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閑話:「あの子との楽園を築く為に」2 《帝王視点》
しおりを挟む目の前には薄闇があった。
そして男が一人、なにもないはずの空間に腰掛けている。長い脚を組み、尊大な笑みを浮かべ。
男の背後にギョロリ、と。空間に巨大ななにかが浮かぶ。
「………ッ!?」
目 ーーー だった。
縦に裂かれたような裂け目に、こちらを凝視する真っ黒な眼球。
「なあ、俺は誰だろうな?」
男が笑う。
「折堕か、虚空か?戦部か?……ああ、廟の下で動いているから陰陽あたりか?誰なら勝てると?喰えると思ったんだ?」
ニイ、と唇が裂けるように笑みを作る。激しい悪寒が爪先まで駆け巡る。
「トカゲ如きが。なあ、大虬?」
体が震えて止まらない。
違う違う違う…!これはなんだ!?これは ーーー 違う!同胞ではない!!決して!断じて!同じモノなどではない!!
……では………誰だ。
あれは誰だ!!??
闇よりも、なお深く
虚無よりも、なお昏く
終焉よりも、なお黒き
ーーー 始まりの、深淵
「…………ヒッ!!!」
その名を《奈落》。
唯一が産んだ第一世代。原初の四獣。
僕の背後で、がぱりとなにかが大口を開けた。
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