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【星の記憶】

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「一花は素敵なお姉さんね」


女の母が笑った。


姉弟きょうだいで助け合うんだぞ?一花は弟たちのために、二葉、三鷹、四祇、お前たちはお姉ちゃんを守るんだ。いいな?」


女の父が笑った。


優しい両親だった。女は両親のことが大好きだったし、可愛くて生意気で目の離せない弟たちが、宝物のように大切だった。


ああ、それなのに。


女は慟哭した。


両親は偽神ぎしん、末の弟は自分たちを犠牲かべになった。一つ下の弟は自分たちを蘇生する為に自ら『贄』となり、真ん中の弟は、自分の封じが弱いせいで化け物を


ああ、どうして、どうしてなの!?


自分は何ひとつ守れなかった。両親の願いも、大切な大切な弟たちも。


本当はこんな世界、壊れてもよかった。薄っぺらい正義感なんか持たなければよかった。恥も外聞も誇りさえかなぐり捨てて、大切なのは自分たちだけだと叫べばよかった。


見捨てればよかった、こんな世界 ーーー !!


それなのに。


あの子たちはもういないのに。


世界は救われました、と異世界人ひとびとが笑う。


めでたし、めでたし、と誰もが締め括る。


『世界を救った聖女は、王子様と結ばれて幸せになりました』?













幸せって、なに?
















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