーの不意を突いたとしてもアイギスの防壁を超える事が出来ない。
次の訓練でアイギスの特性を見切り、アイギスが全体防御面積が思ったよりも少ない事を発見して、次の訓練で俺の作った【分身の矢】で八方からの攻撃を初撃は転移で回避したアーサーだが、俺の先読みで転移先に放った弓は確実に1本は命中すると確信したのだが。
ピンポイントで矢が当たる部分だけをガードしてきやがった。矢の先には鉄製だが大きさは小石程度なのでガードしきるには小石サイズ以上のガード面積を8つ作れば全ての矢をガードする事が出来る。
確かに理論上は【アイギス】の総面積が10㎠もあればガードする事が出来るが、精密過ぎるだろ!?
爆弾を使ってみたが、結局【アイギス】がアーサーでは無く爆弾の方を囲んで、防御された、その瞬間の【アイギス】が消えた瞬間に、攻撃を仕掛けてみたが結局は【ロキの靴】とアーサーの剣術で防がれるため。
結局最後までアーサーに一太刀浴びせる事はできなかったが、アーサーの狙いに反し俺とルミアは色々な武器の扱いが上達した、片手剣かナイフや弓に加え手榴弾や拳銃になるまでの扱いが上達したのだった。
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