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【シャーロット視点】
しおりを挟む「なんなのよッ!これ!?」
週刊誌をテーブルに投げつけると高価そうなカップが割れて、侍女たちが悲鳴を上げた。なによ!お城にはカップくらいいっぱいあるじゃない!
私はイライラと爪を噛む。ああ、もう!爪の形が悪いって爪のケアをする侍女に言われたばかりなのに!!
「ご機嫌斜めだね?」
「セディー!」
セディーが紅茶まみれの週刊誌を摘み上げた。やだ…いつの間に入ってきたのかしら…。
「セディー!ひどいのよ!この週刊誌が!エマさんが!わ、私をっ…!私を……うぅっ…!」
目に涙を溜めて必死に訴える。セディーは私が泣いて抱き付くとなんでもいうことを聞いてくれる。他の女とも別れてくれたしドレスもアクセサリーも買ってくれた。私をお妃様にしてくれるって言った。あの女を働かせて、ずっと一緒に暮らそうって言ってくれた。
「ふふ…でもねえ、事実だし?」
「セディー!?」
え……なに…?なんで?
「エマは学園に通っていないし、あの物語の『悪役令嬢』じゃない。君が1番良く知ってるでしょ?あの小説は人気作家に私が依頼して書かせた作り話だって。それに私が浮名を流したのも事実だし、君が浮気相手だったのも事実だ。……ああ、よく調べてある。最近の情報屋は侮れないね?」
「ひ…!ひどい、ひどいよセディー!どうして?どうしてそんなこと言うのぉ…?」
「酷い?ふふっ…酷いことをしたのは私と君だろう? ーーー ああ、でも……一番酷いのはエマかな?」
「セディー…?」
私はホッとする。
そうよ。一番酷いのはあの女なんだから!私は悪くない!だって私はヒロインなんだもの!ストーリー通りに学園に通って私を虐めなかったあの女が悪いんじゃない!あの女がいないから、他の攻略対象とも仲良くなれなかったしシークレットのケイレブは私と視線も合わせてくれなかった!私にはセオドアしか選択肢がなかったんだもん!それもこれも全部全部!ぜーんぶあの女が悪いんじゃない!!
「良いじゃないか、こんな大衆雑誌」
セディーが雑誌を放り投げた。
「君は僕を勝ち取った。王太子妃 ーーー ゆくゆくは王妃になるんだ。……ね?」
「う…うん、そうね?そうだよね?私がお妃様だよね?」
「そうだよ、シャーロット」
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良い……ん、だよ、ね?これで……
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