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無礼講って素晴らしいですわね
しおりを挟むセオドア様が披露宴から退場し、なんとも気まずい雰囲気が流れました。あらあら、まあ…。どうしましょうと途方に暮れると
「エマ様、ご成婚おめでとうございます」
お声をかけてくださったのはアチソン女伯爵だった。
「わたくしの方からお声をかけさせていただくのは少々無作法かと思いましたが、かのお方が流れを悪くされてしまったもので焦れてしまいましたわ」
「まあ…。いいえ、ありがとうございます。シャーロット様もお加減がすぐれないようで……正直、アチソン女伯爵様にきっかけを作っていただかなかったらわたくし途方に暮れたままでございましたわ」
うふふ、うふふと笑い合う。アチソン女伯爵様はお姉様のお友達。お歳は10ほど違うけれどとても気の合うお方なのだとか。
「あら?そちらは?」
「ああ、これはわたくしの又従兄弟の息子で名をチャールズと申します。この度養子に迎え、後継者教育の真っ最中ですわ」
「そうですか、よろしくお願いしますねチャールズ様」
「はっ!はひぃ…!よ、よりょ、よ、よろしくお願いしましゅ…」
噛んだ。盛大にお噛みになったわ…。
「ぬ、ぬ、抜け駆けですわあ、アチソン女伯爵!エマ様わたくしはアーミテイジ伯爵の妻コリンナでございます!ご成婚おめでとうございます!!」
「あらまあ?アーミテイジ様というと、アリサの…?」
「はいっ!母にございます!!」
あらまあ。そう言われてみると話し方やお顔がよく似ていらっしゃいますわ。飲み物を取って帰ってきたアリサが「やだママみっともないやめてよ!」と真っ赤になっています。可愛らしいです。隣でニコニコ笑っていらっしゃるのはアーミテイジ伯爵ですわね。
その後は堰を切ったように色々な方が向こうからご挨拶に来ていただいて、気まずい雰囲気もどこかへ飛んで行ってしまいました。
無礼講って素晴らしいですわね。
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