28 / 35
27話 地盤が固まってきた。
しおりを挟む迷宮を攻略してから1ヶ月が経ったある日。
その日の始まりは何時も通りの朝食から始まった。
今日は久々の予定が埋まって無い日だ。基本的にこの町では7日に一度は皆休んでいる。仕事をしろと言った事は今まで一度もないが休みは必要だろう。妖精族は体の弱い種族でもある訳だし。
幸いなことにこの世界にも一週間という概念は存在するようで、深く説明する事無く理解してもらえた。
「そういえば、皆今何着ぐらい服持ってるんだ?」
「迷宮からネイトさんが素材を大量に持ち込んで使い切るのが大変らしくて、ノームさん達が沢山作ってくれますから私は30着程持ってますよ」
この中では確かにシリアが一番衣服のバリエーションが多いイメージを受ける。浴衣を着ていた時なんかは白髪の長い髪との親和性が凄まじく、心から褒めたことは記憶に新しい。うさ耳という不安定感すらも美として認識してしまうほどだ。
「私はね、うーんとよく覚えてないけど、沢山あるよ」
ノーム達には女性も多く(見た目は60歳以上だが)、アリアは120cmほどの体系だからなのかコスプレの頻度が異様に高い、小学校でしか着ないようなアレやこれやを良く着させられている。
アリアはシリアほどのファッションに関心はないようで、最近はTシャツにスカートの組み合わせが多い。
「私は15、6着」
エリスは普段着が少なく、服に防御力、敏捷性、耐久性を求めている節がある。
実際エリスの服は白樹達の魔道具班が製作したものが多く、鉄よりも硬く軽いミスリル銀という素材で基本的に製作されており、防具の中に空洞の部分を作りさらに身軽にするとともに、内部に空の魔石で『温度調節』『硬化』と魔力が十分補充された魔石で『自動修復』の機能が付けられている。
空魔石は魔力の込められていない魔石の事で、使用者自身が魔力を補充することで効果を発揮する。『自動修復』に関しては常時発動型にしておきたかったので、魔力が最初から込められている。装備が破損した場合のみ修復が発動して50%を5分で直す効果を確認している。
話が脱線した。
ノーム製作の服は多種にわたり、それは地球のファッションさえも取り込んでいくほどだ。
何故か俺の作る道具からイメージを得ているらしいが、正直電化製品と衣服にそこまでの関係が存在するのかは疑問だ。
人間の町ではファッションに気を遣うのが貴族ぐらいだがノームは戦闘用の衣服を必要としないため、見た目を気にするようなものが多く作られているのかもしれない。
ノーム達が作る服はコスプレ方面に脱線している節がある。
チャイナ セーラー ナース 和服 バニー
これらを着せられるのはシリアやアリアが多いのだが、ノーム達自身は着れないのになぜ作っているんだろうか、と思うのは俺だけだろうか。
エリスの普段着だが、なぜか防御力よりも敏捷性を優先するという謎理論からダボ着いた服を要所要所で結んで着ている事が多い。ショートパンツを履いているようだが、ダボダボのシャツと腰辺りにある結び目が隠している。
エルフ特有の尖った耳に金色の髪の毛は個人的に和服が似合うと思うのだが、エリスの和服は一度しか見たことがない。
エリス自身身長が余り無いので、確かに敏捷は高い能力を誇っているのだが、俺としては動きにくくても和服を着てみてほしい。直接言う度胸は無いが。
「そっか、衣服はもう問題無い量が用意出来たみたいだな」
「そうですね、衣と食は全体的に見ても行き渡ってますね、問題は……」
3人は俺の手伝いをしてくれているのだが、エリスは最近は聖剣の扱いを上達させるために迷宮に潜る事が多いが護衛をして貰っている、俺じゃとっさの時に反応できないからな。
アリアはゴーレムでの警戒、という事でシリアに秘書のようなことをして貰っている。
「住居スペースか」
「はい」
実はこの村に住居者が増えたのだ。
4日ほど前にエルフの集団が現れた。ここに来る途中にあった村のエルフ達でエリスの身内たちだ。まあ本当の意味でエリスの血縁がいる訳では無いが。
エルフ達がやってくる前から40軒ほどの家は作っていたが、ノームの数が43名、新たに加わったエルフ達が51名、それに俺とエリス、シリアとアリアが加わるので総勢97名の大所帯である。
現在は2人、もしくは3人で一軒使って貰っているのだが、一軒一軒の大きさが無いため3人で一軒の家を使って貰っている訳だが、かなり手狭になっている。
俺の住む家はノーム達に領主として少しでも威厳をと言われてしまい、改築して4人で住んでも問題ない広さになっているので問題ないがノームやエルフ達には出来る限り快適に過ごして貰いたい。
「はい、ですがそれも時間の問題で解決すると思いますよ。進行速度は1日5軒ですから単純計算でも、1週間もかからずに必要数確保できる事になります」
シリアは暗算をマスターしていた。1か月前は足し算しの二桁までしか解らなかったのだから大したものだ。
「そうか、じゃあ今日の予定は何だったか?」
「エルフさん達を襲った、人間たちの事を村長さんに聞くと昨日ネイトさんは言っていたと思います」
「じゃあ朝食も終わったし、村長の……えっと」
「ガルシュ」
名前が思い出せなかったが、エリスがすかさず教えてくれた。俺の考えてる事はエリスにすぐにわかってしまう。付き合いの長いエリスだからこそなせる技だろう。
「そうだった、ガルシュさんに会いに行くか」
「はい」
「じゃあ私はシロキさんの所に行くね。ゴーレムの事で相談があるから」
アリアは敬語が消えているが、ここに住んでいる皆を思っている事は明らかだ。
「気を付けてね」
「私もう子供じゃないから大丈夫。お姉ちゃんこそ最近太って来てるから気を付けてよね」
「もう! アリアったら、それは言わないでって言ってるでしょ!」
「いってきまーす!」
マジックバックを持ったアリアは逃げるようにで出て行った。
「いつも元気だな」
「大人びてるだけですよ。後太ったのはちょっとだけですからね! ほんとですよこれ位今度森に行ったときに取り返せますから」
「そっかそっか」
「あ、信じてませんね!」
「信じてるよ」
「もう、お皿片付けますから取って下さい!」
「はいよ」
シリアはそのまま洗い物を始めてしまった。太ってるようになんて見えないんだから気にしなくてもいいだろうに。男の俺には分からない何かがあるのだろう。
「それじゃあ、私は聖剣の練習に迷宮まで行ってくるから」
「わかった。行ってらっしゃい」
「……うん」
感情が読みにくいエリスだが、一緒に迷宮に入ってからかなり仲が深まったと思う。エルフの村から来た人達がエリスが固くなっているなんて言われる事も有るが、こっちが地だと思う。
エリスはマジックバックを手に取って家を出て行った。
聖剣はエリスに色々な恩恵を与えた。
______________
剣聖★★★★★★
F、剣術強化STR+400
E、AGI+400DEX+500
______________
エリスの職業は剣聖に変化し、個としての強さも大きい物になった。
だが、エリスは聖剣の力をうまく使えないらしい。
岩を両断したり、川が開くほどの一刀を見せておきながらうまく使えていないとは、使いこなせたときはどうなるんだろうか。頼もしい限りだ。
「それじゃあ俺達もそろそろガルシュさんの所に行くか」
「そうですね。でもネイトさん、エリスにはもっと優しくした方が良いと私は思います」
「そうあろうとは思ってるんだけどな。エリスってちゃんと俺の事解ってくれてるような気がして、わざわざ言う必要なんてないんじゃないかと思えてくるんだ」
「それでもです、ちゃんとありがとうって言って貰った方が嬉しいんです」
「そうだよな。今度休日作って2人で出かけてみるよ」
「はい。必ずですよ」
俺達はガルシュさんの所に向かうために家を出た。
後書き
電化製品や魔道具、ゴーレム等の説明が足りているのか自分だけでは判断がつかず、解りにくい文章になってませんでしょうか? 自分でも出来る限り必要な文章を追加したり不必要な文章を消して読みやすくしていきたいと思っています。
この説明が意味不明というような物があれば感想を頂ければ幸いです。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる