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星の記憶を渡る 1
しおりを挟むちりん、しゃらん。
鈴の音がする。それに混じって、テンテンテン…と……あれは、手毬?
高そうな着物を着た少女が、手毬を拾う。綺麗な子。烏の濡れ羽色っていうの?射干玉の髪は、肩口できれいに切り揃えてある。
その小さな白い手で、何かを指し示す。
あっ、これ夢だ、って気付いた。だって俺は今『アールツナイ』のはずだ。それなのに、何故か目の前の風景は『神楽坂二葉』の育ったあのヒノモトの帝都の住宅街だった。
白と黒の垂れ幕が揺れている。
ちりん。
少女の手にした手毬の鈴が鳴る。
それがお葬式の会場だってすぐに気付いた。だって集まった人たちはみんな暗い顔で俯いていたから。
あれ?これって前世の俺のお葬式?
そう思ったのに、中にいたのは俺だった。俯いて、包帯だらけ。左右から弟たちが二葉の手を握っている。姉である一花姉が、俺たちを庇うように立って弔問客の対応をしている。
……誰のお葬式…?
棺はふたつ。遺影もふたつだった。
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