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31話 勇者の強さ
しおりを挟む「う……」
敵の殆どは龍の砲撃で即死。そこは地獄と化していた。
それは、年端の行かない女の子に耐えられるものではなかったようだ。
「大丈夫か?シリア」
「はい。ネイトさんは平気なんですね」
「ああ、なんでだろうな。アイツらにはなんの感情も湧かないんだ。お前みたいにあからさまに人間じゃ無ければ、心配ぐらいするんだろうけどな」
「はあ、酷い人です」
「そうだと思う」
俺は『送受信』の魔石を取り出し、これからを確認する。
「【勇者】と【神官】はペアらしいから俺とシリアで相手取る、【錬金術師】はそっちに任せる」
『了解した』
シロキの一言と共に通信は切れた。
ピコン♪
______________
遠視
視力+1000
______________
ステータス。
俺以外の人間には関係ない概念だが、俺には関係ある。通常、人のステータスとは全て100だ。そこに職業の補正が掛かり、筋力、速度、器用、魔力、のパラメーターが強化されている。これは俺の全てのステータスが99までしか下がらない事から推測した。もう1つ下げてしまえば欠落し、この世界の人間ではなくなってしまう、行く先は天国や地獄となるのだろう。
さて、俺の視力は両目とも2.0だった。それを+1000、つまり1100で11倍の視力22.0を得たことになる。『遠視』は遠くを見る能力で、それには同じ職業で同じランクで同じスキルを使った場合にも個人差が付くことがある。その差異を握るのが視力というパラメーターな訳だ。
何が言いたいかと言うと、俺微生物が見える。
酔うわ!
ピコン♪
______________
遠視
視力+300
______________
よし、いい感じだ。
【勇者】と【神官】のペアは現在正面から進行中。都合のいいことに【錬金術師】は別動隊として新たに作り出したのか、復元したのか、ゴーレム5体と数十人の兵を引き連れて右側から回り道をしている。
恐らく【錬金術師】の方は龍にビビってる。逆にあの【神官】は第二射が来ても問題無い訳だ。2人しかいないとこを見ると結界を狭くしか展開できないのか、他に何かデメリットがあるのか。
「さて敵の居場所は解った。シリアはここで俺の支援だ。だが連絡するまでは何もするな」
「はい。まだ死なないでくださいね、困りますから、私とアリアが」
「了解」
10分ほどで対面した。
勿論シリアの射程圏は把握している。
「さて、お前たちに勝機は無い。今すぐ降伏しろ」
一応の勧告は必要だろう、勿論素直に降伏する可能性など想定していない。
「流石に少しだけムカついた。君に【勇者】の力を見せてあげるよ」
想定内。当然の反応だ。
「2対1でよく言う」
そんなつもりは毛頭ない。卑怯なんて言わせない、村一つに大群で迫って来たんだ。容赦などする訳がない。
「カレンは休んでていいよ。僕一人で十分だ」
温い。
これで1対2だ。俺は自らの口角がつり上がるのを感じた。
「それは無い」
ピコン♪
______________
STR+700
VIT+700
AGL+700
INT+700
DEX+700
MND+700
残り231p
______________
急加速。
俺の腰に釣られている鉄の剣がその刀身を表に出し、光を放った。
驚愕の色を浮かべる勇者だが、AGL+700の突進などでは打ち取れない。動き出しを完全に把握され剣が剣に接触する。ハウリングを耳に残し、お互いがお互いの剣を見て驚愕していた。
2つの武器は鉄とミスリル。
勇者の剣は俺の剣に対して性能が大きい事が解る。もし先に突進したのが【勇者】だったら俺の剣は2つになっていたかもしれない。そんな差。
だが、それ以上に驚くべきは交わる2つの剣に施された装飾、機能の方だ。
鍔の部分。それは刀身と柄の間を示す部分で、基本的に持ち手と刀身の境を解かりやすく着けただけの、そこまで大事な訳では無い部分。
けれど、俺と同じ様に【勇者】の剣も鍔の部分が大きく作られ6色の宝石が埋め込まれていた。
ルビー
サファイア
エメラルド
トパーズ
アメジスト
ダイヤモンド
6つの宝石にはこの世界でしか見られない特徴がある。
それらの宝石には属性魔法の威力を増大させる効果がそなわっていた。
アリアのゴーレムにも使われた特徴だが、これは理論的に俺だけの特注のはずだった。
【勇者】の能力を考えたならばおかしい事は何もなく、理にかなってはいるが同じ剣を使ってるって事はその理由もばれたって事だろう。
奇しくも両方が全属性を使えるって事だ。
「面白い武器を持ってることだ」
「君の方こそ」
鍔迫り合いの途中、そんな言葉を交わしながら両方が「ふっ」と笑い、距離を取った。
「でも、素材は僕の方が上!!」
確かに、ミスリル相手にまともに打ち合ったら先に折れるのはこっちの武器だろう。
今度は【勇者】が突っ込んでくる。
「だが、根本的にスペックが違うんだよ!!」
その一太刀は、遅すぎた。
「回避設定」
ピコン♪
______________
反応速度+1000
反射神経+1000
AGL+1000
______________
口に出すことで変換速度は普段よりも早くなる。
それに神経を加速させた状態にさえ入れば、それよりも早くなる。
「な! 早い」
「だから、根本的な問題なんだよ【勇者】。そうかこういえば伝わるだろ、レベルが足りない」
「な!!」
当然見た。【勇者】の能力の全てを。
そして確信した、俺の方が強いと。
______________
勇者
Ⅰ レベル制(敵を倒す事で成長し、レベルが上がる。レベルが上昇する事で身体能力が向上する)
レベル 42
STR+482
VIT+482
AGL+482
INT+482
DEX+482
MND+482
Ⅱ レベル制・2(レベルが上昇する事でスキルを覚える)
魔法(炎水風土闇光) 武具適正・片手剣、盾 危機察知 魔法剣 ドレイン 回復魔法
______________
こいつはただの下位互換だ。
「さて、終わらせよう」
ピコン♪
______________
STR+1000
AGL+1000
DEX+1000
反射神経+1000
早業
ウィークポイント補正
踏み込み強化
演算
______________
剣を弾かれ、距離を取った【勇者】を追い立てる。
『早業』【サムライ】のAランクスキル、その効果は次撃への速度が上昇する。
『ウィークポイント補正』【木こり】のSランクスキル、相手の弱点を可視化する。
『踏み込み強化』【剣士】のBランクスキル、踏み込んだ一撃の威力が上昇する。
『演算』【計算師】のFランクスキル、式が答えになるまでの過程が省かれる。
一歩一歩確実に踏み込み、弱点を狙い撃つ、踏み込みの隙は『早業』が消して、演算が最速の道筋を教えてくれる。
一つずつ着実に、【勇者】について行くかすり傷。
その傷は披露へと変わり、勇者の剣が後方にはじけ飛んだ。
大きく目を見開いた【勇者】は大きく後ろに飛びのいた。
最後だ。魔石を発動させる。
出来る限り少ない言葉で、
『撃て』
俺の後ろ、右後方から髪をかすめて。一発の銃弾が放たれた。
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