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「質問に答えようか」
しおりを挟む産まれた子供は息子だった。
うむ。順調順調!
……つか、かわええ!ちぃちぇええええええ!!
なにこれ!?っていうちっちぇえ手にちゃんと爪がある!マジかこれ!?
やばい。国を出たら二度と帰らないつもりだったのに、これは頻繁に帰ってこねぇとやべえわ。
気になってたことも確認。
良かった…。
俺の子供はちゃんと人間だった。
「さて」
俺はアズに向き直る。
「報告と ーーー 質問に答えようか、アジ・ダハーカ?」
アズは恭しく一礼した。
「多分今日あたりお客さん来るから手早くね?」
「承知いたしました。では……」
アズが恭しく緋色の布で包まれた物を差し出す。
「こちらが ご所望の神殺し『ベアトリーチェ』で御座います。私でもさすがに直接持つとダメージを受けますので、このような無粋な覆いをして申し訳ございません」
受け取った包みを開くと、金の装飾が美しい漆黒の銃身が覗く。撫でると意外につるりとしていて気持ちがいい。
俺が銃身を撫でるのをアズが息を飲んで見つめていた。
「……お言葉通りにそれのレプリカを作り、彼の方へ渡しております。さすがに無償だと裏があると思われますので適正価格で」
「うん、ご苦労さま」
「恐れ入ります」
彼の方、って言うのは俺が生前に好きで好きで堪らずにファンクラブを作った兄妹だ。今回の異世界転生での被害者の一人だ。
妹ちゃんはすごく感受性の強い子で、無意識にモノの本質を見抜く。そのせいでクソ女神に惨たらしく殺された。そして兄の方はそれを目の当たりにして絶望のまま殺された。
アリストが行商しながら『ヒロイン』の素質を持った子達のクソ女神の加護を引っぺがして回り、残ったのは妹ちゃんとアイリだけだ。
近日中にクソは妹ちゃんのとこに行くだろう。妹ちゃんのとこに行く前に俺がツブしても良かったんだが…。
兄のほう ーーー たかし先輩の気が収まらないだろうから、敢えて威力を落としたレプリカをアズを通じて渡した。先輩が『神殺し』の汚名を着ることはない。
仮にも神だ。レプリカでは死なないだろうが、すっげえ痛くなるように着弾後に弾けるようにアズに作らせた。
遠慮なくグッチャグチャにしてくれるといいな♪
「で?何が訊きたい?」
……わかってるけどね。
アズは息を飲み込む。ゴクリと喉が上下するのを見て、ぼんやりと「改めて見るとこいつ綺麗だなー」と思った。
「レオンハルト様……貴方様は ーーー なにですか?」
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