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「条件があります」
しおりを挟む双子をソロで育てていくうちに、春が過ぎ、夏が来て、秋が走り去り、冬が待っていた。それを3回繰り返して、俺たちは学園に入ることに ーーー なってない。
実は俺が盛大にごねた。
はっきりいうと、8歳でカテキョにスパルタされた挙句に、9歳で「もう教えることがありません」と言われた俺だ。今さら教えてもらうことなんてあるのか!?
実際に卒業テストとやらをやらされたがパーフェクトだった。
追い詰められた現代日本人の脳味噌なめんなよ?
剣も魔法の腕前も両士隊のトップに太鼓判を押された。それどころか俺や双子たちの訓練は、今や軍ではスタンダードなものになっている。騎士隊も魔法士隊もすっげ仲良くなったし、両士隊のてっぺん夫婦もいつも間にか仲直りしてイチャラブだし、すでに双子には妹と弟がいる。
学園に入って集団行動を学べと言われても、すでに軍隊で協調的なものは学んでいるし、卒業してからは軍に入るつもりだから派閥作りも貴族とのつながりも至らない火種になるので不要だ。嫁探しだって必要ないしね!
そう言うと学園長は渋い顔をしたが、なおも食い下がる。
俺が入ると寄付が違うからねwww
終いには、にーちゃんまでもが説得に来た。
そんなに俺を隔離したいのかwwwwww
仕方ないですね、と俺はもったいつけて切り出す。
「条件があります」
「………は?」
計画通りだ。
俺はニヤリと新世界の神になり損ねた男のように笑った。
「ひとつ、学園には身分制度はない、とか建前で言いますが、その建前やめてください。混乱の原因になります。俺は曲がりなりにも王子です。しかもヴィオレッタが大好きで今すぐ結婚したいくらいです。他の女に「この学園では身分は関係ないんでしょ?」とか言って迫られたら虫唾が走ります。また逆にヴィオレッタに男が言いよったら行方不明者が出ます悪しからず」
学園長もにーちゃんもポカンとアホみたいに俺を見た。想定外だったらしい。
「ふたつ、学園に籍は置きますが俺は授業には出ずに、魔法士隊の研究と騎士隊の訓練を優先します。今さら授業とか……(フッ…)。ご存知の通り、俺は自分の愚かさから生まれて8年も無駄にしたんです。これ以上のロスは許されません。俺はヴィオレッタを守る軍隊を世界最強にしなくてはいけないのですから」
「お前はなにと戦うつもりだ!?」
敵は運命ですが何か?
「みっつ、公共の場、全てに映像記録魔道具を設置させてください。……ああ、大丈夫ですよ?費用は全部俺の小遣いから出します」
「そんな!?いくら王族といえど、他の生徒にもプライバシーがあるんですよ!?」
「公共の、と言いましたよね?もう耄碌されました?お耳は聞こえていらっしゃいますか?学園長?」
威圧スキルを込めて笑う。学園長は面白いほど震え出したし、にーちゃんはザッと青ざめた。
「小耳に挟みましたが、今年から平民を試験的に入学させるとか?ああ、貴方の若い妾の産んだ娘さん ーーー アイリさんでしたっけ?平民の母親ながら、魔力の多さは貴方譲りとか?ああいう躾のなってない娘が入学してくるのでしたら警戒するのは当たり前でしょう?……あれ?兄上?知りませんでした?まったく…兄上の諜報はなにをやっているんです?どこかに買収されてるか目を開けたまま寝てるんじゃないでしょうね?まあ、兄上が気付けなくても、ヴィオレッタは俺の宝物なんで、ちゃんと俺が守りますけどね?」
「…………っ!!!」
「……そ…それを、どこで………!?」
2人とも丘にあげられた魚のようにパクパクしてるwwwにーちゃんは真っ赤で学園長は真っ青だ。
にーちゃん、煽り耐性皆無かよwww
まあ、今まで厄介者で問題ばっか起こしてた馬鹿だしね?どうしようもなく見下してたよね?
そういうクズに煽られる今、ねえ?どんな気持ち?ねえ?ねえ?
「……では、前向きに検討してください。失礼、俺はこれから来客があります」
「……らい、きゃ、く………?」
「ええ、商業ギルド職員です。俺が開発した魔道具の販売経路についての話し合いですが………兄上も来ます?」
「……………っ!?……いや、いい…」
「では失礼」
俺は2人を残してさっさと席を立つ。
正直こんな暇はない。まじでない!だってアリストが勝手に登録しやがった商品を捌かなくちゃいけない。
いやね?発案と設計は俺だよ?でも作ったのはアズで、量産したのはアリストじゃないか!!俺、王子だよ?もっとこう、優雅に紅茶でも飲んでいたいよ!!
2人のせいで昼メシも食い損ねた!
アズがそっと差し出してくるのは俺の開発したカロリーがあって美味しくて歯応えのある兵糧 ーーー ナッツぎっしりチョコレートバーだ。
食った気のしないチョコレートバーを噛み砕きながら俺は走る。
うう…前世のMMORPGでは、こういう細々したのは純恋くんがやってくれてたのになあ……(´;ω;`)
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