悪役令嬢の末路

ラプラス

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探し人《夢》【15】

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 も、もう無理…。

 「う、吐きそ…」

 私の小さなうめき声が聞こえたのか、揺れが収まる。

 あ、なんか心持ちラクになったかも…。と、安堵していると、強烈な光が瞼越しに入ってくる。
 んっ…。今度は何?何が起こったっ?!
 頭がパニックって目を開けると、ローディーの顔がアップでこちらをのぞき込んでいた。

 「い、きゃあああああああ!」

 目の前の顔の手を当てて、ぐいっと押しのける。
 『うおっ』と聞こえたけど、気にせず押し続ける。
 すると、すかっと私の手を外れて。彼は私の手を取って、起き上がらせる。

 「ん。それぐらい叫ぶ元気があれば大丈夫だな」
 「なんで…」
 「今日も行くぞ」

 彼に部屋から連れ出されて、私はわかってしまった。
 もう、途中でなしにすることはできないってこと。
 確かに、もうこんなに関わった後で、やっぱり今までのことは無しにしようなんてできないし、相手に失礼だ。

 「ま、待ってよ。今日はどこに行くか決めて「僕が決めた」
 「お気に召さなかった?」
 「いいえ。けれど、どこに?」
 「それは着いてからのお楽しみ。おっと、こんな格好じゃバーサに怒られてしまうな。さ、メイドたちに綺麗に着飾ってもらうといい」

 そう言って、彼は近くのメイドに私を引き渡してしまった。

 「僕は外で待ってるよ」

 その一言を残して。

 「さ、お嬢様。お着替えいたしましょうね」
 「そうですわ。坊ちゃまを驚かせてやりましょう!」

 どうしてか、これからノリノリのみなさんの着せ替え人形になるような気がしてならなかった。
 ーーまぁ。予想は当たってしまったのだが。

 「さあお嬢様。そのお可愛らしいお顔をこちらに向けてくださいませ」

 と、メイドの一人がなにかクリームを手に、私に近づいてくる。
 ひっ。と逃げ腰な私を見かねてか、別のメイドがフォローを入れる。

 「お嬢様。ご安心くださいませ。あれは日焼け止めクリームですので」
 「そ、そうですか…」

 ちょっとホッ。

 頭に顔に、服に、着つけるメイドも大変だけど、お嬢様もお嬢様でこんなに準備しなきゃならないのね。お貴族様って本当に大変だわ。

 「できましたわ。完璧な出来です!これできっとお坊ちゃまもメロメロですわ」

 いや、別にメロメロにしたいわけじゃ…。

 「あ、ありがとうございます」

 「「「「「いってらっしゃいませ~」」」」」

 にこやかなメイドたちに見送られ、私は別荘を後にした。


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