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星の記憶を渡る 2
しおりを挟むちりんしゃん。ちりん。
手毬が鳴る。
「勇者様、私たちを救ってください…!」
ちりん、………ちりん。
なんだか薄汚れた、おじさんたちの土下座。
ああ…うん。覚えてる。
異世界に転移した直後の光景だ。そうそう、段々思い出してきたぞ。俺たち4人は異世界に落っこちた。
そう、まさに落ちたんだ。
ちりん。
めちゃくちゃになった村とか、死んじゃった兵隊さんとか見せられて。俺たち4人は『魔王』とやらを殺しに旅に出た。小さい頃、4人でやったゲームみたいに。
『魔王』を殺したら、そのエネルギーでヒノモトに帰れる。
そう言われて。
ちりん、しゃん、しゃん。
俺たちは旅をした。まあそんなに楽な旅じゃなかったけど、姉がいて、弟たちがいて。それだけでよかった。先生は怒ってるかな?そう思ったけど、もうあそこには居たくなかった。お父さんとお母さんが死んで、誰も彼もが俺たちをはれもの扱い。マスコミが押し寄せて、もう居心地悪いったらなかった。
ちり…ん。
『魔王』の作り出した『魔物』を殺して、殺して。魔王の城の目の前まで辿り着いて。
お城の扉が開かなくて。
背後から迫ってくる、黒い海みたいな魔物たち。
ちりん…。
ああ、もう駄目だ!って思ったら、四祇くんが歌い出して、扉が開いた。
ちりん。
通りたもんせ、通りやんせ。
ちりん…。
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