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6 青紫と男

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 『

 「レオンさま?話したいこととはなんですか?」
 「フィア…」
 「どうしましたの?こんなの、レオンさまらしくありませんわ」
 「…どうか、私と婚約破棄して欲しい」
 「…え……」
 「聞こえなかったのか。君に、婚約破棄を、求めたんだ」
 「婚約破棄…」
 「そうだ」
 「………わかりました。レオンさま婚約破棄を受け入れます。ですが、これだけはお許しくださいますか?」
 ーーあなたをずっと、愛することを。

 「…好きにすればいい」
 「感謝申し上げます。…ごきげんよう。レオンさま」





***


 「なに、この夢…」

 記憶を失う前の…?それとも、未来の出来事?
 昨日ルナとイベントの話とかしていたからこんな夢を?
 それにしても、日差しが…。
 ・・・。

 刹那、フィアナは上半身をがばっと起こした。頭は超回転を始め、情報整理を行いながら、私の顔はだんだん青くなる。
 やばいやばいやばいやばいやばい‼︎‼︎

 私昨日ルナを送ってから、結局ダンスフロアには行かずに、元の服に着替えようと思い部屋に戻ろうとしたら、部屋の前に知らない男(暗くて誰だったか見えなかった)が立っていて…。

 私ーー。

 チラッと自分の体を見ると、下着を身に付けている。
 少し安堵するが、ここから早急に出なければと、焦りが



 「ん…」

 自分のものではない軽いうめき声に、そちらを向くと、知らない男…。が、同じベットの横に寝ているではないか!


 キャー!

 心の中でそう叫ぶ。

 はやく着替えて…。
 なんとか元の服に着替え、男を振り返る。

 なんて、綺麗な濃い青紫色の髪なんだろう。

 気づけば、その男の髪を一房取っていた。
 夢の中のレオンさまも、確かこんな色の御髪をしていた。

 すると、いきなり男の目がパチっと開いた。

 「ひっ……!」

 思わず後ずさる。

 「君はーーフィア?」


 「し、失礼しましたぁー!」

 反射的に、私は男から離れ、部屋を飛び出した。




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