ステ振りの王様

高戸

文字の大きさ
32 / 35

31話 勇者の強さ

しおりを挟む

「う……」

 敵の殆どは龍の砲撃で即死。そこは地獄と化していた。
 それは、年端の行かない女の子に耐えられるものではなかったようだ。

「大丈夫か?シリア」

「はい。ネイトさんは平気なんですね」

「ああ、なんでだろうな。アイツらにはなんの感情も湧かないんだ。お前みたいにあからさまに人間じゃ無ければ、心配ぐらいするんだろうけどな」

「はあ、酷い人です」

「そうだと思う」

 俺は『送受信』の魔石を取り出し、これからを確認する。

「【勇者】と【神官】はペアらしいから俺とシリアで相手取る、【錬金術師】はそっちに任せる」

『了解した』

 シロキの一言と共に通信は切れた。


 ピコン♪
______________
遠視
視力+1000
______________

 ステータス。
 俺以外の人間には関係ない概念だが、俺には関係ある。通常、人のステータスとは全て100だ。そこに職業の補正が掛かり、筋力、速度、器用、魔力、のパラメーターが強化されている。これは俺の全てのステータスが99までしか下がらない事から推測した。もう1つ下げてしまえば欠落し、この世界の人間ではなくなってしまう、行く先は天国や地獄となるのだろう。

 さて、俺の視力は両目とも2.0だった。それを+1000、つまり1100で11倍の視力22.0を得たことになる。『遠視』は遠くを見る能力で、それには同じ職業で同じランクで同じスキルを使った場合にも個人差が付くことがある。その差異を握るのが視力というパラメーターな訳だ。

 何が言いたいかと言うと、俺微生物が見える。

 酔うわ!

 ピコン♪
______________
遠視
視力+300
______________

 よし、いい感じだ。
 【勇者】と【神官】のペアは現在正面から進行中。都合のいいことに【錬金術師】は別動隊として新たに作り出したのか、復元したのか、ゴーレム5体と数十人の兵を引き連れて右側から回り道をしている。
 恐らく【錬金術師】の方は龍にビビってる。逆にあの【神官】は第二射が来ても問題無い訳だ。2人しかいないとこを見ると結界を狭くしか展開できないのか、他に何かデメリットがあるのか。

「さて敵の居場所は解った。シリアはここで俺の支援だ。だが連絡するまでは何もするな」

「はい。まだ死なないでくださいね、困りますから、私とアリアが」

「了解」




 10分ほどで対面した。
 勿論シリアの射程圏は把握している。

「さて、お前たちに勝機は無い。今すぐ降伏しろ」

 一応の勧告は必要だろう、勿論素直に降伏する可能性など想定していない。

「流石に少しだけムカついた。君に【勇者】の力を見せてあげるよ」

 想定内。当然の反応だ。

「2対1でよく言う」

 そんなつもりは毛頭ない。卑怯なんて言わせない、村一つに大群で迫って来たんだ。容赦などする訳がない。

「カレンは休んでていいよ。僕一人で十分だ」

 温い。
 これで1対2だ。俺は自らの口角がつり上がるのを感じた。

「それは無い」

 ピコン♪
______________
STR+700
VIT+700
AGL+700
INT+700
DEX+700
MND+700

残り231p
______________

 急加速。
 俺の腰に釣られている鉄の剣がその刀身を表に出し、光を放った。

 驚愕の色を浮かべる勇者だが、AGL+700の突進などでは打ち取れない。動き出しを完全に把握され剣が剣に接触する。ハウリングを耳に残し、お互いがお互いの剣を見て驚愕していた。

 2つの武器は鉄とミスリル。
 勇者の剣は俺の剣に対して性能が大きい事が解る。もし先に突進したのが【勇者】だったら俺の剣は2つになっていたかもしれない。そんな差。

 だが、それ以上に驚くべきは交わる2つの剣に施された装飾、機能の方だ。
 鍔の部分。それは刀身と柄の間を示す部分で、基本的に持ち手と刀身の境を解かりやすく着けただけの、そこまで大事な訳では無い部分。
 けれど、俺と同じ様に【勇者】の剣も鍔の部分が大きく作られ6色の宝石が埋め込まれていた。

 ルビー
 サファイア
 エメラルド
 トパーズ
 アメジスト
 ダイヤモンド

 6つの宝石にはこの世界でしか見られない特徴がある。
 それらの宝石には属性魔法の威力を増大させる効果がそなわっていた。

 アリアのゴーレムにも使われた特徴だが、これは理論的に俺だけの特注のはずだった。
 【勇者】の能力を考えたならばおかしい事は何もなく、理にかなってはいるが同じ剣を使ってるって事はその理由もばれたって事だろう。
 奇しくも両方が全属性を使えるって事だ。

「面白い武器を持ってることだ」

「君の方こそ」

 鍔迫り合いの途中、そんな言葉を交わしながら両方が「ふっ」と笑い、距離を取った。

「でも、素材は僕の方が上!!」

 確かに、ミスリル相手にまともに打ち合ったら先に折れるのはこっちの武器だろう。
 今度は【勇者】が突っ込んでくる。

「だが、根本的にスペックが違うんだよ!!」

 その一太刀は、遅すぎた。

「回避設定」

 ピコン♪
______________
反応速度+1000
反射神経+1000
AGL+1000
______________

 口に出すことで変換速度は普段よりも早くなる。
 それに神経を加速させた状態にさえ入れば、それよりも早くなる。

「な! 早い」

「だから、根本的な問題なんだよ【勇者】。そうかこういえば伝わるだろ、レベルが足りない」

「な!!」

 当然見た。【勇者】の能力の全てを。
 そして確信した、俺の方が強いと。

______________
勇者
Ⅰ レベル制(敵を倒す事で成長し、レベルが上がる。レベルが上昇する事で身体能力が向上する)

レベル 42
STR+482
VIT+482
AGL+482
INT+482
DEX+482
MND+482

Ⅱ レベル制・2(レベルが上昇する事でスキルを覚える)

 魔法(炎水風土闇光) 武具適正・片手剣、盾 危機察知 魔法剣 ドレイン 回復魔法
______________


 こいつはただの下位互換だ。

「さて、終わらせよう」

 ピコン♪
______________
STR+1000
AGL+1000
DEX+1000
反射神経+1000
早業
ウィークポイント補正
踏み込み強化
演算
______________

 剣を弾かれ、距離を取った【勇者】を追い立てる。
 『早業』【サムライ】のAランクスキル、その効果は次撃への速度が上昇する。
 『ウィークポイント補正』【木こり】のSランクスキル、相手の弱点を可視化する。
 『踏み込み強化』【剣士】のBランクスキル、踏み込んだ一撃の威力が上昇する。
 『演算』【計算師】のFランクスキル、式が答えになるまでの過程が省かれる。

 一歩一歩確実に踏み込み、弱点を狙い撃つ、踏み込みの隙は『早業』が消して、演算が最速の道筋を教えてくれる。
 一つずつ着実に、【勇者】について行くかすり傷。
 その傷は披露へと変わり、勇者の剣が後方にはじけ飛んだ。

 大きく目を見開いた【勇者】は大きく後ろに飛びのいた。

 最後だ。魔石を発動させる。
 出来る限り少ない言葉で、

『撃て』

 俺の後ろ、右後方から髪をかすめて。一発の銃弾が放たれた。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処理中です...