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「まだ崩壊しないでくれ俺の腹筋…!」
しおりを挟む闘技場に出てきたアイリの服装はマジで特攻服ってやつだった。
都心ではすでに絶滅したであろうヤンキー。田舎でも絶滅が危惧されているが誰一人保護とかしない生き物。それがヤンキーだ。
ボンタンとかいう裾の窄まった独特のパンツに黒いミリタリーブーツ。上半身は素肌にサラシを巻いている。……うん。元々胸が控えめだからこれはこれでもn………
『殿下アアアァアッ!!今失礼なこと考えたでしょオオオオオ!!』
ソンナコトナイヨ!
真っ赤なコートに東洋龍が刺繍された特攻服。その襟元には小型マイクが付いているのでめっちゃ怒号が飛んでくるwww
サラシは胸部分だけだから、普段絶対拝めない貴族女性のヘソに男性観客大興奮。俺の背後に立ったまま控えてるディーンは眉を顰めたが、さすがに騒ぎ立てるようなことはしない。
「アイリちゃあああああん!」とかすっごい野太い応援の声が響いているが、その一方で「騎士様そんな女軽くひねっちゃってください!」とかいう女性の声もすごい。
ヒロインの宿命なのか。女性からのヘイト値はいつもながら高いらしいwww
『は……はは…はははっははっ……ははははははははははは!!』
対戦相手であるクソ騎士 ーーー クラウスとか言ったか?が突然笑い出した。あ、当然こっちちもマイク付き。
『お前!そんな軽装で!そんな細腕で!勝てるつもりかよ!?』
『えーっ?やってみないとわかんないでしょお!!なんでそんな意地悪言うのお o(*>д<)o″))』
巨大スクリーンの隅に表示されている数字が目まぐるしく変わっていく。お分かりだろうか。これ、レミング商会胴元の賭けのオッズだwww
『なめやがって!裸にひん剥いてやるよ!!』
『こっちのセリフよー!!ヾ(*`Д´)ノ』
酷い。これは酷い。
俺は腹筋にぐっと力を入れる。頼む、まだ崩壊しないでくれ俺の腹筋…!
『いやあすごい。白熱の舌戦ですね!賭券の購入が間も無く締め切られます!皆さん用意はいいですかー?………おーっとwアイリ選手に賭けている方はほとんどいない?えー?ファンの皆さんはどうしたどうした?!まさかアイリちゃんの負ける姿が見たいとか……(ンンン!ゴホン!)』
十中八九、ファンたちはあのクソ騎士の『ひん剥いてやる』発言であっちについたなwww
『はい!締め切りですよー!……ここで、勝者に与えられるご褒美の発表をします!これはですねー、今回は勝者のリクエストにかんっぜんに応えるよう、両国で取り決められていますよー?では………(ガサゴソ)……帝国側は、《異世界の聖女スミレ》様!これは予想通りですねえ?……で、王国は……………ん?んん?これは…………え、はい、間違いない?えー…んんんんー……?』
実況のギーヴさんの困惑が窺える。
でも、この理由は俺とアイリしか知らないからなあw
『王国側は、《護衛騎士クラウス・フォン・ミラード》様!!』
おおおおおおおおおおおおおお!!??と会場中が湧き上がる。もちろん疑問と興奮で、だ。
アイリだけが、その中心で艶やかに笑っていた。
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