8 / 14
7最後の恋文
しおりを挟む
「お姉さま!元気になったのね!」
元々与えられていた部屋に戻ると、同室のリリアナが飛び込んできた。
「いたたた…」
「あ、ごめんなさいお姉さま!つい嬉しくて…」
「わかってるわ。心配かけてごめんね。このとおり、元気になったから大丈夫よ」
「お姉さま~好きっ!」
「はいはい」
ある意味朝帰り(?)してきた私にとって、リリアナの言葉は心苦しい。
「あのね、あのね、お姉さま!」
「ん?なあに?」
「私気になる人ができたの!」
「まぁっ。リリアナ、やるじゃない」
「あ、あのね。それで、そのぅ…お姉さまの協力」
「わかった!お姉ちゃんが協力してあげる」
「ほ、ほんと?」
「ええ!任せて頂戴」
べしっと胸に手を当てて言い切り、仕上げににっかりと笑顔を浮かべる。
「お姉さまぁ~」
再び抱き着いてくるリリアナに、一人かわいいなぁ~とほっこりしていると、ドアがノックされ、返事をすると伯母さまが複数人のメイドを連れてやってきた。
「お、伯母さま?」
「あらあら。フィアナ、リリアナも、どうしたのかしら。朝食の時間よ?一向に来る気配がないから来てしまったわ」
さ、さいですか…。
「まだ着替えも済ませてないと思ってメイドさんにも来てもらたったのよ。午後はお茶会を開くみたいだし、おめかししないとね」
なぜだ、笑っているはずの伯母さまがこわい。
これが早く婚約者の一人でもひっかけて来いという暗黙のメッセージなのか…。
「はい。伯母さま」
「はい。お母さま」
そうして、渋々?着替えて朝食をとって、過ごしのんびりしていると午後のお茶会の時間になりました。
「フィアナ様、お久しぶりですわね」
そう声をかけてきたのは、記憶を失う前に友達だったというカトレナ・ボワンズ。
「本当にお久しぶりですわね。お元気でしたか?」
「ええ。でも、今日が一番元気な気がしますわ。フィアナ様に久しぶり会えたのですもの」
「まぁっ」
カトレナ様とあははうふふしていると、後ろから声がかかる。
表向きお茶会だとしてもこれはいわるゆ集団見合い。
そちらの方もちゃんとしなければーーと返事とともに振り返ると、そこには朝の男、ならぬこの国の皇太子がいた。
「あら、皇太子殿下!」
案の定、またと無い超超優良物件に食いつくカトレナ様。
その点私はと言うと、内心口をパクパクさせている。いや、泡も吹いているかもしれない。
とにかくすごい緊張に動転も重なり、現在混乱中だ。
「フィア。君に用がある」
「???」
もう何が何やら訳がわからない。
私に一体何の用があるんだ!
東屋まで手を引かれ、向き直ると、殿下はポケットから何やらごそごそとしている。
「君に、ずっと渡そうと思っていた手紙があるんだ」
そう言われ、出された一通の手紙を受け取る。
「私に?」
宛先には几帳面な字で私の名前が書かれており、差出人はーー。
「レオンハルト・E・グレイシア?これは、殿下から?」
「俺であって、俺ではない者が書いた」
よくわからない返答をもらい、内心?マークがたくさん浮かんでいるものの、手紙を開封する。
『
愛してる
』
ただその一言だけしか記されていない手紙。
思わず、その文字を指でなぞる。
「もう。私に愛を囁きに来てくれる方はおられないのですね」
ぽつり、呟く。
さっきの、彼の言葉の意味を少しだけ、本当に少しだけ、わかった気がする。
これが彼からの最後の手紙。
たった4文字の愛の言葉。
けれども、その言葉はストレートに、熱烈に、私に愛を伝えてくる。
けれど、どうして…?
どうして、こんなに寂しくて悲しいのだろう。
ふと、笑うあの人が見えた気がした。
彼の言うとおりだ。この手紙を書いた、私のレオンさまはもう居ない。これは彼ではない彼からの最後の恋文ーー。
「殿下、手紙を届けてくださりありがとうございました」
「失礼したしますわ」
それから、どうやって部屋に戻ってきたのかは覚えてない。
けれど、私は手紙を読み返しては、ボロボロと泣き崩れていた。記憶が戻ったわけではないのに、私の胸は痛みを訴え続ける。
「……どうして。こんなに痛いの」
記憶は、もう私の中には無いのに。
叶うのならば、彼と過ごした記憶をもう一度…。
もう一度、思い出したい。
元々与えられていた部屋に戻ると、同室のリリアナが飛び込んできた。
「いたたた…」
「あ、ごめんなさいお姉さま!つい嬉しくて…」
「わかってるわ。心配かけてごめんね。このとおり、元気になったから大丈夫よ」
「お姉さま~好きっ!」
「はいはい」
ある意味朝帰り(?)してきた私にとって、リリアナの言葉は心苦しい。
「あのね、あのね、お姉さま!」
「ん?なあに?」
「私気になる人ができたの!」
「まぁっ。リリアナ、やるじゃない」
「あ、あのね。それで、そのぅ…お姉さまの協力」
「わかった!お姉ちゃんが協力してあげる」
「ほ、ほんと?」
「ええ!任せて頂戴」
べしっと胸に手を当てて言い切り、仕上げににっかりと笑顔を浮かべる。
「お姉さまぁ~」
再び抱き着いてくるリリアナに、一人かわいいなぁ~とほっこりしていると、ドアがノックされ、返事をすると伯母さまが複数人のメイドを連れてやってきた。
「お、伯母さま?」
「あらあら。フィアナ、リリアナも、どうしたのかしら。朝食の時間よ?一向に来る気配がないから来てしまったわ」
さ、さいですか…。
「まだ着替えも済ませてないと思ってメイドさんにも来てもらたったのよ。午後はお茶会を開くみたいだし、おめかししないとね」
なぜだ、笑っているはずの伯母さまがこわい。
これが早く婚約者の一人でもひっかけて来いという暗黙のメッセージなのか…。
「はい。伯母さま」
「はい。お母さま」
そうして、渋々?着替えて朝食をとって、過ごしのんびりしていると午後のお茶会の時間になりました。
「フィアナ様、お久しぶりですわね」
そう声をかけてきたのは、記憶を失う前に友達だったというカトレナ・ボワンズ。
「本当にお久しぶりですわね。お元気でしたか?」
「ええ。でも、今日が一番元気な気がしますわ。フィアナ様に久しぶり会えたのですもの」
「まぁっ」
カトレナ様とあははうふふしていると、後ろから声がかかる。
表向きお茶会だとしてもこれはいわるゆ集団見合い。
そちらの方もちゃんとしなければーーと返事とともに振り返ると、そこには朝の男、ならぬこの国の皇太子がいた。
「あら、皇太子殿下!」
案の定、またと無い超超優良物件に食いつくカトレナ様。
その点私はと言うと、内心口をパクパクさせている。いや、泡も吹いているかもしれない。
とにかくすごい緊張に動転も重なり、現在混乱中だ。
「フィア。君に用がある」
「???」
もう何が何やら訳がわからない。
私に一体何の用があるんだ!
東屋まで手を引かれ、向き直ると、殿下はポケットから何やらごそごそとしている。
「君に、ずっと渡そうと思っていた手紙があるんだ」
そう言われ、出された一通の手紙を受け取る。
「私に?」
宛先には几帳面な字で私の名前が書かれており、差出人はーー。
「レオンハルト・E・グレイシア?これは、殿下から?」
「俺であって、俺ではない者が書いた」
よくわからない返答をもらい、内心?マークがたくさん浮かんでいるものの、手紙を開封する。
『
愛してる
』
ただその一言だけしか記されていない手紙。
思わず、その文字を指でなぞる。
「もう。私に愛を囁きに来てくれる方はおられないのですね」
ぽつり、呟く。
さっきの、彼の言葉の意味を少しだけ、本当に少しだけ、わかった気がする。
これが彼からの最後の手紙。
たった4文字の愛の言葉。
けれども、その言葉はストレートに、熱烈に、私に愛を伝えてくる。
けれど、どうして…?
どうして、こんなに寂しくて悲しいのだろう。
ふと、笑うあの人が見えた気がした。
彼の言うとおりだ。この手紙を書いた、私のレオンさまはもう居ない。これは彼ではない彼からの最後の恋文ーー。
「殿下、手紙を届けてくださりありがとうございました」
「失礼したしますわ」
それから、どうやって部屋に戻ってきたのかは覚えてない。
けれど、私は手紙を読み返しては、ボロボロと泣き崩れていた。記憶が戻ったわけではないのに、私の胸は痛みを訴え続ける。
「……どうして。こんなに痛いの」
記憶は、もう私の中には無いのに。
叶うのならば、彼と過ごした記憶をもう一度…。
もう一度、思い出したい。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。
柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。
詰んでる。
そう悟った主人公10歳。
主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど…
何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど…
なろうにも掲載しております。
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
私、お母様の言うとおりにお見合いをしただけですわ。
いさき遊雨
恋愛
お母様にお見合いの定石?を教わり、初めてのお見合いに臨んだ私にその方は言いました。
「僕には想い合う相手いる!」
初めてのお見合いのお相手には、真実に愛する人がいるそうです。
小説家になろうさまにも登録しています。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。
敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。
この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。
「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」
無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。
正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる