側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや

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お土産を渡すだけの簡単なお仕事です

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側妃宮と王城に宿泊されていた国外のお客様が数組、帰り支度をしています。一度にお帰りになると関所の手続きなどで渋滞するので分散するのです。

わたくしの側妃としての最初のお仕事は、このお方たちにお土産を渡すという簡単なお仕事です。個人的なお土産ですからさほど高価ではありません。男性にはタイピン、女性には髪飾りを。我が商会で売り出し中の歪んだ真珠バロックパールをあしらっております。入手が困難な青や桃色、黒に近い鈍色のものをその方に似合うお色で作らせて頂きました。デザインしてくださったマダムサティンとアクセサリー工房の職人たちには本当に頑張っていただきました。

隣国の第三王子様は泣きながら「初恋の弔いに持ち物が欲しい」と仰いましたのでハンカチーフを渡しました。匂いを嗅いだりされていましたが、それを刺繍したのも洗ってアイロンがけしてわたくしに持たせたのもパティなんですが?……ええ、本人が満足なら教えるのは野暮というものですわね。

それから神殿のプリムちゃんをお見送りに。

馬車に乗る際に、エスコートのケイレブが「体は大丈夫か?」などとデリカシーのない事を聞いてきましたので、思い切り足を踏ん付けて差し上げました。踵の高い靴じゃなかった事を幸運と思ってくださいませ!わたくしの突然の暴力に周りの皆さまびっくりされていましたが、パティが頷いてくれましたので正確です。きっと。

プリムちゃんには特別仕様のロザリオです。一粒だけ真円の花珠を使いました。わたくしのウェディングドレスから外した真珠です。真っ白なバロックパールはわたくしが事前に糸を通し、今朝、最後の一粒の花珠を通して銀のペンダントトップをつけて完成です。これはわたくしが頑張って糸を通したんですの、というとギュッと抱きしめてくださいました。うふふ、お友達って良いですね。

最後に実家の公爵邸の皇帝陛下とお姉様をお見送りに。

皇帝陛下は「帰りたくない」と駄々をこねていましたが、侍従さんに引き摺られて馬車にイン。お姉様には花珠真珠と紺碧のブルーサファイアを贅沢に使ったネックレス。「これも素敵だけどぉ、エマちゃんとお揃いが欲しい~!」と可愛らしくおねだりされたので、わたくしの髪に飾っている歪んだ真珠バロックパールのヘアピンを髪に刺して差し上げました。お姉様は花が綻ぶように可憐に笑います。




お姉様が5児の母なのに可愛すぎます。






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