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【セオドア視点】
しおりを挟む上手く誤魔化されてくれただろうか。黴臭い通路を歩きながら薄く笑う。
エマにはできるだけ悲壮な顔を見せるな。なんでもないことのように笑え。
ケイレブにはそう言い含めた。
エマはきっと、私がこれからなにをしようと私には腹を立てない。
エマは少しおかしいから。懐に入れたものにはどこまでも寛容。逆にそれ以外は清々しいほどの無関心。私が学園で令嬢たちを弄んだことも「あらあら、まあ…」で終わらせている。あの令嬢然とした微笑みで皆騙されるが、エマの本質も子供の頃となんら変わっていない。
私はこのルネライト王家と貴族たちをぐちゃぐちゃに引っ掻き回し、叩いて壊して篩にかけて。良いものだけをエマとケイレブに差し出すつもりでいる。
愛しいエマ。愛しいケイレブ。
お前たちが笑っていてくれるなら。
私は歴史に名を残すほどの愚者となろう。
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