29 / 122
亡国王子、ふわふわパンを作る 1
しおりを挟む素晴らしい!米麹だよ米麹!これさえあればお醤油とお味噌が作れる!やったね!……と思ったらふわっとしか作り方を覚えてなかった…。一花姉に泣きつくと、『ふわふわパンを捧げてくれればレシピあげるわよ~』とのこと。
んむむむむ…。
リンゴ酵母もいい感じに育ってきたみたいだし、ちょっとやっちゃいますか、ふわふわパン作り。
といっても俺がコネコネするわけじゃあない。例のハンバーグの一件で、なぜか俺専属料理人として志願してくれたヴィドスさんが作るのだ。ヴィドスさんは一花姉が帰ったあとハンバーグを食べて衝撃を受けたらしい。「こんなに美味いんなら蜂どもが『肉団子』作るわけだ!!」とか叫んで周囲をドン引きさせていた。
ヴィドスさん、本当はこの間の戦争終わったから除隊してたんだって。「この戦争が終わったら彼女と結婚…」とかいうやつ。どう考えても死亡フラグだよね。それなのに生きて帰ってみたら自分の実家の店は彼女と浮気相手に乗っ取られてて、両親は監禁されてたみたい。怖…!異世界こわっ!それを救い出したまではいいけど、店舗の譲渡は役所で正式に終わっちゃってるし、衰弱した両親は入院させなきゃいけないしでバタバタしてたんだって。なんて言っていいかわからない俺がアウアウ言ってたら、
「これも先ほどのとんでもねえ別嬪な女神様のお導きですね!アールツナイ様の料理番にしてください!!」
だってさ…。うーん、吹っ切れちゃったんだよね?一花姉の美しさにくらっときたんじゃないよね?だって一花姉、弟から見ても美人だし頭良いし性格良いしボンキュッボンのプロポーションだし。
あ の 腐 趣 味 さ え な け れ ば 。
………うん、もう考えるのやめよう。そうしよう。
と、いうことでパン作り!ヴィドスさんにはよーくよく手を洗ってもらって。
「こうぼのうわずみを、すてます」
「えっ!?捨てるんですか!?良い匂いしますよ?」
「しーどるですから、のんでもいいです。でもこんかいつかうのは、したのもやもやしたにごったぶぶんです」
モヤモヤした濁った部分は天然のイースト菌だ。砂糖で培養したそれをベースに、小麦粉、牛乳、バター、塩、砂糖を加えて捏ねる!捏ね捏ね捏ねコネコネ!(ヴィドスさんが)
「で?焼くんですか?」
「いいえ、いちじはっこうです。ひとまとめにまるめて、あたたかいばしょに、よくしぼったぬれぶきんをかけて、にばいにふくれるまでおきます」
「ほう」
ちょうどキッチンはお昼ご飯の準備で暖かくなっている。多分いけるんじゃないかな?
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
779
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる