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閑話:公爵令嬢マーガレット1
誓約書を書いたあの日から。わたくしの生活は日に日に質が落ちていった。
『グレン・ナイトレイと今後一切関わらない』
それがどうしたというのだ?わたくしは公爵家の姫、グレンはたかが辺境伯家の次男だ。ナイトレイをランチェスターのものにするのは失敗したが、まだ策はある。愛するエグバードとこの国を治めるのだもの。困難は承知だわ。
そう……思っていた。
最初の躓きは、グレンがわたくしに一切、手をつけなかったことだ。わたくしの女の尊厳は踏みにじられた。けれど今になって知る。あの男も、男の兄も、わたくしに靡かなかった元勇者もみんな男色家だったのだ。通りで哀れな女を装ってしどけなく泣こうがあられもない姿を見せようが、わたくしに触れようとしないわけだ。
エグバードとの関係を続けながら、わたくしとエグバードはグレンを殺そうと計画した。魔王討伐で帰ってきたところを殺そう、と。この王都の美しい贅を凝らした屋敷は、わたくしを愛さなかった慰謝料として貰ってあげる。そう、慰謝料は女が貰うものなんだから!
実際、グレンが帰ってこない1年間は楽しかったわ。茶会の度に新しいドレスと装飾品。最新の情報と最高級の物を持ってレイモンド商会から御用聞きが毎日のようにやってくる。レイモンド商会の化粧品やドレス、アクセサリーは美しいわたくしをさらに磨き上げた。この艶やかなピンクブロンドの巻き毛など、鏡に映った自分にウットリするほどだ。
茶会で、パーティーで、わたくしは常に話題の中心だった。
それが崩れたのは、あの日。
魔王討伐に出兵していたグレンが、予定よりも2日も早く帰ってきた。あれほど言っていたのに、使えない侍女はグレンたちを留め置くことが出来なかった。
よりにもよって、わたくしがエグバードと愛し合っている時に、グレンを部屋に通してしまったのだ。わざわざ主寝室ではなく、グレンの粗末な執務室の仮眠用ベッドを使っていたのに。用意周到に、国王陛下と宰相閣下、そしてジェラルド・ナイトレイ辺境伯まで証人にして。
わたくしはグレンと離婚した。わたくしが貰えるはずだった慰謝料は貰えなかった。それどころか…。
全てが変わっていった。
レイモンド商会から、縫製中のドレスと製作中のオーダーメイドアクセサリーのキャンセルが入る。化粧品も、今使っているものがなくなれば、新しいものはもう使えないだろう、と。
それらは全てグレンが開発に携わっており、神への誓約により使えば大変なことになるだろう…と。
金属の加工、宝石のカッティング、ドレスの布地、染色、デザイン、化粧品の成分、容器の形、はっきりと映る姿見、部屋の照明、使用されている建築材、食事の材料から調理法まで。すべて。移動で使う馬車さえ、良いものを使おうとすると耐え切れないほどの吐き気と頭痛をもよおした。
わたくしの生活は、まるで時代に取り残されたように不便なものになった。
レイモンド商会の代わりにマーキュリー商会が御用聞きに来るようになった。レイモンド商会は、元はマーキュリー商会の1部門が独立した商会だ。マーキュリー商会の方が歴史も古いし、高級な品を持ってくる。
けれど、持ってこさせた条件に合う化粧品やドレスの布地は、どれもこれもパッとしない物だった。
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