13 / 68
新たな日々【1】
「奥様、お手紙です」
「私に?誰かしら」
メアリから渡された手紙の差出人を見てみたが、見覚えのない名前が書いてあった。
「スカーレット・メイフィル?どなたかわかる?メアリ」
「お、奥様!スカーレット様といえば奥様の義母にあたるお方ですわ!」
「まぁ!お義母さまから。でも、なぜ家名はシュトワネーゼではなくメイフィルなのかしら」
「大奥様個人で催されるお茶会の招待状は、大抵大奥様の旧姓を使われることが多いのです。中のお手紙も、きっとお茶会のお誘いなのでは?」
「お義母さまから直々のお手紙…」
幼い頃に母を亡くした私にとって、お義母さまからの手紙は、嬉しいような、こそばゆいような、どこかくすぐったい。
部屋に戻って開けてみると、メアリの言う通り、お茶会の招待状だった。招待状と同封されていた手紙には、『母娘水入らずでお話ししましょう』と書いてあった。
その言葉に、私の心がどれだけ舞い上がったのか、ここでは言い表せないくらい。本当に嬉しかった。
お茶会当日。メアリに見繕って貰ったドレスを着て、お義母さまのお茶会に行くと、執事に庭園に案内された。
そこには、既に今日のお茶会の主催者であるお義母さまが待っていた。
「よく来たわね。さぁ、そこに掛けて」
「はい」
「今日は突然お茶会に誘ってごめんなさいね。どうしても娘の顔が見たかったの」
「そんな…。私もお義母さまに会えて嬉しいです。自己紹介が遅れましたが、私アイラ・モゼットと言います。よろしくお願いします」
「あらあら。そんなにかしこまらなくてもいいのに。母娘になったんだもの。もっと肩の力を抜いて接してくれると嬉しいわ」
「はい。お義母さま」
「ところで、愚息のカイルは何もしてない?」
「何も…とはなんでしょう?」
「いろいろよ。愚息のことだから、あなたに迷惑をかけているのでないかってね。アイラちゃん。愚息に何かされてない?」
「ええ。何もされてませんよ?」
「あら?おかしいわね」
お義母さまは首をかしげた。私的には何もなかったのだからそれでいいと思うんだけど…どうしたのかしら。
「ま、いっか。それよりもあなたのこと、もっと教えてちょうだい。好きな食べ物は何かしら?」
「ぱ、パンケーキです」
「好きな花は?」
……と、その後私はお義母さまに延々と質問攻めを受けることになった。
最初は、もっとこう…厳しめの方なのかなぁと思っていたら、ところがどっこい。とてもお茶目な人だったと言うのは後で気づいた。でも、優しいお義母さまと、これからも良い関係を築けそうで、少し安心した。
「私に?誰かしら」
メアリから渡された手紙の差出人を見てみたが、見覚えのない名前が書いてあった。
「スカーレット・メイフィル?どなたかわかる?メアリ」
「お、奥様!スカーレット様といえば奥様の義母にあたるお方ですわ!」
「まぁ!お義母さまから。でも、なぜ家名はシュトワネーゼではなくメイフィルなのかしら」
「大奥様個人で催されるお茶会の招待状は、大抵大奥様の旧姓を使われることが多いのです。中のお手紙も、きっとお茶会のお誘いなのでは?」
「お義母さまから直々のお手紙…」
幼い頃に母を亡くした私にとって、お義母さまからの手紙は、嬉しいような、こそばゆいような、どこかくすぐったい。
部屋に戻って開けてみると、メアリの言う通り、お茶会の招待状だった。招待状と同封されていた手紙には、『母娘水入らずでお話ししましょう』と書いてあった。
その言葉に、私の心がどれだけ舞い上がったのか、ここでは言い表せないくらい。本当に嬉しかった。
お茶会当日。メアリに見繕って貰ったドレスを着て、お義母さまのお茶会に行くと、執事に庭園に案内された。
そこには、既に今日のお茶会の主催者であるお義母さまが待っていた。
「よく来たわね。さぁ、そこに掛けて」
「はい」
「今日は突然お茶会に誘ってごめんなさいね。どうしても娘の顔が見たかったの」
「そんな…。私もお義母さまに会えて嬉しいです。自己紹介が遅れましたが、私アイラ・モゼットと言います。よろしくお願いします」
「あらあら。そんなにかしこまらなくてもいいのに。母娘になったんだもの。もっと肩の力を抜いて接してくれると嬉しいわ」
「はい。お義母さま」
「ところで、愚息のカイルは何もしてない?」
「何も…とはなんでしょう?」
「いろいろよ。愚息のことだから、あなたに迷惑をかけているのでないかってね。アイラちゃん。愚息に何かされてない?」
「ええ。何もされてませんよ?」
「あら?おかしいわね」
お義母さまは首をかしげた。私的には何もなかったのだからそれでいいと思うんだけど…どうしたのかしら。
「ま、いっか。それよりもあなたのこと、もっと教えてちょうだい。好きな食べ物は何かしら?」
「ぱ、パンケーキです」
「好きな花は?」
……と、その後私はお義母さまに延々と質問攻めを受けることになった。
最初は、もっとこう…厳しめの方なのかなぁと思っていたら、ところがどっこい。とてもお茶目な人だったと言うのは後で気づいた。でも、優しいお義母さまと、これからも良い関係を築けそうで、少し安心した。
あなたにおすすめの小説
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
逆行した悪女は婚約破棄を待ち望む~他の令嬢に夢中だったはずの婚約者の距離感がおかしいのですか!?
魚谷
恋愛
目が覚めると公爵令嬢オリヴィエは学生時代に逆行していた。
彼女は婚約者である王太子カリストに近づく伯爵令嬢ミリエルを妬み、毒殺を図るも失敗。
国外追放の系に処された。
そこで老商人に拾われ、世界中を見て回り、いかにそれまで自分の世界が狭かったのかを痛感する。
新しい人生がこのまま謳歌しようと思いきや、偶然滞在していた某国の動乱に巻き込まれて命を落としてしまう。
しかし次の瞬間、まるで夢から目覚めるように、オリヴィエは5年前──ミリエルの毒殺を図った学生時代まで時を遡っていた。
夢ではないことを確信したオリヴィエはやり直しを決意する。
ミリエルはもちろん、王太子カリストとも距離を取り、静かに生きる。
そして学校を卒業したら大陸中を巡る!
そう胸に誓ったのも束の間、次々と押し寄せる問題に回帰前に習得した知識で対応していたら、
鬼のように恐ろしかったはずの王妃に気に入られ、回帰前はオリヴィエを疎ましく思っていたはずのカリストが少しずつ距離をつめてきて……?
「君を愛している」
一体なにがどうなってるの!?
学生のうちは自由恋愛を楽しもうと彼は言った
mios
恋愛
学園を卒業したらすぐに、私は婚約者と結婚することになる。
学生の間にすることはたくさんありますのに、あろうことか、自由恋愛を楽しみたい?
良いですわ。学生のうち、と仰らなくても、今後ずっと自由にして下さって良いのですわよ。
9話で完結
報われない恋の行方〜いつかあなたは私だけを見てくれますか〜
矢野りと
恋愛
『少しだけ私に時間をくれないだろうか……』
彼はいつだって誠実な婚約者だった。
嘘はつかず私に自分の気持ちを打ち明け、学園にいる間だけ想い人のこともその目に映したいと告げた。
『想いを告げることはしない。ただ見ていたいんだ。どうか、許して欲しい』
『……分かりました、ロイド様』
私は彼に恋をしていた。だから、嫌われたくなくて……それを許した。
結婚後、彼は約束通りその瞳に私だけを映してくれ嬉しかった。彼は誠実な夫となり、私は幸せな妻になれた。
なのに、ある日――彼の瞳に映るのはまた二人になっていた……。
※この作品の設定は架空のものです。
※お話の内容があわないは時はそっと閉じてくださいませ。
婚約する前から、貴方に恋人がいる事は存じておりました
Kouei
恋愛
とある夜会での出来事。
月明りに照らされた庭園で、女性が男性に抱きつき愛を囁いています。
ところが相手の男性は、私リュシュエンヌ・トルディの婚約者オスカー・ノルマンディ伯爵令息でした。
けれど私、お二人が恋人同士という事は婚約する前から存じておりましたの。
ですからオスカー様にその女性を第二夫人として迎えるようにお薦め致しました。
愛する方と過ごすことがオスカー様の幸せ。
オスカー様の幸せが私の幸せですもの。
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
婚約者とその幼なじみがいい雰囲気すぎることに不安を覚えていましたが、誤解が解けたあとで、その立ち位置にいたのは私でした
珠宮さくら
恋愛
クレメンティアは、婚約者とその幼なじみの雰囲気が良すぎることに不安を覚えていた。
そんな時に幼なじみから、婚約破棄したがっていると聞かされてしまい……。
※全4話。
【完結】どうか私を思い出さないで
miniko
恋愛
コーデリアとアルバートは相思相愛の婚約者同士だった。
一年後には学園を卒業し、正式に婚姻を結ぶはずだったのだが……。
ある事件が原因で、二人を取り巻く状況が大きく変化してしまう。
コーデリアはアルバートの足手まといになりたくなくて、身を切る思いで別れを決意した。
「貴方に触れるのは、きっとこれが最後になるのね」
それなのに、運命は二人を再び引き寄せる。
「たとえ記憶を失ったとしても、きっと僕は、何度でも君に恋をする」