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DOKI☆WAKU☆話し合い 〜ヨハン〜
しおりを挟むさて、話は現在に戻りますわよ。
現在、わたくしたちは国王陛下の命にて会議室に詰めております。
婚約破棄騒動の当事者であるわたくし、第五王子殿下。そしてわたくしと同時にガッツポーズをキメてしまいました王女殿下、弟、聖女、騎士団長の息子に司教の庶子。あと、聖女ヒカル以外の それぞれの親。
「さて…」
国王陛下が口火を切った。
「どういうことなのだ?」
みんなに訊いているようで、わたくしを見る陛下。
いや待って、わたくしではありませんよ?たしかにわたくし、燃料は準備いたしましたが、火をつけたのはルードヴィッヒ王子じゃないですか!?
「婚約は破棄…されたのですよね?」
騎士団長の息子であるヨハン様が言いました。
この人さっきわたくしのドレスを破いてくださりやがったのでございますが、あの真相は、ヨハン様がいきなり腕に触れてきたのでわたくしがビビりまして。
わたくし とっさに飛びのく→ヨハン様がうっかりドレスの裾を踏んでいた!→引っかかったわたくし勢いあまって転ぶ→ドレスの裾 破ける→ヨハン様ガクブル…。でしたの。
助け起こして頂いた際には、それはもう丁重に、頭を床に擦り付けて謝罪して頂きました。ゴッツンゴッツン床に頭を叩きつけていたので流血沙汰でございました。
ドン引きです。
ドレスも弁償するといってくださいましたが、もうすぐ市井に下るわたくし。代わりなど不要でございます、と笑顔でお断りいたしました。弁償するなら金をくれ、ですわ。
「申してみよ」
「はっ…!恐れながら申し上げます!この度の騒ぎはルードヴィッヒ殿下が聖女ヒカル様に懸想し、ディアナ様を蔑ろにした事が原因に思われます!自分と致しましても早急な婚約破棄を……」
「「はあ!?」」
ヨハン様の言葉に王子とヒカルが声をあげました。
「こんな女、好きじゃない!!」
「こんな男、冗談じゃないわ!!」
あら、息がぴったりですわね!ホホホ…
あなたたちを弟妹のように思っているわたくし、ほっこりしてしまいますわ。
「ディアナ様と自分は愛し合っております!陛下!どうか陛下!自分とディアナ様の婚約をお許しください!!」
「………………は?」
ヨハン様の想定外の言葉に、自分でもびっくりするような冷たい声が出てしまいましたわ。
「…えっ……?」
ヨハン様が凍り付く。
「……えっ?」
「えっ?」
「えっ…!?」
「えっ…!?で、でも、ディアナ嬢?自分に逢いに足繁く通って下さいましたよね?そ…その、差し入れとか……」
「あ、はあ……わたくし、いつもお世話になっております、と『騎士団のみなさまに』差し入れはいたしましたが……。えっ?まさかあれ独り占めしたのですか?ヨハン様?」
「あ……はい…………」
バカだこいつ。脳味噌まで筋肉かと思っていたがその脳筋、ピンクに染まっておりました。
「あれは鍛錬のために通っていたのでございますよ?貴族の食事の高カロリー、どこかで消費せねばなりませぬからね?」
「か…かろ、りー?」
「ええ、カロリーです。お聞き流しくださいまし」
「で…では……あの、ディアナ様……その………」
「とても残念でございましょうが、わたくしはヨハン様のことは弟のように思っております。とても愛おしい弟ですわ」
「は……はは……………」
ガックリとヨハン様は長机に突っ伏した。
え…な、泣かないでくださいませ!
だってわたくし、精神年齢アラサーですのよ?ヨハン様なんて無理無理無理!
さあヨハン様が片付いた!と思ったら、会議室に勝ち誇ったような笑いが響いた。
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