側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや

文字の大きさ
20 / 92

【悪役令嬢との茶会】中間報告

しおりを挟む


中編の掲載後、『月明かりの恋』の作者ベリンダ・オールディス女史から抗議があった。便箋30枚以上だというのだからなかなか御立腹のようだ。読者からも様々な便りが届いているのでここで言わせていただこう。

僕のコラムは事実である。けれど『月明かりの恋』を批判するものではない。僕自身、自分用保存用布教用と3冊買ったし、E嬢に贈ったものを含めると、個人としてはかなりの冊数を購入していると自負している。物語自体はとても良くできているし、ベストセラーだというのも頷けるほど面白い。だがあの思わせぶりな後書きがE嬢を『悪役令嬢』に仕立て上げたのだとしたら、それは悪である。見ず知らずの人間から向けられる悪意ほど怖いものはない。


さてE嬢の最後の取材の日、面白いことが起こった。なんと『月明かりの恋』のヒロインのモデルとされているC嬢がE嬢邸宅を訪れていたのだ。隠れ聞いていると「取り消せ」「嘘だといえ」とC嬢が叫んでいる。屋敷全体が殺気立っていた。この殺気を受け流せるE嬢はさすがと賞賛したい。僕なら失禁する。

C嬢は僕が自己紹介をすると平手打ちを食らわせ、ひとしきり吠え、脅し、激しく悪態をつきながら守衛に引き摺られて行った。暴力と権力に屈しない。それが記者だ。本音を言うと以前取材した地下組織のゴロツキより怖かった…。令嬢の繰り出す拳じゃない。平手打ちだが。

僕の目から頬にかけてが酷く腫れ上がってしまったので、その日の取材は延期させて貰った。それどころかE嬢は僕を心配して会社まで馬車で送る手配をしてくれた。


なので今回の記事は【後編】ではなく中間報告になる。


次回の掲載だが、例の2人の結婚式、E嬢はなんと出席するらしい。ダメ元でその日に延期をお願いするとE嬢は「お父様が良いというのなら」と笑った。









記事  ーーー モーリス・オブライエン














しおりを挟む
感想 385

あなたにおすすめの小説

私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです

こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。 まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。 幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。 「子供が欲しいの」 「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」 それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

あなたが捨てた花冠と后の愛

小鳥遊 れいら
恋愛
幼き頃から皇后になるために育てられた公爵令嬢のリリィは婚約者であるレオナルド皇太子と相思相愛であった。 順調に愛を育み合った2人は結婚したが、なかなか子宝に恵まれなかった。。。 そんなある日、隣国から王女であるルチア様が側妃として嫁いでくることを相談なしに伝えられる。 リリィは強引に話をしてくるレオナルドに嫌悪感を抱くようになる。追い打ちをかけるような出来事が起き、愛ではなく未来の皇后として国を守っていくことに自分の人生をかけることをしていく。 そのためにリリィが取った行動とは何なのか。 リリィの心が離れてしまったレオナルドはどうしていくのか。 2人の未来はいかに···

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?

雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。 最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。 ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。 もう限界です。 探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。

妻よりも幼馴染が大事? なら、家と慰謝料はいただきます

ぱんだ
恋愛
公爵令嬢セリーヌは、隣国の王子ブラッドと政略結婚を果たし、幼い娘クロエを授かる。結婚後は夫の王領の離宮で暮らし、義王家とも程よい関係を保ち、領民に親しまれながら穏やかな日々を送っていた。 しかし数ヶ月前、ブラッドの幼馴染である伯爵令嬢エミリーが離縁され、娘アリスを連れて実家に戻ってきた。元は豊かな家柄だが、母子は生活に困っていた。 ブラッドは「昔から家族同然だ」として、エミリー母子を城に招き、衣装や馬車を手配し、催しにも同席させ、クロエとアリスを遊ばせるように勧めた。 セリーヌは王太子妃として堪えようとしたが、だんだんと不満が高まる。

婚約者の番

ありがとうございました。さようなら
恋愛
私の婚約者は、獅子の獣人だ。 大切にされる日々を過ごして、私はある日1番恐れていた事が起こってしまった。 「彼を譲ってくれない?」 とうとう彼の番が現れてしまった。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。

112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。 愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。 実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。 アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。 「私に娼館を紹介してください」 娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──

処理中です...