悪役令嬢の末路

ラプラス

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深淵の、その先に【2】

 真っ暗なそこは、何もないところだった。
 薄氷の下に広がる暗闇ーーのように感じたーーその中に、私は一人。
 けれど、私が闇に対して恐れを抱くことはなく、ぼぅっと漂っていた。すると、私よりももっと深くに何かを見つける。……人だ。
 このとき、漸く違和感に気づく。
 私やあの人には、闇がかかっていないことを。
 あの人を見てみると、ピクリとも動いていない。

ーー死んでいる?

 そのまま、暫く観察を続けてみる。
 やっぱり動かない。

 意識が覚醒した私は、もっと下に潜ってみることにした。
 だんだん、身体の動きが鈍くなってきて、身体の自由が奪われてゆく…。
 あの人に、手を伸ばしかけた瞬間。目が見えた。暗い瞳に何も映っていない。きっと、私が手を伸ばしていることさえも。私はさらに手に、腕に力をこめる。

 私そっくりなあなた。
 今、助けてあげる。

 「……っ……てを、………」


 思いが力になったのか、あの人の手を掴んだ。
 そして、思いっきり引っ張る。彼女はずるっと、その境界を抜け出すことができたが、今度は私が彼女のいた場所へ嵌まってしまった。
 彼女は、私に手を伸ばそうとする。それを拒否しようと身体を動かそうとするが、動かない。否、重いのだ。それに抗う力も残っていない。
 …それならせめて、口角だけでも上げて彼女を安心させないと。私は大丈夫だと。

 ーーちゃんと笑えたかな。

 彼女の姿が掠れていく。
 よかった。あなたは、元の世界へ……。


 さようなら。




 
感想 10

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