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「テンプレかよwww」
しおりを挟むリリィが後宮に入った頃、ヴィオレッタが体調を崩した。
多分あれだ、うん。トラウマぶり返しちゃったんだろう。
俺が触ろうとしただけでビクッとするんだから重症だ。
『純恋さん』に『皐月ちゃん』の事は聞いていた。小学校の頃にネグレストされて、頼った男性教諭にマンションに連れ込まれてイタズラされ、その後もストーカーされたり好奇の目に晒されたり……。
こればっかりは男である俺がどうこうできる事じゃない。
妊娠中なのも不安定になる要因の一つか…。
ふう、と溜息をひとつ。
………もうね、こんな時は訓練だよね!?
久々にダンジョンでも行くかあ!と気合を無理矢理に入れたところで騒がしいことに気付く。
駆けつけてみるとクソどもだった。
ーーー はぁ?(ꐦ°д°)
「何の騒ぎだ」
なんとなくわかってるけど訊く。不機嫌さは隠さないで。
「は、殿下!こちらの方々がヴィオレッタ妃に面会を、と申されまして…」
「……は?」
「ああ!貴様!!ヴィオレッタに会わせろ!こいつらじゃ話にもならん!」
「お引き取り頂け」
「は!」
すごいね!帝国の教育って!先触れもなく、挨拶もなく、お名前交換もしてない一国の王弟を貴様呼ばわりし、先日会ったばかりの親しくもない王弟妃を呼び捨てかぁ!
「ヴィオレッタ妃は本日はお会いになれません。どうぞお引き取りください」
俺の許可を得て、排除しようと近衛騎士達が動く。うん、いい動きだ。
「貴様ら!私を誰だと思っているんだ!?私は帝国のガヴェインだぞ!」
wwwwやwwwwだwwwwすwwwwてwwwwきwwwwテンプレかよwww
「帝国の王子よ」
言葉に『威圧』を込める。
「帝王は其の方を余程可愛がったと見える。私は未だに其の方から名も聞いてはおらぬ。名も知らぬ相手に、身重の妻を会わせるなどと下々の者でもせぬわ」
ヒグッと喉が鳴った。おっと、御付きの騎士風の男は漏らしちゃってるが、クソ王子はまだ耐えれるか。
よおし、もーちょっと強めにイッちゃうぞぉ☆
「ひ……ひっ…!!つ…つ、ま?みお……???」
……………あれ?もしかして?
「王女ヴィオレッタは、このレオンハルトの妻だ。知らなかった、では済まされんぞ?其の方は、私が主神デウスに誓った妻を奪い取ろうと決闘を申し込んだのだ」
死が二人を分かつ時まで。
そう誓う、この世界の婚姻。言い換えれば今回の決闘のお申し込みは「お前を殺して奥さん奪っちゃうんだもんね☆」って言ってるようなもんだ。
当然、殺されても文句言えないよね?
圧をジリジリ強めても、何かに守られているのか、まー、踏ん張る踏ん張る。
それもそのはず。ステータス確認したら、加護がデウスさんじゃん?やだもお☆まじぶっころ♡
「そんな…!嘘をつくな!!預言書にはそんな……!」
ーーー ん?
「失礼致しますレオンハルト殿下。ご予定通りアリスト様がお越しでございます」
気絶した帝国の騎士を蹴飛ばして、妖精のような微笑みでアイリが割って入った。
んんんんん???予定??????
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